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「考える」とはなにか?「考えるを考える」【キャリアコラム#26】

考えるとは、なにか?

 こんにちは。物理・数学科講師の池末です。


池末 翔太 いけすえ しょうた

予備校で物理・数学を教えるプロ講師。大学在学中にブログを開設。出版社の目にとまり、そのまま書籍化を実現。他にも、勉強法・受験メンタル・物理・数学などに関する書籍を計6冊を出版しており、若くして講師職以外にも活躍の場を広げている。生徒目線で「自分の授業を受けたいと思うか?知的好奇心が満たされるか?」を常に考えた授業スタイル。 


今回は「考える」という中々に深いテーマにお話していこうと思います。

私達講師たちは、日々多くの受験生の「悩み」に向かい合っています。

「受験ヤバいかも?」
「全然問題解ける気がしねぇ…」
「こんなに勉強してないの、なんか私だけ伸びない…」

こんな「悩み」を解決するためには、解決策を考える必要があります

目次
教える人間の定番フレーズ「考えよう」
質問されると自動的(オート)で考え始めてします
質問すると、必ず『答え』がでるまで考えてしまう
『ろくでもない質問』には、『ろくでもない答え』が出てしまう
受験で培った考える力=大学以降で役立つ力


教える人間の定番フレーズ「考えよう」

日々、塾・予備校で勤務していると講師は生徒に対し

「志望校はよく考えて選ぼう」
「もう高校生なんだから、将来のことをしっかり考えよう」
「この問題は、よく考えて解こうね!」

と声がけをする機会がありますね。講師の定番フレーズに「考えよう」があるわけです。もちろんこれは親兄弟や学校の先生からも生徒はよく言われているようです。

もし生徒に

『でも先生さぁ、よく「考えろ」って言うけど、どうしたら考えられるの?だって学校の教科に「考える」なんて科目はないから教わってないよ』

という質問が来たときに、迷いなく瞬時に回答できるか否かがアマチュアとプロ講師の大きな違いの1つでしょう。

結論から言うと、

考える=質問すること

です。

ここで1つ実験を。


 『あなたは、いまこの記事をどこで読んでいますか?』


電車、自宅、カフェ、勤務塾、会社、トイレなどと、いろいろな「答え」が存在すると思いますが、今まさにあなたは『考えた』のではないでしょうか。

私が「質問」するまでは、今どこで読んでるかなんて気にもしませんでしたね? 僕が「どこで読んでいるのか?」と「質問」した瞬間、『考えて』しまいましたね?

 つまり、 『考える』とは、『質問する』ということ! 

「あなたの通勤形態は電車?バス?」
「あなたの担当科目は?」
「あなたの好きな参考書は?」
「明日の授業予定は?」

いま、「答え」を想起してしまったのではないでしょうか。

質問されると自動的(オート)で考え始めてします

さらに『質問』には面白い「機能」が備わっています。それは質問されると、「自動的」に考えてしまうということです。

先程の質問も、考えたくなくても自動的に頭は答えを求め考え始めてしまうのです。

つまり「質問」されると、考えたくなくても「自動的に」考えてしまうんです。

 

『あなたは、文系講師ですか?理系講師ですか?』 


いま、あなたは「俺は理系担当だ!」とか「私は文系を主に担当しているなぁ」と自動的に考えてしまいませんでしたか?

まだまだ思考実験してみましょう、 今度はなるべく「答えを考えないように」してください。

 

『あなたは、ペットを飼ってますか?』 

 

どうでしょう?「いやー、考えたくない!」と思っても、質問されたらどうあがこうが脳は逆らえずに「考えてしまった」のではないでしょうか。「ネコ飼ってるよ!」「実家にウサギがいるよ!」「パグ犬飼ってる!」「いや、なんにも飼ってないけど」など、いろいろな「答え」が出たはずです。

【考えること】

【質問すること】

【質問されたら自動的に考え始める!】

このことをよく理解しておくと、今後の生徒の相談(や生徒・保護者面談)だけでなく、講義の質の向上にも活きてくると思います。

そして質問されると、いつか必ず『答え』が出る。 質問の扱いで、もう1つ重要なのがこちらです。

質問すると、必ず『答え』がでるまで考えてしまう

 人間の頭は、1回でも質問を脳内の質問受け付けBOXにいれると「答え」を出すまで、頑張って探し続けるのです。


『あなたの、講師としてうれしかった経験は?』


はい、今あなたの頭の中では「講師としてうれしかった思い出」を探し続けている作業をしています。 そして、もしいますぐにパッと思い出せなくても、今日の寝る前などに思い出す人もいるのではないでしょうか?

【考えること】

【質問すること】

【質問されたら自動的に考え始める!】

【いつかは必ず答えが生まれる(答えが出るまで考え続ける)】

 ということは、ウラを返せば1つ注意点が存在するのです。 

『ろくでもない質問』には、『ろくでもない答え』が出てしまう

例えば、「なんで、私はこんなに数学でヘマするんだ。ぼろぼろなんだ?」という質問をしてしまえば、

「もともと数学の才能がないから」
「そういう運命なんだよ」
「そもそもバカだからだよ」

など、「どうしようもない答え」が出るわけです。 これらは、全て『できない理由』を探してしまう「悪魔の質問」です。

「できない理由」をいくら探しても「できる」ようになりません。 「できない理由」を100個見つけても、今の状況はなんら改善しないのです。

では、逆にできる方法』を見つける「天使の質問」をするとどうなるんでしょう?

『どうすれば、数学の点数が上がるんだろう?』という質問に変えてみると

「あの好きな先生に数学のコツを聞いてみよ!」
「数学勉強法をネットで調べる!」
「数学得意な友達に教えてもらう!」
「分かりやすい参考書を調べて買ってみる!」

といったように「数学ができる」ようになる「答え」が出てくるようになります。

「できない理由」を100個考えても何も生まれません。「できる方法」を100個考えることで、状況は変わっていくのです。 

【考えること】➜【質問すること】。
そして出てきた「答え」には 「無数の答え」があってよいのです。

受験で培った考える力=大学以降で役立つ力

普段我々、講師が受験生に解かせる問題は、はじめから必ず「唯一の正解」がある「問い」ばかりです。

その功罪なのかもしれませんが、そのせいで受験生たちは『なぜ勉強するのか?』という疑問にも「唯一の正解」があると思いこんでしまっているように感じます。本音を言うと、「答えが1つ」になるものなんて定期テストや入試問題などのみでであることを、できれば受験生のうちに伝えたいと思うのです。そうしなければ大学生にになっても「唯一解」を求めようとする人になってします。

社会では、解答が複数かもしれない、解答がないかもしれない。いや、そもそも何が【問い】なのかがわからない状態でスタートする場合がほとんどです。そんなときに活躍する人材とはやはり自分で【考える】ことができる人だと思うのです。

私はよく直接会う学生に

『みなさん、今辛い思いしてこの問題を解いているだろうけど、大学を出たら何が問題かを発見することから始まるんだよ。しかも、解答があるかどうかすらわからない問題を扱うこともある。そう考えたらいま目の前の確実に答えが用意されていて、かつ絶対に解けることが保証されている問題がいかにイージーか実感してみてください。少しは印象変わるでしょ?』

とよく言います。私は、ただ単に志望校に合格し大学生になってほしいのではなく、受験勉強を通じて自ら【考える力】を身につけた状態で大学生になってほしいという思いで授業をしているのです。

 

参考になりましたでしょうか。もちろんこれも【わたしの考える「考えること」に対する答え】なのである方は賛同してくれたり、ある方は批判したりするのでしょう。それでいいのです。みんなで「講師とは」「教育とは」いろいろ考えていけたらと思っています。 

 

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