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【科目・学年別】宿題の出し方 -中1 英語編― 

2021/12/17

講師の皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田です。

講師の重要な役割の一つとして「宿題管理」が挙げられます。

 

ですが、宿題管理というのは実に奥が深いものです。

 

“生徒1人1人に最適な量を出せばいいんだよ!”

と言われたところで、

「最適」がどれぐらいを指すのか、わからない方も多いのではないでしょうか

 

また、生徒は基本的に宿題をやりたがらないですから、仮に「できるだけやってきなさい」と伝えると、どうしても量は少なくなりがちです。

 

そこで、「学年」「科目」「才能」「意欲」の4つの軸に注目して、具体的な宿題の出し方をお伝えしてまいります。ぜひここで宿題の出し方を学び、担当した生徒の成績を上げられるように頑張りましょう!

 

【ルール】
・タイトルで教科を示しています。
・原則、受験生を対象としています。内部進学、非受験(補習)の生徒とは異なります。
・才能と意欲は、以下の4つの軸に分けて説明しています。

 

意欲

高い

低い

才能

高い

秀才型タイプ

天才型タイプ

低い

努力型タイプ

不安型タイプ

中1英語の学習範囲

英語は学習指導要領で明確に学年別範囲が決められておりません。
また、文法事項や目的とした能力についても、やや曖昧な記述となっています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/gai.htm


そこで、本稿では中1に獲得しておきたい、基本的な事項を絞って解説します。

 

アルファベットの書き方
be動詞と一般動詞の違い
3人称単数
疑問詞
現在進行形
日常的なコミュニケーション(あいさつ、電話など)
その他(単語・熟語)
その他(命令文、前置詞、冠詞など)

 

 

各単元でつまずきやすいポイント

アルファベットの書き方

最初に取り組まなければならないのが、アルファベットの書き方。

ここをつまずく生徒はいませんが、課題となるのは“板書の写し方”です。

まだ単語をほぼ知らない状態だと、1文字ずつ写してしまう生徒もいます。

なるべくまとめて綴りを書けるように、少しずつ単語を覚えるよう指導しましょう。

宿題で絶対に確認する部分
・大文字/小文字の書き方(余裕があれば筆記体も扱いましょう)
・基本的な英単語の暗記

be動詞と一般動詞の違い

be動詞と一般動詞の違いは、基本的な文法として最初に教えて頂きたいところです。

文法用語を過剰に使う必要はありませんが、授業で必要な用語については、一つずつ丁寧に説明してあげましょう。

 

また、

・英語の文章は、必ずS(主語)とV(動詞)がないと成立しないこと。
・Sには名詞・代名詞、Vには動詞がくること。(区別して単語を覚えること!)

以上2点については、必ず教えましょう。

 

宿題で絶対に確認する部分
・be動詞と一般動詞の違い
・否定文の作り方
・疑問文の作り方と、答え方

3人称単数

3人称単数の時、一般動詞だけs(es)がつくことをきちんと理解させましょう。
(be動詞にはつかないことを、強調してくださいね!)

 

また、このあたりから徐々に単語の種類も増えていきます。

しっかりと綴り・発音を確認し、覚えさせるようにしましょう。

宿題で絶対に確認する部分
・3人称単数の意味と、s(es)をつけるルール
・Whoの扱い(Whoは3人称単数です!)

疑問詞

生徒にとって、ここはかなりの難関です。

まず、今までの疑問文(yes/noで答えられる問題)の復習から入りましょう。

そして、対比させる形で疑問詞がある文を教えていきます。

単なる疑問文と異なり、名詞が不足することを理解させましょう。
(ここを失敗すると、語順を入れ替える問題が対応できなくなります!)

 

宿題で絶対に確認する部分
・疑問詞の確認
・疑問詞を使った英作文(ローレベルであれば、語順変化の問題を扱いましょう)

現在進行形

現在形と現在進行形の違いを、しっかり確認させましょう。

 

なお、

安易に-ingがつくと「~している」と訳すんだよ、と教えるのはやめてください!

 

日本語訳だけで判断する癖がつくと、前置詞や受動態でつまずいてしまう危険があります。

必ず“時の一点を強調する”ことを伝えましょう。

宿題で絶対に確認する部分
現在形を現在進行形に書き換える問題
(ハイレベル向け)知覚動詞と動作動詞の違い

日常的なコミュニケーション(あいさつ、電話など)

近年の英語教育では文法にとらわれない、コミュニケーション力が重視されています。

それに伴い、「What would you like ?」や「Just a moment」のような慣用表現も教科書に掲載されています。

 

塾での対応はなかなか難しいですが、定期テスト対策の時に、一緒に対話しながら確認してあげるとよいでしょう。

その他(単語・熟語)

2学期あたりで、簡単な単語学習を始めていきましょう。

1年生は、文法が難しくないため、語彙力で点差が開くことになります

即効性の高い対策として、塾内での小テストを繰り返すことをお勧めします。

その他(命令文、前置詞、冠詞など)

ほかにも様々な分野が出てきますが、あまり深追いすると生徒は“どこから手を付ければいいのか?”と混乱してしまいます。

今の時期は、


・英語の語順に慣れる
・基礎的な単語を覚える

 

を最優先に考え、指導していきましょう。

 

具体的な宿題量と、生徒に伝えるときのポイント

秀才型タイプ

宿題時間は2時間/週を目安とする。(英語のみ)
1問3分で採点・解き直しをすると考えると、約40問。

秀才型タイプには、積極的な「先取り学習」をやらせましょう

 

高校入試の科目の中で、英語は最も1年生の学習内容と3年生の内容がかい離している科目になります。

 

特に難関私立では教科書を逸脱した文法・単語が当たり前のように出題されますから、可能な限りスタートダッシュをしておきたいところです。

 

具体的には、以下の2点を実施していきましょう。


・単語帳を早期から実施する
・総合文法書(中学総合的研究など)を使って、中2の内容を講義する

 

英語の量に慣れさせるため、単語帳は文章がついているもの(例文タイプ)がおすすめです。
文法は中2までの内容が、中1の間に一通り終えられるとかなり差をつけることができるでしょう。

 

なお、このタイプでは宿題の量に注意が必要であるとお伝えしました。
(参考:http://www.juku.st/info/entry/1242

しかし、自力で英語の文法書を解き進めるのはかなり難しいです。

英語については、授業で話した内容以上を、無理して進める必要はないでしょう。

(逆に言えば、授業はかなり速度が求められる、ということになります)

 

天才型タイプ

宿題時間は1~2時間/週を目安とする。(英語のみ)
1問3分で採点・解き直しをすると考えると、約20問~40問。
ただし雑にやってくる可能性が極めて高いです。

天才型にとって、一番の課題は「学校の授業がつまらないと感じる」ことです。

 

これは、多くの先生方が丁寧な導入を実施されているため、速度が遅いと感じることが原因です。

そこで塾では秀才型同様、可能な限り先取り学習をすすめて、知的好奇心を満たしてあげるようにしましょう。(普段はやらない天才型でも、意外と英語学習に興味を持っている生徒は多いものです

 

しかし、文法はしっかり復習してくれません。

 

ですので、取り組みやすい問題集をどんどん解かせ、強制的に復習させる仕組みを作りましょう
(2冊の問題集を使い、同じ単元を解かせる方法がおすすめです)

また、意欲がある生徒に対しては、簡単な英語の本を読ませてもよいかと思います。

まだ英語で要約する力はありませんので、日本語で感想を言えれば十分でしょう。

 

(参考)帰国子女の場合、どのように教えればよいか?
たまに「帰国子女だから英語なんて勉強しなくてもできる!」と話す生徒がいます。
彼らには、最初に難関校の入試問題をやらせてみましょう。
結果、合格点に達するなら他の科目だけ勉強することも構いません。
もし達さなかった場合は、まずそのことを認めさせましょう。(英語だけはできる!とプライドが高いことも多いです…)
そのうえで、足らない部分を重点的に指導してあげてください。
(基礎力があるため、時間は週1時間程度で十分でしょう)

努力型タイプ

宿題時間は2時間/週を目安とする。(英語のみ)
1問4分で採点・解き直しをすると考えると、約30問。

努力型タイプでは「コツコツやらせる」ことを意識して、宿題を設定するとよいでしょう。

具体的には、学習しやすい単語帳を使った学習を早期にはじめさせることをおすすめします

 

また、文法を教えていくうちに、頭の中でこんがらがってしまうケースが散見されます。
(3単元のsと、複数形のsが混乱してしまう、aとtheの違いがわからないなど…)

宿題を見るときに、必ず「わかりにくいところはあった?」と聞いてあげるようにしましょう。

 

不安型タイプ

宿題時間は1時間/週を目安とする。(英語のみ)
1問4分で採点・解き直しをすると考えると、約15問。

不安型タイプで一番厄介なのは、基礎的な英語学習を放棄すること。

最初はどうしても覚えなければいけない部分や、パターンとして解く部分がほとんどですが、これを飽きてやらなくなるケースが目立ちます。

多少無理強いしても、覚えるべきところをしっかり覚えきるように指導してください
(ここで暗記から逃げると、単語力での失点が徐々に増えてしまいます)

また、英語に苦手意識を持たせないよう、単語帳の学習だけでも、十分点が取れることを伝えましょう。

 

英語は中1の時点で、生徒間の学力に差がありません。

 

ですから、不安型でも良い点を取り、自信をつけてもらうチャンスでもあります。

ぜひ定期テストでよい点数が取れるように指導しましょう。

 まとめ

 

宿題量(週あたり)

ポイント

注意点

秀才型

2時間

早く進める

課題量に注意する

天才型

1-2時間

知的好奇心を刺激する

文法をしっかりやらせる

努力型

2時間

丁寧に進める

単語帳も併用するとよい

不安型

1-2時間

まずは単語学習を行う

英語に苦手意識を持たせない

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