過去問題の重要性について〜量より質の受験戦略
2021/12/17
沢山の参考書や問題集を数こなすことで、安心したり、はたまたプレッシャーで押しつぶされそうになっている受験生は多いものです。達成度の基準として量的なものを求める気持ちは分かりますが、多くの入試にとって効果的であるとは言えません。「過去問至上主義」というのは言い過ぎかも知れませんが、多くの受験生にとって過去問とのつきあい方を捉え直すことでプラスに繋がる可能性があります。今回は過去問題がなぜ重要なのかについて考えてみたいと思います。
出題形式やレベルが最も分かるのは過去問
「過去問題は過去のもの、一度出た問題はもう出ないのだから意味がない」という論調の講師を見かけることがありますが、学校側にとっては出題傾向こそブランディングの中核の一つといえます。突然傾向を変える学校は信頼出来ないですし、何よりも求めている学生の能力は、学校・学部によってある程度方向性があります。
つまり、同じ問題が出題される蓋然性は低いですが、問題の形式やレベルほとんど変わりません。また学校・学部によって傾向が違いますから、総合的な問題集よりも、過去問で学ぶ方が、入試問題を解くための考え方を効率よく知ることが出来ます。参考書や問題集を使うのであれば、その学校・学部の問題を解くための考え方を身につけるための補助教材くらいに考えるのが良いと思います。
過去問で相性とズレを確認する
過去問題に相性がある理由は、その大学・学部に求められている思考力や知識の方向性が自分と一致しているかどうかが違うからで、そのズレを埋めることこそが合格に近づく近道ですし、そうすることで入学後にスムーズに学校の勉強にシフトできます。
「過去問は直前まで取っておくべき」という講師も多いですが、そもそもの目的はその学校の入試問題が解けるようになることです。そのためには、どういった出題方法なのか、どの分野を重要視しているのか、などの情報は早く知っていた方が戦略的に学習が出来ます。単に「レベル」の高低が問題であれば、実力がついてから満を持してチャレンジすることも良いと思いますが、そもそも求められている「考え方」が違うことが入試直前に判明しても手遅れになりかねません。ですから、タイミングを計りすぎずに、早めに過去問題に触れるように指導することも大事な戦略になります。
プリントの作成も過去問を考慮して
自分で参考書や問題集を作っている講師は自作のものを使いがちです。基礎クラス向けならばよいですし、また内容が特定の学校・学部対策であれば効果が望めますが、教科書の言い換えのような一般的なものでは、難関校合格にとって近道とは言いがたいと思います。
プリント指導なども同じで、志望校や個別対応で作るものや、学生の好奇心に火をつけたり、将来役に立つことを想定したものなど、別の方向性で独創性があるものは価値があると考えますが、汎用性が有り一般的であるほど講師の独りよがりなものになりがちです。プリントもまた講師や受験生に量的な達成感を与えがちですので、受験直前など限られた時間を効率的に使うためには必然性を熟慮することが必要です。