【採用担当者向け】講師を採用する前に、絶対に考えるただ1つのこと 経営者から見た講師戦略【1】
採用に悩んでいる、全ての方へ
皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田です。
今回から経営者・採用担当者様向けの連載記事として「経営者から見た講師戦略」を執筆してまいります。
この連載をお読みいただくにあたり、最初に少しだけ私の話にお付き合いください。
私はかつて、アルバイト講師の教育に学生時代から携わってきました。
その後、大手小売業で人事を担当し、人材育成の面白さと難しさを体感してまいりました。
そして現在、私は経営者兼採用担当者として教育事業を営んでいます。
また、自分自身も講師として、小学生から社会人まで、実に様々な人を教えています。
この経験から“経営者・採用担当者目線”と“講師・アルバイト目線”の2つの視点をもつことの重要性を、自らの体験から感じるようになりました。
ですが、多くの方は残念ながらこの2つのギャップに気付いていません。
これは片方の立場しか経験がない方が多く、思いがけないところで相手のニーズを見落としているためであると感じています。
例えば、以下のようなお悩みはありませんでしょうか。
「せっかく内定を出したのに、どうしてすぐに蹴られてしまうのか…」
「どうすればよい講師を育成し、教室運営まで手伝ってもらえるのか…」
このような課題を解決する一助になればと思い、本連載を執筆させて頂きます。
内容は大きく分けて“採用”と“教育”、そして“人事制度”の3点を、中心にといたします。
基本的に「経営者・人事担当者向け」の内容となりますが、教室運営に携わっている・携わる予定のアルバイト講師の方にも有用かと考えております。
また、新卒・既卒問わず、教育業界に入りたい方も、きっとお役に立てる部分はあるかと思いますので、ぜひお付き合いいただければ幸いです。
講師を採用するときに最も重要なこと
さて、お読みいただいている皆様に1点ご質問です。
「講師を採用するときに、最も重要なことはなんでしょうか」
このように聞かれた場合、皆様はぱっと何を思いつくでしょうか。
(少し考えてから、以下を読み進めてみて頂けると、更に理解が深まるかと思います)
・なにより明るさが重要じゃないか
・声が大きく、はきはきしている体育会系の子がいいな
・しっかりこちらを向いて話せている人が良いと思う
このように“人の性質”を基準に考える方もいらっしゃると思います。
・最低でも1年の講師経験がある人がいいかな
・すぐにでも教壇に立てそうな人がほしい!
・いったい何科目教えることができるのだろうか。多い人を採用しよう。
“経験年数”や“即戦力か否か”という点を重視される方もいるでしょう。
・うちは熱血系だから、熱く語れる人がいい!
・今すぐにでも講師がほしい。来月ベテランの先生が辞めてしまうので…
・今のアルバイト講師は若い人が多いから、若い人の方が馴染みやすい。
“現場の緊急度”や“社風”を中心に考える方もいらっしゃいますね。
どれも間違ってはいません。
企業様・各教室様により、その雰囲気や考え方は異なると思います。
ですが、あえて言わせてください。
上述した内容は、いずれも「講師を採用するときに最も重要な本質」ではありません。
なぜなら、いずれも“どの状況でも必要不可欠な視点”と言い切ることができないためです。
例えば“明るさ”は一般的に、講師として重要だと感じる方が多いでしょう。
ですが実際に活躍している講師全員が“明るい”のかどうか、今一度考えてみてください。
確かに声が小さいのは問題かもしれませんが、だからといって“明るい=良い講師”と言い切れませんよね。
また、生徒によっては“明るすぎる”先生がいや、という生徒も沢山います。
このことから、明るさが最も重要なことではない、ということがわかると思います。
「講師を採用するときに、最も重要なこと」は
利益を生み出すことができる講師か否か私は、この一つだけだと確信しています。
塾と学校の違い
塾・予備校と学校の最大の違いは、営利企業か否かということです。
公立教員は公務員ですから、よほど国の財政が悪化しない限り、定期昇給が約束されている身分です。
生徒数などは考えず、目の前の生徒がより良くなるよう、努めれば問題ありません。
私立では確かに生徒数は重要ですが、税制面や補助金など、国が様々な支援を行ってくれます。
ですが私たち塾・予備校は違いますよね。
自分たちの売上を、自分たちの手で作り上げなければならないのです。
私たちの商品の核は授業ですが、これは労働集約的な性質をもちます。
つまり、どうしても人手がたくさん必要になるわけです。
(映像講義と生講義の比較については、別記事で詳述致します)
売上を増やす→授業数を増やす→先生を増やす
この式から、私たちが定期的に講師を採用しなければならない理由がわかると思います。
ですが、原点は“売上を増やす!”ために採用する、という点は常に意識してください。
余談ですが、アルバイト講師になんで君を採用したと思う?と聞いて、答えられる人はほとんどいません。ぜひ“売り上げに貢献してほしい!”ということを率直に伝えるようにしましょう。すると自発的に考え、行動してくれるようになります。詳細は連載の中で、改めて書かせて頂きますね。
「授業がうまい」=良い先生とは限らない
講師を採用する目的は「授業のため」ですが、お客様にご提供しているのは授業だけではありません。
講師からのフォロー電話、毎年更新される教材、塾に通わせているという安心感…
色々なニーズに応える場所が塾・予備校の役割だと思います。
つまり、授業は顧客満足の一つのツールにすぎないのです。
どうしても“良い授業をする講師=良い講師”と考えてしまいがちですが、それは今日から改めるべきです。
なぜなら、私たちは“支払者=受益者”ではない、極めて珍しいサービスを提供しているためです。
支払者(保護者の方)は受益者(生徒)の又聞きだけで、商品(授業)の質を確認しています。
ですが、伝達を繰り返すと、情報は誤って伝わる確率が高まってしまいます。
(伝聞ゲームを繰り返すと、最初と最後の人の言っていることが違ってくるイメージですね)
しかも伝えるのが生徒ですから、どうしても偏って伝わりがちです。
仮に生徒から「あの先生の授業、わかりにくい!」などと悪い情報が入った場合、塾に対してどのように保護者は感じるのでしょうか。
この例の場合、仮に生徒が授業を聞いておらず、本当は素晴らしい授業をしていても、実物を見ることができないため、不信感は解消されません。
ここで「保護者対応」が重要になってくるわけです。
保護者対応が決して授業のオマケではないことを、ぜひ再認識頂ければと思います。
どちらかだけにしか意識が向かない講師は、実は良い講師とは言えません。
公教育とは違い、私たちにとっては生徒も保護者も“お客様”です。
その双方が満足できるような授業、保護者対応ができる先生こそが、良い講師と言えるでしょう。
最後に、せっかく授業力が高かったのに講師として失敗してしまった先生の例をご紹介いたします。
算数で非常に良い授業をする講師がいました。
彼は多くの生徒を惹きつけ、わかりやすい授業に定評がありました。
ですが残念ながら保護者対応があまり上手でなく、度々喧嘩してしまうことがありました。
確かに彼はプロであり、保護者に伝えている内容が間違っているわけではなかったのです。
では、何が悪かったのか。
ずばり“正しいことを厳しく、正確に伝えすぎた”のです。
「○○高校にお子様は絶対入れません。早く諦めたほうがいいですよ」
「授業中に別の子にちょっかいを出していましたので、厳しく注意しました。ですが本人に反省の色は見えませんでした。ご家庭でもきつく言っておいていただけますか」
「お母さん、その授業数じゃ受験合格は難しいです。もっと授業数(=予算)を増やしてくれないと、責任を持てませんよ」
…このようにいわれて、喜ぶ保護者はいるでしょうか?
結局、保護者の信頼を得ることが難しく、次々に生徒を退塾させてしまいました。
そしてついに、彼も仕事がなくなってしまいました。
この例からも、塾講師の本質が授業ではないことが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
まとめ
「経営者・採用担当者目線」と「講師目線」は全く異なることを理解する
“採用に最も重要な視点=利益を出す講師か否か”である
次回は人事戦略の全体像と塾業界の特殊性について、お伝えしていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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