交通の特徴と情報化社会
現代は非常に交通網が発達した時代になりました。産業革命以後、第一次輸送革命・第二次輸送革命と経て、主に自動車・鉄道・航空機・船舶の4つが主要な輸送手段となりました。
- 自動車・鉄道輸送の特徴・趨勢について
- 航空機輸送・船舶輸送の特徴、趨勢について
- 情報通信産業の発展とデジタルディバイド
1.自動車輸送・鉄道輸送の特徴・趨勢について
前述のように、陸上輸送の主な方法は自動車輸送か鉄道輸送です。輸送量を考える際に旅客/貨物と分けます。旅客は、私たちが旅行したり通勤したりみたいに、人を運ぶことです。一方貨物は、モノを運ぶことです。最近の潮流は自動車と鉄道で対称的で、
・自動車→旅客輸送・貨物輸送共に増加
・鉄道→旅客輸送・鉄道輸送共に減少
となっています。上のように自動車が好調、鉄道が不調になっている理由も含めて下でそれぞれ見ていきたいと思います。
自動車輸送の特徴について
自動車輸送の特徴は、良い面と悪い面でそれぞれ以下のようになっています。
良い面…小口輸送ができること(ドアからドアまで輸送可能)、小資本で営業開始できる点、即時性
悪い面…輸送量は少なくなる、長距離輸送に向かない、定時性が無い
といった点になります。
やはりリアルタイムの輸送が可能という点、それからモータリゼーションの進行に伴う自動車専用道路の発達といった要因に支えられて最近は輸送量が旅客・貨物ともに増えてきています。平成24年度の統計データはこちらを参照してください。→自動車輸送統計年報
鉄道輸送の特徴について
鉄道輸送の特徴は、良い面と悪い面でそれぞれ以下のようになっています。
良い面…コストが安いこと、大量輸送ができること、定時性があること
悪い面…地形の制約を受けること、駅から駅までしか移動できない(融通が利きづらい)
上を見ると分かりますが、鉄道輸送の長所・短所は自動車輸送の長所・短所を裏返したものが多いことが分かります。鉄道輸送の中でも旅客・貨物で分けて見てみるとアメリカと日本では特徴が変わってきます。
日本では旅客>貨物となっています。これは前述した自動車輸送にシェアを奪われているからです。やはり旅客輸送のほうが多いのは、通勤・通学などが多く、大都市内部での移動や大都市間での移動(新幹線の場合が多い)が多いので必然的に量が増えるからです。それでも最近はその旅客輸送も減少傾向にあります。(右図の表を参照。国土交通省公表の資料https://www.mlit.go.jp/k-toukei/10/annual/index.pdfより引用)それの一因としてはSOHOに代表されるような就業形態の変化があります。
一方アメリカでは旅客<貨物となっています。国土が日本よりも大分広いので、旅客輸送であれば航空機を使うほうがメインになってきます。一方穀物や石炭を輸送する際に鉄道を使用することは多いので、上のような結果となります。
このように自動車輸送と鉄道輸送では大きく特徴が変わってきます。以上の特徴をきっちり生徒さんに教えて応用的な記述問題にも対応できるようにしてあげてください。
前半部分では主に輸送方法などの「交通」分野について解説してきました。今回は主に「通信」分野の内容について解説していきます。IT革命をはじめとして情報通信産業が発達した後、今日どのような問題を生じているかについて順番に述べていきます。
現代は非常に交通網が発達した時代になりました。産業革命以後、第一次輸送革命・第二次輸送革命と経て、主に自動車・鉄道・船舶・航空機の4つが主要な輸送手段となりました。今回は陸上輸送以外の手段である航空機・船舶について、その特徴をまとめました。ちなみに自動車・鉄道による輸送の特徴についてはこちら!→交通・通信 Part1 -自動車・鉄道による輸送の特徴-
2.航空機輸送・船舶輸送の特徴、趨勢について
前述のように、陸上輸送の主な方法は自動車輸送か鉄道輸送です。輸送量を考える際に旅客/貨物と分けます。旅客は、私たちが旅行したり通勤したりみたいに、人を運ぶことです。一方貨物は、モノを運ぶことです。航空機輸送と船舶輸送が使用される場面はそれぞれ特徴的ですので、以下でそれについての違いを見ていきます。
航空機輸送の特徴について
航空機輸送の特徴は、良い面と悪い面でそれぞれ以下のようになっています。
良い面…高速性、地形の制約を受けないこと(飛んでしまうから)
悪い面…空港建設費、騒音などの公害、気象の影響
といった点になります。
旅客と貨物で分けると以下のようなものを輸送します。考えれば当たり前の特徴ではあるのですが。
旅客…長距離移動・輸送が多い
貨物…半導体、貴金属などの高付加価値物が多い
また用語を1つ紹介しておきます。空港の中には「ハブ空港」と呼ばれるものがあります。ハブ空港とは航路の拠点となる大規模な空港のことで、輸送方法としてはハブアンドスポーク方式というものがあります。これは拠点、つまりハブとなる空港に荷物を集中させそこから各拠点に荷物を分散(スポーク)させるという輸送方法です。拠点間を相互に輸送するより効率が良い方法になっています。
船舶輸送の特徴について
船舶輸送の特徴は、良い面と悪い面でそれぞれ以下のようになっています。
良い面…コストが安いこと、長距離大量輸送ができること
悪い面…輸送時間が長いこと、港湾建設費が大きいこと
みなさんのイメージと大きく変わる点はないでしょう。ここで特定の荷役の運搬に特化した船舶の種類を紹介しておきます。
①タンカー (油送船)
②LNG専用船 (そのままですが、液化天然ガスの輸送船です)
③バルクキャリア (鉱石ばら積み船)
現在日本では船舶輸送量が減少傾向にあります。(参照:https://www.jsanet.or.jp/data/pdf/2013data60-4.pdf)
理由としては3点ほどあり
1.輸送物が軽量高付加価値物が多くなってきた
2.海外であれば現地生産が拡大してきた
3.産業構造の高度化(1の理由とつながります)
先ほど航空機輸送で半導体、貴金属などの輸送が多いという話をしましたが、それらがここでいう「軽量高付加価値物」です。これらの製品なら、わざわざ船舶ではなく多少高い航空機で輸送しても採算が十分とれるということですね。
以上が航空機輸送と船舶輸送の特徴でした。しっかりそれぞれの特徴を整理し、生徒さんに教えてあげてください。
3.情報通信産業の発展とデジタルディバイド
今日当たり前になっている情報通信産業はIT革命から急速に発展しました。大きな流れとしては
IT革命→IT産業(情報通信産業)の発展→(ITバブルの発生)→デジタルディバイドの発生
となっています。今回はこれらの事項に関して一つ一つ説明していきたいと思います。
IT革命
IT革命とは何でしょうか?一律の定義が存在するわけではありませんが、以下のようなものです。
コンピューターやインターネットをはじめとする情報技術の発展・普及によって生じる社会の大きな変化のこと。新しい情報メディアの普及や電子商取引の拡大などで社会生活に大きな変化が起きていること。
このIT革命を皮切りに発展したIT産業とは具体的にどのような産業のことでしょうか?具体例を挙げて一端を理解していきましょう。例としては、
コンピュータメーカーや通信事業者、ソフトウェアメーカー、
システムインテグレータ、...です。
このように情報・通信技術に関連する産業を総称してIT産業と呼びます。
ITバブル
少しそれますが、ここで1990年代後半から2000年頃に発生したITバブルに
ついて説明していきます。前述のようにIT革命をきっかけとして電子商取引(e-コマース)などが可能となり、既存のビジネス・モデルを大きく揺るがすものとなりました。これによってIT関連企業に注目が集まり株価が急騰しました。ちょうどこの時期はアジア通貨危機などで資金を比較的途上国から引き揚げている状態だったので投資先を探している状態だったということも一因としてあります。しかし、こうした株価の急騰も企業の実績をはるかに上回るペースでしたので、当然どこかで株価が急落する時がやってきます。それがITバブルが弾けた時になります。
ちなみに、このITバブルが弾けた時には多くのITベンチャーが消えていきましたが、その中で生き残った企業がGoogleやAmazon.comなどの現在有名になっている企業です。
デジタルディバイド
デジタルディバイドは「情報格差」とも訳されます。上で説明したように急速に情報・通信産業が発達すると下のような条件で格差が生じてきます。
・情報インフラが整備されているか?
・所得や教育水準
結果上のような条件で恵まれた地域や世代は、恩恵を被り経済水準も上昇していきます。一方、インフラが整っていないなどの理由でなかなか情報・通信産業の発展についていけなかった場合は経済水準が停滞してしまいます。このようにコンピューターをはじめとするIT技術を使いこなせるか否かによって生じる格差のことをデジタルディバイドと呼びます。
いかがでしたか?今回紹介した内容が、IT革命から情報通信産業の発展、そしてデジタルディバイドに至る流れでした。ITバブルなどの話も知っておくと便利ですので、ぜひ生徒さんに紹介してあげてください。