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プロ講師に必要な3つの素養とは?【キャリアコラム#1】

プロ講師に必要な3つの素養とは?【キャリアコラム#1】

本記事では、実際にプロ講師として活躍している講師の経験を元に、プロ講師に必要な3つの素養についてをお話いただきます。

ー 目次 ー
はじめに
そもそもプロ講師とは?
私の考える、プロ講師に必要な3つの素養
1、自己研鑽
2、忍耐力
3、社会性
さいごに:当たり前を当たり前に

 はじめに

はじめまして、予備校講師として国語を教えております中林智人(なかばやしともひと)と申します。

今回から塾講師ステーションキャリアで「プロ講師」について色々と書かせて頂きます。
ひとつよろしくお願いします!

 


中林 智人 なかばやし ともひと

高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。 


 

「将来塾・予備校でプロ講師として思いっきり働いてみたい」と思っていらっしゃる方にとって、少しでも参考になるお話ができればと思っております。

 

そもそもプロ講師とは? 

そもそも「プロ講師」とは何か、そこから考えましょう。

「プロ」とは何か?辞書的定義を確認すると

ある物事を職業として行い、それで生計を立てている人。本職のこと。

とあります。

塾講師としてお金をもらうだけなら大学生講師も該当しますが、ここでは上記の定義に則り、プロ講師を「塾・予備校講師して働くことを生計の中心に据えている者、およびその覚悟のある者」として話を進めます。

そのような形で仕事としてプロ講師をやっていくなら、当然数十年の社会人生活の間、一定以上の収入を稼ぎ出せるようにならなければなりません。

大卒の平均年収が約430万円、生涯年収で平均2億円以上というデータがありますが、プロ講師として最低でもそれだけの収入を稼ぎ出し、さらに家庭を持つことも計算に入れて健康的に定年まで働き続ける為に私が必要だと思う事をこれからお話致します。

プロ講師といっても様々なタイプの方々がいらっしゃいますが、少なくとも上記の収入的ハードルをクリアして働いていらっしゃる方は、私の主観ですが、皆この3つの力をお持ちです。

 

私の考える、プロ講師に必要な3つの素養

まず最初に、結論から述べますと、私は自己研鑽・忍耐力・社会性の3つが何よりも大切だと考えます。
以下で詳細をご説明します。

 

1、自己研鑽

一般的な意味は

学問等を深く究める為に自分を磨くこと

とあります。

ですが、塾・予備校講師の場合、純粋にアカデミックな研究だけではなく、入試問題の分析や教材作成、授業の予習も当然含まれます。

特に問題は「業のテキストの予習とそれに付随する教務以外の研究」をどこまで「やり続けられるか」です。

社会人プロ講師として働く場合、多くの場合高学年・受験学年の集団授業といったより責任ある仕事を任されます。

当然生徒の求めるレベルは高くなります。規定されたテキストの教え方のクオリティは言うに及ばず、そのテキストの内容に自身の緻密な入試問題の分析によるプラスαの情報を効果的に混ぜ、さらには1コマ90分の長時間の授業の場合は途中で生徒に飽きさせない雑談なども効果的です。

雑談一つとっても、生徒と年齢の近い学生講師とは一味違う「大人ってすげー」と生徒に思わせられるような話をしたいところです。

ではそういう授業をどうすればできるようになるのか?

自己研鑽を続けるしかありません。

塾・予備校というのは会社によりますが、大体数年間は同じテキストを年度が変わっても使い回します。
改定の時期は学習指導要領の改訂や、(例えば「大学入学共通テスト」等の)入試制度の大幅な変更などが多いですが、中には10年以上もテキストが変わらない塾や予備校もあります。

そのようなところで働くと、前年度の予習の内容をそのまま喋るだけで、それ以外に一切教える為の勉強をしないという講師も存在します。そうなるとテキストの内容以外の事は教えられない状態になります。

授業後に生徒から「先生!この大学の過去問を解いていて分からない部分があるんですけど、教えてもらえませんか?」と質問された時、慌てふためいて支離滅裂な解説をするか、ひどい場合は「先生そういうの受け付けて無いから。個別指導の先生に聞いて」と、バッサリ切り捨ててしまう先生もいらっしゃいます。

教えることが仕事の講師がこのような態度では、生徒も離れていきますし、やがては仕事も無くなります。

何も生徒の質問に100%即座に答えろというのではありません。

いくら研究をしても分からない事はあります。

その場合は「ごめん、ちょっと先生も調べておくから、○○日まで待ってくれる?」と言って、それまでに準備しておけば良いと思います。(もちろん質問の内容にもよります)

大切なことは「教える仕事をしているのだから、常に分からないことを減らす為に勉強し続けよう」という姿勢です。

私は高校生の時に「山口俊治」先生の英文法講義の実況中継」という本で勉強しましたが、本に載っている先生のプロフィールで「20代にして英語に関しては何を質問されても答えられるという自信を身につける」という内容があり感動しました。

おそらくこのような自信を身につける為には、若くして相当な自己研鑽を積まれたのでしょう。プロ講師としての意識としては、そうありたいものです。 

 

2、忍耐力

昨今の教育業全体に言えることですが、最近の子どもたちは「怒られ慣れてない」とよく言われます。

私も同意見です。「褒めて伸ばす教育」「叱らない教育」等、色々なノウハウが巷では溢れかえっています。

実際昔は理屈を無視した権威主義的な教育や、今では「パワハラ」と呼ばれるような教育もまかり通っていました。当然許されるべきではありませんが、だからと言って子どもを一切叱らず、何をしてもニコニコとしながら優しく言い聞かせて分かってもらうというような理想主義が通用しない現場があることも事実です。

時には生徒を正しく叱ることも必要です。

では正しい叱り方が何かというと、これは一言ではなかなか表現できません。
ただ、確実に言えることは、感情に任せた叱り方は良くないということです。

冷めた言い方ですが、大人である我々プロ講師は、仕事として子どもである生徒を指導しています。

生徒の未熟さから来る言動に対して、同じレベルに立って感情的になるのではなく、大人として冷静に「その行為がなぜいけないのか」「今君達はなぜ怒られているのか」をしっかり伝え、二度と同じ過ちを犯さないようにしようと生徒に思わせられるような叱り方ができればベストです。

感情に任せて生徒を叱れば、必然的に不適切な言葉遣いも出て来やすいですし、そこから御自身のお仕事の存続に関わる事態も発生しかねません。

そこで、忍耐力です。

生徒の失礼な言動・あるいは会社の不適切な勤務状況等、腹の立つ事は多々あります。

それらに対して、忍耐力を駆使して堪えつつ、その上で必要な対処(叱責・抗議等)を、冷静に、決然と行えるのが、プロ講師だと私は思います。

私も教員なりたての頃はこのさじ加減が難しく、色々苦労しました。

生徒の中にはこちらからプロとしての威厳を感じなかったり、恐怖を感じなかったりするとすぐに講師を甘く見て、注意してもきかない、騒ぐ、授業中に寝る、課題を出さない等、様々な形で講師の授業に間接的に「NO」を突きつけて来ます。

かといってそういう状態の教員が怒鳴りつけても効果は一時的なもので終わりがちですし、怒らせたのは自分達なのに、講師や教員の怒り方にクレームを入れる生徒や保護者の方もいらっしゃいます。

私の場合、何より悔しかったのは「自分が実力で生徒を授業に集中させられていない」という事実でした。

ベテランの先生の授業では大人しく集中して聞いているのに、なぜ自分の時は・・・自分は教育業に向いてないのでは・・・そのような事も何度も考えました。

そんな中でも教育業を諦めずにここまで来れたのは、生徒が成績を上げ合格報告にきてくれた時の笑顔や、授業アンケートの上昇、年を経るごとに上のレベルのクラスを任せて頂けるようになってきた事など、講師としての一つ一つの成功体験も影響しています。「努力は裏切らない」というのは、生徒だけの為の言葉では無いな・・・と、実感しました。

また、忍耐の必要性はもちろん生徒指導の場合だけではありません。

上記のような苦労を長年やり続ける中で、例えば教室が経営難で倒産・閉講・あるいは待遇が悪くなることもあるでしょう。今の少子高齢化で先細りする教育業界の中では、生徒と仲良くやれていたとしても大人の都合で授業や講座の運営が厳しくなるということも現実として生じかねません。

特に、大手予備校などでは50代・60代のベテランの先生方が現役で御活躍されていることが多い為、若い講師には中々上位クラスを継続的に担当する機会が回って来ないという話もよく聞きます。

このような状況で感じる不安に対しても、先ほどの生徒指導に関しての不安も、結局のところ私は一つの結論に至ることで解決しました。

プロ講師として、トップレベルの位置を目指せば良いのです!

子供がいる限り、教育業界が無くなることはありません。移り行く時代の中で、時代に合わせたツールを使いこなし、常に自己研鑽を行い続け、長いスパンで自分の授業力と人間力を磨き続けて行く・・・

自己研鑽だって、やり続けるには忍耐力が必要ですし、それらをやり続ければ先細りする教育業界の中で生き残れるトップレベルの講師になれるはずです。

 忍耐力と言っても、「ただ何も考えず我慢する」ことは人間として困難ですし、そんなことをしてもプロ講師としては飛躍できません。

「この目標の為に、自己研鑽し続けて、必ず達成しよう。」と決め、その為に頑張り続け、その中で確実な成功体験を積み重ねながら無理なく成長して行く、そのような意味を込めて忍耐力の必要性を申し上げた次第です。

 

 3、社会性

少し昔の話をしますが、1980・90年代というのは予備校講師の全盛期だったとよく言われます。

第2次ベビーブームで生まれた子供が受験生となっていたことや、受験の盛り上がりもあり、予備校では数百人の教室に生徒が満杯になるという、今では中々見られない状況が当たり前のように発生していたそうです。

このような時代に講師をしていた先生方は、いわゆる「カリスマ講師」と呼ばれ、まるで神様のように崇められ、中には過激な発言や斬新なパフォーマンスで生徒を惹きつけていらっしゃった先生方もいらっしゃいます。

そういう時代に憧れ、熟・予備校講師を目指している方の中には「自分もああいう過激な発言や、パフォーマンスができないといけないのか」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

はっきり言って、その必要はありません。

時代は変わりました。今はパフォーマンス最優先の授業では生徒は「結局、自分の学力の向上にならない」と気づきます。

もちろん演出も効果はありますが、何より「高いお金を払って自分に得るものがあるか」を生徒はシビアに見ていますし、演出だけでは仮に短期的に人気が出たとしても、一発屋と同じくすぐに飽きられます。

無理にパフォーマンスに拘らず、社会人として当たり前のことを当たり前にこなし、その上で己研鑽による魅力的な授業をすれば、必然的に結果はついて来ると、私は考えます。

言葉遣い・挨拶・服装などの、本当に基本的なことです。講師は授業では先達(せんだつ)として堂々として
いる方が良いかもしれませんが、一歩教壇を降りれば一人の社会人に過ぎません。

事務員の方々、同僚講師、周囲の人に対してしっかりと挨拶し、TPOを弁え、普通にコミュニケーションをとる・・・いわゆる有名講師の方々と教室外でお話しさせて頂いたことが何度かありましたが、彼らは基本的に教室外でも礼儀正しい立派な社会人でした。社会性とは、つまりそういうことです。

また、プロ講師として、保護者会などで保護者の方々と向き合う機会もあるかと思います。大人と大人が向かい合うので、そこでは社会的な常識が当然求められます。一人の社会人として「この方に我が子の指導をお任せしよう」と思っていただく必要があります。

プロ講師は、教科の授業だけできれば、後はなんでも許されるというわけではないということを、御理解頂ければと思います。

 

ちなみに、話は戻りますが、パフォーマンスがある事で生徒を楽しませる事もできるので有るに越した事は無いですよ(笑)
私も授業での鉄板ネタはいくつか持っています。そのうちの一つとして「絵」があります。正直申しまして私は絵が下手です!以下に古文の授業で書いた「武蔵坊弁慶」を載せます。

 

 

 

・・・・・いかがでしょうか。
ちなみに後ろに生えてる剣山みたいなとげとげは弁慶が刀狩りで奪った刀の数々です。

いいですか、授業中で書く絵なんてものは、滅茶苦茶上手か、滅茶苦茶下手かどっちかがネタとしては良いのです。中途半端が一番いけないのです。

話が脱線しましたが、とにかく、無理してパフォーマンスを充実させようとせず、社会人として当たり前の事をこなしつつ、常に時代に合わせて研究を怠らないこと、これがプロ講師の必須条件だと私は思います。

 

さいごに:当たり前を当たり前に

さて、今回はこんなところで終わりましょう。
まだお話しし足りない事は沢山ありますので、今後とも是非宜しくお願い致します。

最後に、今回お話しした三つの条件を振り返りましょう。
復習は大事ですよね。私が書いた筆文字で確認致しましょう。ちなみに書道は習った事はほとんどありません(大学の教員免許の必修過程の中の授業位か)。中学生の時に、授業の休み時間に筆ペンで遊んでいたら、気づいたら筆文字が書けるようになっていました。
絵が下手だけど筆文字が書ける、こんな特徴も武器にして、今日も講師をやらせて頂いています。
ではまたお会い致しましょう!

 

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中林 智人

記事執筆者:中林 智人

高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。

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