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【めざせ著者デビュー!】どうしたら本を出版できる?【夢の印税生活!?】【キャリアコラム#9】

【めざせ著者デビュー!】どうしたら本を出版できる?【夢の印税生活!?】


こんにちは。物理・数学科講師の池末です。

今回は「出版」をテーマにお話したいと思います。

私は現在31歳なのですが、初めての著書は2011年の大学在学中、21歳のときに書いた『中高生の勉強あるある解決します。』という本です。これはその後第2弾も刊行されシリーズ累計6万部以上の作品になってくれました。

処女作を世にだしてからちょうど今年で10年目になりますが、その間幸運にも恵まれ、他にも7冊ほど著作を出すことができました。(著書7冊で累計13万部程度だったと記憶しています。)

処女作の著書

この記事をご覧になっている方の中にも、将来「自分も本を書きたい!」「自分の参考書を使って、塾のクラス授業したい!」などの出版欲をお持ち方がいらっしゃると思います。

この記事では、大きく以下について実体験も交えつつ詳しく書いてみようと思います。



池末 翔太 いけすえ しょうた

予備校で物理・数学を教えるプロ講師。大学在学中にブログを開設。出版社の目にとまり、そのまま書籍化を実現。他にも、勉強法・受験メンタル・物理・数学などに関する書籍を計7冊を出版しており、若くして講師職以外にも活躍の場を広げている。生徒目線で「自分の授業を受けたいと思うか?知的好奇心が満たされるか?」を常に考えた授業スタイル。 


 

目次
どう出版する?
どんな人が本を書ける?
どう出版社(編集者)とつながる?
どう執筆していく?
気になる印税は?
出版後に何がおこる?


どう出版する?

出版にはいくつかの形態があります。代表的なものに『商業出版』、『自費出版』、『電子書籍』があります。

まず何より言いたいのは「著者になること」自体は非常に簡単だということです。『自費出版』、『電子書籍』はとくに何の実績もなくても著者になることが可能です。

実費出版

『自費出版』とはその名の通り出版に関する費用を著者自身が負担するという出版形態です。

その費用は出版社や本の刷り部数にもよりますが、数十万〜数百万円程度です。その費用を自分で用意することができれば、簡単に著者になることができます。

電子書籍

『電子書籍』はAmazon Kindleなどで販売するという形になります。

いわゆる「紙の本」ではないですし、表紙のデザインや電子書籍用の形式に文章を変換するなどの作業が必要になりますが、実質0円で著書を作ることができます。

なにより、『電子書籍』は紙の本とちがい印税率が場合によっては70%くらいに設定することも可能なのでヒットすれば想像以上に稼ぐことも夢ではないものになります。

しかし、やはり自費出版するための費用数百万円を用意することも難しいし、電子書籍ではなく書店に置かれる「紙の本」にこだわりたい!という方も多いでしょう。(というか、おそらく「著者になりたい!」と思っている方のほとんどはそうだと思います)

ならば『商業出版』を狙うしかありません。

商業出版

これがいわゆる多くの方が想起するであろう作家のスタンダードな執筆形態になります。出版に関する費用はすべて出版社がもち、著者は基本的には原稿執筆に注力できる形になります。

私自身、いままでの出版してきた本はすべてこの『商業出版』の形になります。出版に関する費用を自ら捻出したことはありません。(出版社にいくための交通費くらいでしょうか)

この記事ではどうしたらこの『商業出版』のチャンスを逃さずにキャッチし、ものにできるか、ということに焦点をあててみたいと思います。

 

どんな人が本を書ける?

では、どんな人が本を書くことができるのしょうか?

もしこの段階で「本を書ける人なんてごく一部でしょ。運がいい人だけでしょ。自分には無理だよ。」と思う方がいらっしゃるなら、おそらくその方は未来永劫、本を書くチャンスは巡ってこないと思います。なにより、目の前に「出版のチャンス」があってもそれに気づくことすらできないかもしれません。

出版できる人というのは「自分は絶対に著者になる!本を書く!」と決意した人なのです。スタートは『根拠のない自信』でいいのでまず何より「執筆する!できる!」と思えることが肝要なのです。

総務省のデータによると今現在、日本には出版社が約3000社あります。そして年間でだいたい7万冊の新刊が発行されています。

つまり毎日200冊の新刊が出ていることになります。毎日ですよ?ならば、そのうちの1冊が自分の本であってもなんら不思議ではないですよね。そのような感覚が持てる人が著者になれるのです。

よく「文章が上手な人が本を書ける」と思っている人がいますが、これは全くの逆で「本を書くという志をもつと、書く文章が変わっていく」のです。著者になるためのはじめの一歩は「自分は絶対に本を書くぞ!いや、その運命にある!」というほんの少しの勇気とうぬぼれでOKなのです。


どう出版社(編集者)とつながる?

では本を書くと決意した人が、具体的にどう出版社、ひいては編集者とつながるのか。

これには大きく2つの方法があります。

1つは出版社からお声がかかるのをただひたすら待つ」ということです。

ただ、これは今の時代あまりオススメしません。昔であれば、予備校や塾で勤務し名を上げていくとその評判を聞いた出版社が声をかけてくれるというのは実際にあったようですが、今はなかなか予備校や塾で授業を日々しているだけでは執筆のチャンスは巡ってこないと思います。

そこで、2つ目の方法「自ら情報を発信し出版社にアプローチする。もしくは出版社の目にとまるような活動をする」ことを推奨します。

自らの経験でいうと、私が初めて出版した2011年当時は人気ブロガーがこぞって出版をしていた時代でした。

それにあやかって当時大学3年生だった私も高校の同級生と2人で中高生向けに「勉強法」に関するブログを開設し、ほぼ毎日発信していました。また、それと並行してそのブログを元ネタにした「本の企画書」を作成し、片っ端から出版社に送っていました。

もちろん、「コネなし、実績なし、金無し」の大学生でしたから出版社からの反応はすべてが「出版不可」、そのような返事をいただける出版社はまだ親切な方で、一切連絡なし、完全無視というところも多かったように記憶しています。誇張なしで確実に100社以上には送ったと思います。

でも自分たちは一切めげることはありませんでした。

だって日本には3000社の出版社があるのですから、2999社に断られても、最後の1社がOKを出してくれたら出版できるのです。そのようなある種「なんとかなるさ!」という気楽な気持ちでブログを書き続けていました。

するとブログを書き始めてから1年と少しくらい立った頃でしょうか、とある新聞社の記者がブログを偶然みつけてくださり、「取材させてほしい」との依頼を受けました。そしてその取材を受けてから2,3カ月後に実際に新聞にインタビュー記事をのせてくださいました。その記事で「この2人の大学生の夢は自分たちのブログを書籍化することだ。」と締めの1文を書いて頂いたのです。するとその新聞を読んだ出版社の編集者が私達に連絡をくださり、ブログの書籍化の話がスタートしていったのです。

ここで大事なのは、どんな形でもいいので「発信し続けると誰かが見てくれる可能性が増えてくる」ということ。

正直、ブログ書き始めて1年経ったときもうこのチャレンジは辞めようかと、友人と話したことも何度もありましたが、どうしても諦められなかったのです。止まらなかったのです。何が何でも、出版までこぎつけたいという熱意があったのです。

そのようながむしゃらで泥臭い活動を続けていくといつか日の目を見ることができると思います。

当時はブログが発信の主流でしたが、今はYouTube、Twitter、noteなどで情報を発信し書籍化につながるという方が多いように感じます。

特に教育系YouTuberというカテゴリーも生まれるくらい、YouTube上で勉強法や講義、問題解説などをする方は非常に増えています。出版社の編集者もかなりの数がYouTubeやTwitterでどんな教育系のYouTuberがいるのか、というのはチェックしているようです。

そのように何かしらのプラットフォーム上で自らのコンテンツを発信しつづけると出版社と関わりを持てる可能性がでてくるでしょう。(私自身はYouTubeで活動するのはあまり性に合わないので、知り合いの方のYouTubeチャンネルにゲストで招かれることはあっても、自らは特に動画を出したりはしていませんが…。)

もちろん直接自ら出版社に企画を持ち込むことも有効です。

私自身これまで7冊ほど本を書いてきましたが、そのうち半分くらいは企画の持ち込みで出版したものになります。

「え、出版社って本の企画とか募集してるの?」と思われるかもしれませんが、意外と募集している出版社は多いですよ。「出版社 企画 募集」で検索してみてください。かなりの数の出版社が募集をかけていることがわかっていただけると思います。

 

どう執筆していく?

では次のステップです。出版社(編集者)にコンタクトを取ることに成功し、興味を持ってもらい出版の話が動き始めそう、という段階になったとしましょう。するとだいたい次の過程を経て執筆がスタートしていきます

1.「企画書」を提出する

2.「ブラッシュアップした企画書やサンプル原稿」を編集者に提出

3.「編集会議」で編集長クラスがOKをだせば執筆開始

まず、なにより「企画書」が必要になります。

これは最終的には担当編集者が作るものになりますが、その草案は著者自身で考える事が多いです。

「企画書」に書く内容は主に「仮タイトル、著者プロフィール、目次案、想定読者層、類書及び類書との差異」などです。この中で最も編集者が目を光らせるのは『類書及び類書との差異』になります。

これは結構自らのコンテンツを過信している人に多いのですが、「類書は?」と問われたときに「類書はありません!」と語る方がいます。しかし、この回答は非常に編集者に嫌がられます。

「類書が存在しない」ということはそれすなわち「需要がない」と同義です。
出版というのは、類書の売れいき具合などをみて「類書がこれだけの数字を出しているんだから、じゃあこの本もこれくらいの数字を見込めるだろう、狙えるだろう」ということでプロジェクトを進行していくものです。

もちろん類書とほぼ同じでは意味がないので「類書との差異」を明確にしつつ、類書では救えなかった読者をこの本で救っていこうという想いで本を作っていくのです。類書が見つけられない、ベンチマークできない著者というのはその段階でかなり編集にとっては敬遠される存在になってしまうのです。

さて、「企画書」がある程度形になってくると、次は「サンプル原稿」を書くことになります。

これはだいたい本の1章の2〜3節くらいを実際に書いてみることになります。「サンプル原稿」を編集者に提出し、いきなりOKが出ることは稀なのでその直しを2〜3回行って「サンプル原稿」が完成していきます。この「サンプル原稿」を作っていく段階でその本の見せ方、フォーマットが形成されます。

そして次に最後の審判のときです。出版社では、だいたい月に1、2度くらいの頻度で「編集会議」が開かれます。

これは出版社の編集者、編集長などが出席し、「どの本を刊行するか」を話し合う場になります。ここで担当編集者が「企画書、サンプル原稿」をもとにプレゼンし、それが編集長クラスの方に認められれば出版決定ということになり、ここから本格的に原稿執筆が始まることになります。

 

気になる印税は?

さて、じゃあ実際に出版が決定すると気になるのがやはり「印税」ですよね。

本を書いた著者には「印税」という、いわゆる著作権使用料が支払われることになります。これは著書1冊に対し、「印税率」が定められ計算されるものになります。

売れている作家になると印税率はだいたい10%になるのですが、一般的に新人作家に対しては6〜8%が妥当なところでしょうか。無名新人で10%の印税率というのは相当珍しいと思います。私の経験でいうと、一応処女作は「出版社からの執筆依頼」という形になったので新人としてのほぼ上限である8%にしてもらえました。(ただ、処女作は友人と2人での共著なので1人分の印税は折半で4%でした。)

例えば、著書が定価1300円の本だったとしましょう。

印税率が8%の場合、1300×0.08=104となり、1冊につき104円が印税になります。実際には、ここから税金も引かれます。引かれる税金は売れた冊数などによっても変動するので、この場合まあだいたい1冊あたり100円くらいの印税が発生するという認識でいいと思います。

ここで問題になるのが、その「印税」が『刷り部数』に対してなのか、『実売部数』に対してなのかで支払われる金額は大いに変わっていくということです。

『刷り部数』というのは実際に刷った(作った)本の冊数に対して「印税」が支払われるというもの、つまり例えば定価1300円、印税率が8%の本を7000部刷った場合、1300×0.08×7000=728000となり約70万円が支払われることになります。ここで大事なことは7000部が実際に売れようが売れなかろうが印税は支払われるということです。

ところが、もう1つの『実売部数』というのはその名の通り実際に売れた冊数に対して印税が発生するという仕組みです。

つまり、7000部刷っても2000部しか売れなかった場合、1300×0.08×2000=208000となり約20万ほどが印税になるのです。

これは、出版社によって支払いの形態は変わるので契約時にきちんと確認しておく必要があります。もちろん、著者にとっては『刷り部数』のほうが嬉しいわけですが、こればかりは出版社としての意向なので著者、とくに無名新人がなかなか変更できるものではありません。私はこれまで数社の出版社と関わってきましたが、『刷り部数』に対して印税を支払うというところは少なかったですね。(初版(最初に作った本)の分だけは「刷り部数」に対して、増刷(2刷り以降の本)の分からは「実売部数」で印税を支払うというところも多いです。) 

 

どうでしょうか、よく言われる「印税生活」などができる作家はごく少数ということがわかってもらえるでしょうか。本当に印税のみで生活できるのは何十万部と売れ続ける作家だけです。

処女作を出版した作家は「自分の本を出せた」ことに歓喜しすぎて印税はあまり意識しない方が多いのですが、この態度は著者としてはやはり3流以下だと思います。

せっかく「良いもの」を作ったと思うのであれば、売る努力を出版社に任せっきりでなく著者もするべきなのです。

ある意味「自分の本」というのは、「自分の子ども」なのです。少なくともその子供が自ら歩き出せるくらいまでは面倒を見るべきなのです。

だから、私も処女作をだしてから出版社に通い空いたスペースをお借りして自ら手書きのポップをつくったり、編集の方と書店周りをしたり、教育業界で著名な方に献本したりしていました。

「良いもの」を作ったからと言って、必ずしも売れるわけではありません。「良いもの」を作ったと本気で思うなら、売るための知恵もひねり出すべきなのです。たくさん売るということは、たくさんの読者に届けるということ、数字にこだわらない作家はただの自己満足の塊であり、その時点でその人はもう作家ではないのです。


出版後に何がおこる?

めでたく出版し、それが順調に売れていくと印税が増えていくのはもちろんのこと、付随して様々なイベントが生じることがあります。そのうちいくつか経験も踏まえてご紹介します。

講演依頼、テレビ出演依頼

著書を読んでくれた方から講演などを依頼されることがあります。

私の場合、本を読んでくれたとある高校の先生から「うちの生徒たちに講演してほしい」というご連絡を頂き、そこから4年くらい毎年、その学校に呼んでいただけるようになりました。その先生とはいまでも交流があります。

また、著書を呼んだテレビ関係者から出演依頼も来る場合があります。私は3年前くらいにNHKの教育番組(Eテレ)に何度か出演したことがありますが、それも番組プロデューサーの方が著書を読んでくれたことがきっかけで依頼がきました。

高校で講演する著者

書店でのイベント

書店でもいい具合に売れていくと、その書店のイベントブースでサイン会やトークイベントなどを行うこともできます。イベントを行うことでその書店のいい位置に本を平積みという形で置いてもらえることにもなりますし、読者と直接会える貴重な機会にもなります。

書店でトークイベントをする著者

海外での翻訳出版

著作を出した出版社が海外の出版社とも取引がある場合、翻訳出版の話が舞い込んでくることもあります。

これは結構レアケースと思われるかもしれませんが、この業界では割とあるなぁという所感です。

特に英語学習の本や、勉強法に関する本は海外でも広く翻訳出版されている印象です。私の本は、台湾や韓国で翻訳出版されています。

海外で翻訳されている著書


このように売れる本を作っていくと、どんどん加速的に広がりをみせていくのが「出版」という業界の面白いところです。


最後に1つ、私自身が常に著作活動をしていく上で大事にしていることをお伝えします。


「著者になること」と「著者であり続けること」には天と地ほどの差があります。


1冊の本を書いた人は実は相当数いるのですが、2作目につながらないで終わる人が多いのです。


1作目がヒットしないと2作目のチャンスはなかなか訪れません。もし、この記事を読んでいる方で将来長く作家であり続けたいと思う人がいらっしゃるならば、ただ著者になることに満足するのではなく、2作目、3作目を書くことができる作家になるという覚悟で今後執筆活動をしていくと良い結果が現れてくると思います。

私も作家としてはまだまだ未熟だなと自覚しているので、大ヒットする本を出版できるようこれからも粉骨砕身の決意を持って邁進していくつもりでいます。

出版に関してはまだまだお話したいこともあるのですが、少々長くなりそうなのでそれはまたの機会にしたいと思います。(あまり表には出せないプチ裏話もあります。)

では、別の記事でまたお会いいたしましょう。

 

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