【『明治大の国語』発売記念】プロ講師が参考書を発売するためには?
こんにちは!国語科講師の中林です。
中林 智人 なかばやし ともひと
高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。
3月ですね。かなり寒さも和らいで来て、過ごしやすくなって来ました(花粉症の方は除く)。
塾講師・予備校講師の中では3月というのは他の月と比べて若干ですが、お休みが取りやすい方が多いのではないでしょうか?
頑張って指導してきた受験生が、受験結果や卒業を報告してくれるのを楽しみに待ちながら、じっくりと次年度の授業や春期講習などの準備を行う、そんな先生方も多いかと思います。あるいは空いた時間を使って、日頃はなかなかできない趣味に打ち込んだりするのも良いですね。
ちなみに、私も最近新しい趣味を始めました。以下の画像のグローブを使っています。
「キックボクシング」ですね。加齢に伴う体力低下に争い、強い精神力を作るには格闘技はうってつけです。前からやろうと思っていたのですが、中々手が出せずにいました。ですが今回決意してジムに入会しました!全くの素人からのスタートですが、頑張って「心も体も強いプロ講師」を目指します(笑)
さて、私事から始まった今回の記事ですが、もう1つ私事が続きます。今回は塾講師ステーションでの私の10個目の記事という記念すべき回なので、御容赦頂きたく存じますm(_ _)m
それで、なんの私事かと言いますと、タイトルの通りです。
今月中旬、私中林が編著者(現代文)の参考書『明治大の国語』が、教学社より全国発売されます。
私としても初の参考書の全国販売ですので、今回はこの本の内容・魅力についてお話しさせて頂くと共に、私が「赤本」で知られる教学社様から書籍を出すに至った流れを(守秘義務に抵触しない範囲で)お話し致します。
「塾講師・予備校講師としていつか自分の参考書を出したい!」と思っておられるプロ講師・プロ講師志望者の方々の参考になればと思います。宜しくお願いします!
目次
・『明治大の国語』の内容・魅力
・参考書を出すに至った経緯
・講師が参考書を出す為に必要なこと
・終わりに〜恐れず飛び込むことの重要性〜
『明治大の国語』の内容・魅力
タイトルの通り、明治大学全学部の過去10年度分の入試問題を徹底研究し、選りすぐりの20題を掲載して、詳細な解説をつけています。
しかし、それだけではただの過去問題集なので、より多くの受験生の志望校合格の為に色々と工夫が凝らされています。以下の点がそれです。
学部ごとの出題傾向・出典一覧表・難易度表示・大問構成表などの詳細なお役立ちデータの掲載
全国300校以上の大学の過去問題集を発売している教学社さんの強力なデータによる、問題文の出典一覧表や大問構成表などの様々な項目がありますので、明治大学を目指す受験生を強力にサポートできます。
また、問題自体も簡単なものから順に難しくなっていくように作られているので、今の自分の実力が明治大学の問題にどこまで食らいつけるものなのかが分かるようになっています。
現代文の「解き方の手順」「設問ごとの具体的なアプローチの方法」の掲載
塾・予備校関係者の方なら「GMARCH(学習院大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)」という学校群をご存知かと思いますが、明治大学はその中でも特に国語の問題のレベルが高く、設問の種類も豊富です。
例えば、内容説明型の選択問題に始まって、説明型記述問題・空欄補充問題・本文中からの抜き出し問題なども出題されますし、知識系も漢字の読み書きだけではなく、文学史・慣用表現などの国語常識も出題されます。
ですので、『明治大の国語』では、ただ問題ごとの解説をするだけでなく、最初に「問題の解き方の手順」と「設問ごとの具体的なアプローチの方法一覧」を載せています。
「試験開始!」の合図から始まり、どこからどう問題に挑むべきか、そしてこのそれぞれの設問に対してどう立ち向かうかといった、受験生の立場に寄り添った情報を載せておきました。
私が実際に予備校の授業で何度も話してきたことをまとめた感じの内容です。ここは特に自信を持ってお送りできるコンテンツです!
設問解説の中に盛り込まれた「ポイント」の掲載
設問解説も、ただ「本文◯◯行目に書いてあるから正解はア」なんて単純なものではなく、「ではその◯◯行目のポイントはどこに注目すれば探し出せるのか」「この問題を解くために必要は知識・考え方は何か」というところまで掘り下げたものになっています。
特に、設問解説の合間合間に挟み込まれた「ポイント」という項目で、本文を読む時、設問を解く時に特に必要となる大事な点をピックアップしています。
明治大学だけでなく、国語の入試問題全般に繋がる大事な部分をしっかり解説しているので、どこの大学の受験対策としても活用できる作りになっていますので、生徒だけでなく、プロ講師を目指す先生方にも役に立つ内容となっております。
参考書を出すに至った経緯
さて、おそらく多くの方が「どうやって参考書出せるようになったの?」という疑問を抱かれていると思います(抱いてなくとも抱いているものとして話を進めさせて頂きます笑)。
実際に私が今回の参考書発売にどうやってこぎつけたのかを簡単にお話しさせて頂きます。もちろん契約的な部分などの守秘義務が発生する所は触れられないので、そこは御了承下さい。
まず大前提として、参考書を出す出版社の方々は基本的に「ビジネス」として参考書出版を行なっているので、売れると確信できる要素が無いと出版してもらうことは困難です。
ではその「売れる要素」とは何か?学習参考書の範囲では大きく分けると次の2つが考えられます。
ネームバリューのある人気講師が書いている
多くの人に需要のある範囲・内容を取り扱っている
これ以外ですと、例えば学術的価値の高い専門書のような、購入者の数は少ないが後世に残すべき学術的な内容を扱っている本がありますが、「学習塾・予備校のプロ講師」の参考書としては一旦おいておきましょう。
ネームバリューのある人気講師が書いている
「あの◯◯で有名な◯◯先生が!」というキャッチコピーを見ればお分かりになるかと思います。
人気講師になるという先生方は、個人差もありますが皆それぞれ生徒を惹きつける魅力をお持ちなので、それが遺憾無く発揮された参考書であれば当然出版社側としても自信を持って出版に踏み出せるでしょう。
例えば私が勤めている河合塾の講師の先生方の中にも良著を出版されている方が大勢いらっしゃいますが、皆その先生の深い見識と弛まぬ努力の後が見える素晴らしい書籍ばかりです。「こりゃあ売れるわ!」と納得させられる内容となっております。
多くの人に需要のある範囲・内容を取り扱っている
この場合は「誰が書いたか」というより「皆が気になるあの試験の対策」「あの分野の対策」ができることを売りにしています。今回の私の『明治大の国語』はこちらに分類されますね。
明治大学の国語は前述のように難易度が高く、多くの受験生が「難しい。どうやって勉強すれば良いのか」という思いを持っているので、教学社さんが今回の出版の話を私に打診して下さいました。
さて、そこで気になるのは「人気講師でも無いし、研究者のような専門家でも無い私が、なぜ教学社さんという大手から『明治大の国語』を出版できたか」ですね。
自分で言うのもなんですが、私はまだまだネームバリューだけで本が売れるような人気講師ではありませんし、大学院・博士課程などで特定の学問を徹底的に研究して来たわけでもありません。大学卒業直後から私立高校での教員の道に飛び込んで、そこからずっと教育業界の人間です。
ですが、30歳を過ぎてから塾講師を始め、その次の年には「早稲田予備校」の講師として採用して頂きました。そこからは様々な予備校や塾を掛け持ちしながら経験を積ませて頂いたわけですが、その中で「いつか自分で参考書を出したいので、出版社や関連企業の繋がりがありましたら御紹介頂けると嬉しいです」という願いをしっかり予備校関係者の方々に伝えて来ました。自分でも色々な出版社の方々にメールを送ったり電話をしたりして営業をしました。
ただ、やはりネームバリューが無い講師の単筆の参考書をいきなり出そうと動いてくれる出版社はなかなか無く、「とりあえず地道に講師としてのキャリアを重ねながら、同時に文章力も磨いて行こう」と思っていた所、お仕事をさせて頂いていたとある予備校の方から教学社さんのことを紹介して頂きました。
後は自分で企画書や参考書案をプレゼンして自分の熱意をアピールしました。そこから教学社さんのお仕事にも参加させて頂き、1つ1つのお仕事に自分なりに地道に全力で取り組んで来ました。
そんなある日、教学社さんの方から今回の『明治大の国語』の執筆の依頼を頂きました。教学社さんから出版されるGMARCH内の初の国語の問題集なので、「自分には荷が重いのでは・・・」と言う葛藤は当然ありました。
初めて自分が関わる参考書のテーマとしては大き過ぎるのではとも思いましたが、「そういう仕事の依頼が自分に来たということは、少なくともこれまでの仕事内容から自分に必要な能力があると認めてくださっているのだから、恐れず取り組もう」と思い、了承した次第です。
後はもう入試問題を研究・執筆・・・まあ頑張るだけです(笑)
講師が参考書を出す為に必要なこと
すいません、たった一冊(しかも共著)出しただけの人間が、まるで何冊もヒット作品を出した大御所のようにノウハウを語るのはおこがましいと思われるのも百も承知です。本当に申し訳ありません。
ですが、逆に言うと「それぐらい厚かましく自分を積極的にアピールしたこと」が、今回の参考書の発売に繋がったとも言えるので、恐れず言わせて頂きます。
「講師が参考書を出す為に必要なこと」ですが、一言で言うと前述の「売れる要素」を満たしていると出版社の方に思ってもらえることです。
例えば東進ハイスクールで御活躍の林修先生のようなネームバリューがあれば書籍を出すだけで多くの人が注目されるでしょうから、向こうから参考書発売の依頼も来るでしょう。
ただ、それが全てでもありません。無名でも私みたいに、積極的に予備校や出版社に働きかけることで道が開ける場合もあります。つまりまとめると、次の3つがポイントです。
1、講師としての知名度を上げる
2、出版社や予備校に働きかける
3、文章力・教科知識を磨く
①はもう、頑張って頂くしかありません。生徒のことを考え、教材研究をし、時代にあった人気講師になれば自然と出版の話も来るでしょう。
それを目指すと同時に、②を行いましょう。積極的に周囲の先輩講師の方々や予備校にも自身の希望を伝えてるのです。そうすればそのうち「今回の◯◯参考書の件、あの先生に依頼してみようかな?本人も参考書書きたがっていたし」となるかもしれません。
もちろんその為には日頃から仕事に真面目に取り組み、社会人としても信頼される振る舞いを欠かさないことです。以前の拙筆記事「プロ講師に必要な3つの素養とは?」でも書きましたが、講師は社会性が大事です。
そしてもう1つ大事なことは、③にあるように、肝心の「文章力・教科知識」が無いとそもそも魅力的な参考書が執筆できませんよね。
実際書いてみると分かりますが、分かりやすい解説や魅力的な文書を書くことは教壇で授業をすることとは似てるようで異なります。
また文字として形に残り、全国の生徒や教育関係者が見るものですので、日本語的にも教科知識的にも間違いがないようにしないといけません。
教科知識を弛まぬ自己研鑽で増強していくことはもちろん、どんどん文章を書いて文章力を磨いて行きましょう!
ご存知の通り塾講師ステーションさんの方でもコラム執筆者を常時募集していますので、そういう機会もどんどん活用し、アウトプットの機会を増やしていってはどうでしょうか?
ちなみに大手予備校や進学校の講師採用試験では、教科知識だけでなく、「自分で設問を作成したり、その解説を作る」という課題を課すところもあります。
そういった技術も参考書執筆の為には必要なものだと思います。あらかじめ用意された問題や解説を元に授業するのとは、また違った大変さがありますが、プロ講師としてのスキルアップになりますよね。
終わりに〜恐れず飛び込むことの重要性〜
今回の記事でも何度か触れましたが、可能性が低いと思っても積極的に挑戦してみることが大事だと思います。
講師採用試験にしても、参考書発売にしても、「あなたにその能力が無ければ、先方がそれを見抜いて不採用にしてくれる」はずなので、恐れず飛び込んでみましょう。
その結果が思わしく無いものであったとしても、「今はまだ能力が足りなくとも、実力をつけて次は必ず受かってやる(出版にこぎつけてやる)」という気持ちで次に切り替えることですね。
参考書の話ではありませんが、私が河合塾の採用試験を受験したのは33歳の時でした。
前述の通り、元々塾・予備校講師としてのスタートが遅かったので、世間的に転職・就職が困難と言われる35歳までに「なんとかこの業界で生きていける土台を作ろう」と思い、自分も高校生の時に通っていた河合塾講師の採用試験を受けました。
正直、可能性が低いどころの話ではなく、1回で選考を通過できるとは全く思っていなく、「まあ最初の筆記で落とされるだろう。万一通っても面接でボコボコにされるだろうから、とにかく今の自分の実力が大手予備校の求めているラインとどれ位離れているかを正確に認識し、これからの自己研鑽の参考にさせてもらおう」という気持ちで臨みました。
結果としてはその1回で筆記も面接も模擬授業もパスし、気がついたら採用通知書が手元に届いていました。正直、今でも信じられなく、採用担当者の方に「なぜ私を合格にしてくれたのですか?」といつか1回聞いてみたいと思っています(笑)
なんにしても、その時の無謀な挑戦が、結果的に無謀では無くなり、自分の人生に大きな影響を与えるお仕事に出会うことができました。それに見合う努力をすることは前提条件ですが、「自分には無理だ」と思っても恐れず果敢に挑戦して、自分の殻を破ってみて下さい。応援しています!
ではまた次回お会いしましょう!
社会人で塾講師・家庭教師探すなら
塾講師ステーションキャリアのおすすめポイント!
求人数20,000件以上!時給4,000円以上、専門塾、オンラインなど、バリエーションが豊富。
登録した希望条件などをみて塾の人事から直接スカウトがくる。
採用されると最大お祝い10,000円分がもらえる。(※AMAZONギフト券)
サイトには掲載のない非公開求人(高時給、教科特化求人等)があり、会員限定で公開している。
塾講師ステーションキャリアでは、正社員~プロ講師まで、業界No1の求人数を誇っています。
登録するだけで、希望地域や得意分野、経歴に合わせてスカウトが届くので、登録しておくだけで求人と出会うことができます。
また、サイトには掲載のない非公開求人もあるので、事前に登録しておくことがおすすめです。
あわせて読みたい記事
プロ講師・非常勤講師のおすすめ塾講師バイト・求人特集
塾講師ステーションでは300件を超えるプロ講師案件を掲載しています。本記事では、全国又は関東に複数の教室を展開しているプロ講師募集塾をご紹介しています。