講師たるもの5者たれ!【学者・医者・易者・役者・芸者】
こんにちは。物理・数学科講師の池末です。
今回は、「講師たるもの5者たれ!」というお話をしたいと思います。
よく講師や教師は「5者になれ!」と言われます。私自身、大学1年生のときに勤務していた塾で講師研修の際に塾長が新人講師たちを集めて熱弁していたのを今でも覚えています。
もちろんこの記事を読んでいる講師や教員志望の方にはすでにこの「講師5者論」について深くご存じの方も多いと思いますが、今一度みんなで共有し、再確認しましょう。
この教育現場でよく紹介される『講師たるもの5者たれ!』という標語。それではその「5者」とはなにか、1つ1つ詳しく解説していきましょう。
池末 翔太 いけすえ しょうた
高予備校で物理・数学を教えるプロ講師。大学在学中にブログを開設。出版社の目にとまり、そのまま書籍化を実現。他にも、勉強法・受験メンタル・物理・数学などに関する書籍を計6冊を出版しており、若くして講師職以外にも活躍の場を広げている。生徒目線で「自分の授業を受けたいと思うか?知的好奇心が満たされるか?」を常に考えた授業スタイル。
目次
1.『学者』
2.『医者』
3.『易者』
4.『役者』
5.『芸者』
最後に 〜これからも講師像は変わっていく〜
1.『学者』
この『学者』とは、「勉強する人」という意味です。
「教える人」は、ある意味一生「教わる人、学び続ける人」であり続ける必要があります。勉強し続けなければなりません。
つまり、日々新しいことを学び続け、自分自身の知識、知能、技術が向上していると常に感じていなければならないのです。「実力はもう大分あるから、あとはそれを現状維持すればいいや」と思う講師は3流以下です。
「現状維持」というのは長期的にみたら「退化」と同義です。なぜなら、自身は変わっていないつもりでも「時代は変わるから」です。
実力というのは、「向上している」と常に感じていなければ衰えていく一方なのです。
講師の仕事はもちろん「教えること」ですが、同時に目の前の生徒に負けないくらい自身も「生徒」となって学び続けることが肝要です。
これを私に教えてくれた塾長は「100を知って、はじめて1を教えることができる」と仰ってました。その通りだと思います。
1だけ知っても、1は上手く伝えられない。100まで知ることで、やっと1が教えることが可能になるのです。
2.『医者』
これは、もちろん医師免許をもっている人の意味ではありません。
生徒が「どこで悩み、つまづき、何が理解できていないのか、」を的確に把握(診断)するのが、『教える人』の真価が問われる部分です。
特に個別指導においてここ数年「コーチング」としての技能が講師には求められています。
今後、そのような仕事はAIに任せるという話題も俎上にあがってきてはいますが、もしそのような未来が訪れたとしても講師個人の「生徒個人を見る目」は養っておくと指導に役立つでしょう。
3.『易者』
「易者」とは端的に言うと「占い師」のことです。
指導生徒が定期テストや受験に対して『志望校にうかるかな~、将来どんな仕事につこうかなー( •᷄ὤ•᷅)』なんて悩んでいたとしましょう。
そういう子に対し「進路情報や様々な職種」を選択肢として提示することで、その子自身に『膨大な可能性』があることを自覚させるのが「易者」の役目。
私自身、高2のときに「物理」の授業が始まりました。初回の授業は今でも鮮明に覚えています。どの教室でどの席に座っていたかも覚えているのです。
正直、その時点で「あ、自分は物理学科に行くかも」と漠然と思いました。
それから分からないところがあるたびに物理の先生に質問しにいく習慣がつき、ある日「君には物理学科あってると思うよ」という言葉をかけてくださいました。
その瞬間、「絶対に物理学科に行く」と私自身の将来の道がハッキリと見えたのです。ある意味「易者」という役割はときには教科指導よりも大事になるのです。
4.『役者』
「授業を見せる」のではなく、「魅せる授業」をしないと生徒を惹きつけることができません。
ドラマや演劇でも俳優の演技がド下手だと見る気なくしますよね。そうなると「もう早く授業終われよー。あと何分あるんだよ。」という表情が生徒たちに現れます。(生徒が時計をチラチラみるのは、授業をつまらなく感じている証拠です。)
惹きつける魅力ある授業を教室でできれば生徒は釘付けになり「え、もう授業終わり?まだ授業聞きたい。」と感じます。 そういう意味での『役者』です。テンションを上げるとこはあげて、ゆったりしゃべるとこはスローペースで教える、すると抑揚がついて『飽きさせず』教えることができます。
そしてこれは、プライベートのあなた自身の性格や雰囲気と違っていても良いんです。
教室という「舞台」で、あなたは役者であり「講師」という役柄を演じるんです。
授業時間は、塾・予備校によっても異なりますがだいたい1コマ平均で50分〜90分程度でしょうか。その時間はあなたが舞台監督であり、役者であり、授業というある意味「演劇」を演じるのです。
5.『芸者』
この『芸者』は一般的な『宴席などで三味線を弾いたりとか、踊ったりする人』のことではなく、『相手に興味をもたせ、楽しませる人』という意味です。
「勉強が好きでたまらない!」という生徒はごく少数でしょう。「この科目だけは好き!」という場合はあるでしょうが、全科目まんべんなく好きである生徒なんてそうそういません。端的に言えば、塾に通う生徒は元々「勉強がそんなに好きじゃない、むしろ嫌い」な子が多いのです。
じゃあ、どうしたら好きになれるのか。
よく言う言葉に「好きの反対は、嫌いじゃない。好きのは反対は無関心」があります。
つまり逆に言えば、「好きになる=関心を持つ、興味を持つ」ということ。ここが講師の腕の見せ所なのです。
まずは、その科目の内容を詳しく伝えるのではなく興味をもたせるような雑談や、その科目を学ぶとどんな事が起こるかなどを伝え、興味をもってもらえるとその次からスムーズに本格的な授業に入ることができます。
有名実力講師は「雑談」も立派な仕事と思っているのです。それが勉強のスタート地点になりうるからです。
最後に 〜これからも講師像は変わっていく〜
いかがでしたでしょうか。
そもそも世の中には、『教える』という行為は教育の現場のみならず、あらゆる場面に存在しています。
家庭で親が子供に『教える』こともあるし、教室であなたが友達に、会社で上司が部下に、部活で先輩が後輩に、 幼稚園児だって他人に『教えて』いるのです。『ぼくの名前は○○です! 好きな食べ物は□□です!』 これだって立派に『名前』と『好物』を教えているんです。
『教える』ことは決して講師だけが行う技術ではありません。『塾・予備校の講師、学校の教員』だけが『教える人』というわけでもありません。
本質的な部分では『教える』ことに資格はいらないのです。(学校などで「勤務」するために教員免許がいるだけなのです。)
とどのつまり、だれだって『教える人』になれるし、今後他人に何かを『教える』機会というのは数多訪れるでしょうし、これまでもそうだったはずです。 勉強もそうだし、それ以外でも人に『何かを教えた経験』はおありでしょう。ならば、やはり『教えるための心構え』というものをきちんと身につけるのは、プロ講師としての生活を豊かにしていくのにマストなことだと思います。
おまけですが、元々この講師論は「学者、易者、芸者」の「3者論」だったようです。それがいつ頃からか「医者、役者」も入り「5者論」となりました。
さらに最近ではこれに「忍者(生徒自身が成長するまでじっと耐え忍ぶという意味)」と「指揮者(教室内の生徒たちを監督し、取り仕切る意味)」を加えようという提言もあります。
これは、年々「講師像」というのが変遷し様々な「役割」が講師に求められている、もしくは講師が「できること」増えているということでしょうか。もしかしたら数年後は、「10者論、20者論」くらいまで増えるかもしれませんね。
今回の記事はご参考になりましたでしょうか。では、また別の記事でお会いいたしましょう。
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