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塾業界レポートvol.4「就活と塾業界」

2021/12/17

塾業界に就職する時、どのような観点を持てばいいのか

講師の皆様こんにちは!
人材教育コンサルタントの上田一輝です。

 

 

数回にわたり業界全体の動向を考えていく「塾業界レポート」。


「正社員としての就職で、塾業界はアリなのか?」と考えている方

既に塾業界で働いているが、将来が描けず転職や離職などを検討している方

経営層として業界全体に課題意識をお持ちの方

 

といった方を対象に、連載しております。

 

(参考)
塾業界レポートvol.3「塾業界の希望と未来」
http://www.juku.st/info/entry/1735
塾業界レポートvol.2「塾業界の真相~ブラック批判について~」
http://www.juku.st/info/entry/1725
塾業界レポートvol.1「塾業界の現状と課題」
http://www.juku.st/info/entry/1705

 

さて、今回は「良い企業を見ぬくためのコツ」について。


正社員として塾業界に就職したい!と考えた時、意識しなければいけないポイントがたくさんあります。

 

なぜなら塾業界はブランドごとの個性が強く、「同じ業界ならどこの会社も同じでしょ」と考えるのはとても危険なことだからです


しかし、中には「講師になりたい」「教育に携わりたい」との思いから、個々の企業について深く調べたり、考えたりすることなく応募をしてしまう方も大勢いるのが実態です。

 

そこで今回は、具体的に“自分に合った企業の選び方”についてお伝えしていきます

 

最高の会社は存在しない

最初にお伝えしておきたいのは“最高の会社”は存在しない、という当たり前の事実を理解していただくことです。

 

就職先に求めるものは、一人ひとり違うはずです。

  • 給与が高い会社が良い
  • 福利厚生が充実していて欲しい
  • やりがいや成長を感じる仕事がしたい
  • あたたかい社風の会社に行きたい
  • 育休・産休を使える会社を狙いたい
  • 定時に終わる仕事がしたい

などなど…。

 

実は、その内容の中には二律背反になるものもたくさんあります。

 

例えば

 

「定時で上がれる会社」であれば、上司に聞きたい!と思っても勤務時間が合わず、いないこともあるかもしれません。

 

また「福利厚生が充実している」会社は、その分だけ給与が安いかもしれません。

 

つまり、誰にとっても最高の会社など存在しません
就職する“あなた”にとって、最良の企業を探すことが重要です。

 

そのために、就活では“自分がどんな志向を持って”企業を探すのかを、まず考える必要があります
一度、何を重視して働きたいのか、考えてから次の部分を読み進めましょう。

 

講師か、事務か、経営か

最初に考えるべきは、働き方です。
塾業界=講師、と安易に考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。

 

塾業界では大きく分けて

講師…実際に生徒と向き合い、成績を上げる
事務…校舎を円滑に回す支援を行う
経営…計数管理・営業活動を行う

の仕事に分かれます。

 

この中で、どのような仕事を中心にしたいのかを考えて、企業選びを行いましょう。

 

 

例)
予備校を運営する学校法人であれば、自分が講師として登壇することは稀で、事務として採用するところが多いです。キャリアアップに伴い、経営に近い、広告宣伝やガイダンスの企画・立案なども行うところもあります。

大学生非常勤に頼っている塾であれば、原則として経営側(保護者面談や集客)を行うことが多く、講師不足時は自ら講師として動くこともあります。

実績をウリにしている塾だと、専任講師として授業だけを担当する正社員を雇うところもあります。 

 

塾のウリ・強みを確認する

塾は授業を売っているわけですから、その商品価値がとても重要になります。
塾として、どの部分をウリ・強みにしているのかを確認しましょう

 


例)
ここで重要なのは、顧客認知と自社の位置づけ。
顧客に塾名を言った時に「ああ、知ってる。あの塾は○○だよねー」と言ってもらえる塾であれば、すぐに経営悪化に繋がる可能性は低いでしょう。さらに「○○は厳しいけど、成績を上げてくれる」「××は徹底的に面倒を見てくれる」といったように、塾の個性が顧客に理解されている姿が理想です。

 

また、併せて進学・補習どちらを重視して展開しているのかも、調べましょう。
これは自分が教えたい生徒と、授業スタイルに深く関わっていきます。

 

参考)
補習塾では意欲が低い子を対象に、動機付け(やる気を出してもらう)指導がメイン。
進学塾では意欲がすでにある子を対象に、ハイレベルな受験指導が求められます。

 

個別指導塾か、集団指導塾か、映像授業か

続いて、指導形態を考えます。

 

個別指導・集団指導・映像授業の、どの手法で生徒を指導しているのか、チェックしましょう!

(近年は複数の指導形態を展開している塾も多く見受けられます。その場合は、今後どのような指導を強化し

ていこうと会社が考えているのか、確認しましょう)

 

この中で個別指導塾の場合、正社員が講師として勤務し続ける…ということは珍しく、多くの場合、講義は非常勤講師に任せ、自身は事務・経営サイドに回ることになるでしょう。

 

逆に「生講義」をウリにしている塾であれば、ずっと現場で講師をしていく可能性が高いです。
前述した“どのように働きたいのか”と組み合わせながら、自身が行いたい指導形態を考えてみましょう。


FC本部か、直営か。

働き方の観点で意識したいのは、フランチャイズという仕組みです。


まず、「フランチャイズとは何か」を、確認しておきましょう。

 

フランチャイズとは、一方が自己の商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品(サービスを含む)を提供する権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤルティー)を支払う約束によって成り立つ事業契約である。出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%BA

 

引用:http://www.enjoint.co.jp/fc-soudan/fc/

 

つまり、一気に拡大するには資本が足らない企業と、比較的リスクを小さくして起業したい事業主が手を組み、相互利益を得る仕組みがフランチャイズです。

 

このようなフランチャイズ本部に入ると、社員は主に加盟店の支援を行うことになります

 

支援内容は塾によりバラバラですが、基本的に生徒ではなく、オーナー(加盟店の責任者)と話をすることが

多くなります。自分より年上の方も多いですから、その中で経営面のサポートを行う仕事は大変です。

 

 

また、急成長を志望する経営者も多く、業務量は多くなりがち

その分、給与は良かったり、成長速度がとても早い…というメリットもあります。

 

例)募集サイト
https://entrenet.jp/dokuritsu/C01/M01/

 

対して、全て自社で直接運営している(これを直営と言います)場合は、だんだんと任される仕事の幅が広が

っていくことが多いです。

 

そのため、安定して働くことが出来ますが、成長には時間がかかるケースもあります

 

 熱血系か、クール系か

意外と重要になるのは、社風です。

 

 

分類方法はいくつもありますが、最もわかりやすい視点は“熱血系”か“クール系”か。

 

 

熱血系であれば、夜遅くまで生徒に付き合ったり、一人ひとりに自作プリントを作成するような文化が見受け

られます。講師同士の関わりも多く、楽しい職場であることが多いですが、その反面残業時間が長くなった

り、人間関係が煩わしくなったりするようです

一般的に社歴が浅い・従業員が若い企業に多い文化です。

 

 

クール系は合格実績を重視したり、合理的な教材をウリにすることが多く、一般的には歴史が長い企業に多く

見られます。

労働環境が整備されていることが多いですが、意見が言いづらかったり、個々人の考えが授業に反映できなか

ったりすることがあるようです

 

 

最後に理念の確認を

ここまできて、自分に合う会社は見つけられたと思います。

最後に、その企業の理念を確認しましょう。

 

 

理念は、すぐに経営成果や見た目に繋がることはありません。

しかし、重要な意思決定(方針転換や企業合併など)の際に、その方向性を決めるものです

 

自分が入社する会社の理念が、自身の方向性と一致しているか、確認することで「こんなはずじゃなかっ

た…」と離職する可能性を減らすことが出来ます。

 

 

おまけ:ブラック企業の見分け方

ブラック企業の多くは、以下の様な特徴があります。

複数の項目に当てはまる場合は注意してくださいね。

 

  • 年中求人を出している(特に正社員)
  • 生徒のためにサービス残業させることを当然と考えている
  • 休日や福利厚生の質問に、まともに答えない
  • 非常勤講師を使い捨てのコマのように扱う
  • 離職率が高い・公開していない
  • 面接担当がタメ口だったり、高圧的・威圧的な態度を取る

視点をたくさんもって、考えるようにしよう

いかがでしたでしょうか。

 

今回は今までと違い、具体的な視点をいくつかお伝えしていきました。

 

このように、複数の視点をもって就職先を考えることは重要です。


ぜひ「自分が10年後、この会社に居続けたい!」と感じる会社に就職できるよう、よく考えて応募するよう

にしましょう

 

Vol.5では逆側の視点である「求人難を乗り越えるために、経営者・人事担当者ができること」について論じていきます。

 


引き続き、次号もお楽しみに!

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