【塾講師のノウハウ】塾の存在意義から講師の役割を考える【個別指導向け】
はじめにー塾の存在意義と講師の役割ー
皆さんの勤務している「塾」という存在について考えたことがありますでしょうか?ないという人がほとんどではないかなと思います。私もそうでした。4年間塾に勤務していましたが、「塾」という自分が勤務している職場について、「塾」そのものの存在意義などは考えたことは一切ありませんでした。そもそも考える暇もありませんでした。常に生徒と向き合って、予習に追われって感じでてんてこ舞いの塾講師生活でしたからね。
そんな自分が塾講師を辞めてから少し塾について考えることが多くありました。塾講師ではないので、自分の目の前にある生徒や塾の課題を考えることはなくなりました。というか考える必要もありません。だからこそ、塾について考えること、「塾」とは何かといったような大きな枠組みのことを考えることができるようになりました。また、この正月にたくさんの本を読むように心がけました。それで様々なことを学びました。その中でも組織や仕事、教育について語られているものを読むと真っ先に「塾」という枠組みが思い浮かんできます。
今回はこの記事で「塾」について根本的な投げかけをし、そこから塾講師の役割というものも考えていきたいと思います。なおここでは塾とは私が勤務していた個別指導塾の総称として使っています。もちろん集団塾にも当てはまることもあると思います。ただ、やはり私が勤務していた個別指導塾を軸に書かせていただきます。また個別指導塾の生徒の半分以上が中学生、特に高校受験生となっています。そのため中学生をイメージして記事を書いています。
塾の存在価値
そもそも塾の存在価値とは何なんでしょうか?塾とは言うまでもなく、勉強を教える教育機関です。そこには講師がいて生徒がいて講師が生徒に勉強を教えています。また、塾長がおり塾の事務などを行う事務員の方がいる場合もあるでしょう。
では、そもそも塾とは存在する必要があるのでしょうか?勉強を教える場には学校という大きな存在があります。またそれも、小学校・中学校・高校というものが存在しています。学校があるのにも関わらず生徒は塾にも通っています。なぜなのでしょうか?ここに一つの例を出したいと思います。
この年末から年始にかけてTVを見ているとあるCMが目に入ってきました。2か月で劇的に痩せることができるジムのCMでした。2ヶ月でかなりの変化を見込むことができるようで非常に興味深く見ていました。そして最近自己最高体重を超えてしまった私がふと「2ヶ月でこんなになるんだったらいいな~。かなり高いんだけど、これは検討に値するよね~。」と言いました。そうしたら、うちの父がこんなことを言いました。「お前、こんなのは筋トレと食事制限なんだよ。筋トレも食事制限も一人でできるじゃねーか。」と。そんな父親も週末になれば痩せる痩せるいっていて劇的に痩せることがない人間です。そんな父親から言われたので私はこう反論しました。「そりゃ理論的に考えればそうだわ。当たり前じゃん。だけどそれができる人がいったい何人いるだよ~。できないから巷にはダイエット本が氾濫してるわけだし…。そんでもってこんなCMも流されてるんじゃん。ダイエットみたいな地味できついことは一人じゃできないんだよ。」と。その話を聞いておそらく父親は納得したのでしょう。それ以降は黙っていました。
その対話を自分でしていてふと思ったことがありました。これって塾と同じなのではないかと。生徒にしてみれば勉強は地味でつまらなくて嫌なことであると思います。また、中には塾に通わないで希望の高校や大学に受かるような生徒もいます。しかし、そのような生徒はごく一部だと思います。それはなぜか。それはやはり一人では勉強をするのはつらいということです。極論参考書を買って、問題集を買って自分一人で勉強をすればいいのです。私の個別指導塾は演習が中心の塾でした。市販でも流通している問題集も使っていました。そしてそれで演習を行っていたので、自分でその問題集を買って問題を解いても同じようなものです。(極論ですが…。)
しかし、多くの保護者の方はその問題集を買うだけでなく高いお金を払って塾にわが子を入れてくるのです。それはもちろん講師が教えるノウハウというものに期待をしてくることもあると思います。しかし、中学生を受け入れている塾の講師の多くは大学生です。それは保護者の方も承知しています。CMで流している大手予備校の講師のようなノウハウや知識は正直ありません。私も数多くの保護者面談を行ってきましたが、保護者の方はノウハウや知識のみを期待しているようではありませんでした。むしろ、生徒に勉強をするように働きかけてほしいということがほとんどでした。
つまり、生徒が毎日勉強するように、生徒が勉強に興味を持てるようにしてほしいというのが保護者の願いであり塾に求めることなのです。これが、直接的なお客様である生徒に出資している保護者の願いだと思います。このようなことを講師そして塾に求められているのです。
講師の役割
以上のことから講師にはどのようなことを求められているのでしょうか。ここから導き出せることは、
講師は生徒のコーチであるということです。
私の持論ですが、塾講師特に個別指導塾講師、特に中学生が生徒の場合、教科を教えるということよりも、生徒のモチベーションを上げ、生徒を管理するコーチのような役割が必要であると考えます。そのため、中学生を教えるのであれば、必ずしも高学歴である必要は全くないと思います。(もちろん必要最低限の基礎学力は必要です。)なので、自分が高学歴ではないからと悩む必要は全くないと考えます。むしろ、高学歴な人はもともと勉強ができていたり、勉強が楽しくてしょうがなかったりする場合もあるので、生徒の気持ちを理解するのが難しいことも多々あります。
私が勤めていた塾で人気の女性講師が2人いました。この2人は世の中で言う高学歴といわれる大学に在学してはいませんでした。しかしながらこの2人の講師には常に担当生徒が多数いました。私はこの2人の講師の仕事を観察しました。そこで分かったことがあります。2人は講師でありながら、常に生徒と同じ目線で授業を教えているのでした。具体的に言うと1人の講師は自作のプリントを使用していました。ここには生徒が理解しやすいようにそしてとっつきやすいように、絵をふんだんに利用していました。また、具体例も生徒の身近なものであるようにしていました。自分が生徒だったらこうしてもらったらわかりやすいからと言っていました。
もう1人の講師は常に生徒と一緒の時間を過ごそうとしていました。例えば、普通の講師は休憩時間は講師室で休みます。しかし、この講師は常に授業ブースにいて生徒とコミュニケーションをとっていました。そうすることにより、生徒との絆が深まります。また、そうすることにより生徒が講師のために頑張りたいとなると言っていました。
この2人は高学歴ではありませんが、人気講師ですし実際に多くの生徒を志望校へ送り出しています。それは、学歴が重要なのではなく、コーチとしての役割が求められている証拠でしょう。もちろんこれだけがコーチの役割ではありません。生徒の学習管理をするというのコーチング能力ですし、生徒に適量の宿題を出すというのも立派な能力だと思います。また、生徒とともに夢を語り合い、そこから進路指導をしたり、自分よりも高い志望校を目指させるというのも立派な能力です。
つまり、一人で勉強が難しいという生徒に寄り添い、生徒のモチベーションを向上させ、高い状態でキープさせ、勉強をさせるように仕向けられる人が講師でとして最高の人物であると考えます。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は正月のふとしたことから「塾」について根本的な考えから講師の心構えを考察してみました。講師には必ずとも学力は必要はないのです。めちゃくちゃ頭が良くなければ人気講師になれないなんてことはありません。今塾講師で自分の学力に不安を持っている講師や自信が持てない講師は、学力を上げる努力はしつつもそこだけで講師の良さが決まるわけでは決してないので、それ以外のところで差別化が図れないかどうかも考えてみてください。