非常勤講師が無期雇用を獲得する為に〜定年まで働ける安心〜
こんにちは!国語科講師の中林です。
中林 智人 なかばやし ともひと
高校教師から塾講師・予備校講師に転身し、現在は河合塾・早稲田予備校にて国語を担当しつつ、都内の高校で非常勤講師としても活躍。講師業だけでなく執筆なども行う。「納得できる知識・論理的読解技術」「制限時間内に問題を解き偏差値を上げる戦略」「楽しく国語を勉強できる面白ネタ」をモットーに日々生徒に向き合っている。
まず、皆様、お久しぶりです(笑)!数ヶ月間記事の更新をお休みさせて頂き、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)m
なぜこんなに以前の更新から時間が経ったのかというと、理由があります。
実は6月中旬に、自身の結婚式を挙げていました。
1年以上前に入籍はしていたのですが、コロナの関係でなかなか開催ができず、ようやく「ジューンブライド」ができたということです(笑)。
結婚式を経験された方は御存じかと思いますが、とにかく準備が大変で、妻と色々話しながら、列席者の方々に楽しんで頂ける式を用意してきました。
その甲斐あって無事に式を終えることができたので、これからは気持ちを切り替えてバリバリ働きます!
「無期雇用転換ルール」とは?
「無期雇用転換ルール」のメリット・注意事項
メリット
安定した状況の中で働けるもうこれに尽きるでしょう。非常勤講師にとって「首にならない安心」がどれほどのものか、経験のある方はわざわざ私が申し上げるまでも無いと思います。
夜の塾・予備校のお仕事と並立するにも昼間のお仕事で首の不安が無ければ、安心して自身のキャリア形成やライフプランも考えられます。
また無期雇用と言っても「被雇用者の方の退職を禁止するわけではない」ので、事情があったり、自身のキャリアアップが見込める場合などに転職することももちろん可能です。もちろん無期雇用になれるまで長年お世話になった職場に対して礼を尽くして社会人として正しい手続きをして退職することの必要性は言うまでもありませんが。
注意事項(≠デメリット)
正社員・専任教員に自動的になれるわけではない
ここを勘違いされていらっしゃる方が多いですね。無期雇用はあくまで「本来有期雇用の派遣社員(非常勤講師)」の職の安定性を確保するものですので、非常勤講師の職を続けられると言うだけです。
ずっと無期雇用をやっていたからと言う理由で自動的に専任教員にしてくれる可能性はほとんど無いでしょう。また、昇給に関しても「そこまでやってきた非常勤講師の契約」に合わせた昇給しか望めませんので、大半の場合は専任教員のような大きな昇給は無いでしょう。
退職金に関しても、非常勤講師で支給されない学校は、無期転換しても同じでしょう。
このあたりに関しては、無期転換したとしても必ず勤務先と交わした契約書を熟読して下さい!
もし無期雇用を結んだ後で「専任教員になりたい」と思ったら、その職場であれ、他所であれ、別途採用試験を受ける必要があることが多いでしょうね。
「絶対に首にならない」と言うわけではない
前述しましたが、この制度はあくまで「雇用期間だけは正社員と同じ」と言うイメージでお考え下さい。
つまり、学校の経営状態の悪化や、講師本人が契約書の内容に抵触する行為、またそれ以外にも反社会的で大いに勤務先に迷惑をかけるような行為をした場合、学校との話し合いの末、雇用止めとなる可能性はあります。
また、そもそもこの無期雇用転換ルール自体が、今後の時代の流れによって廃止となる場合もあり得ます(例えば教員免許更新制度みたいに)。何が起こるか分かりませんからね。可能性としては低いですが、ゼロでは無いと言うことです。
無期雇用転換ルールはメリットが大きい
正直な所、非常勤講師の立場からの無期雇用転換に関しては、圧倒的にメリットの方が大きいと思います。また、そもそも5年以上そこで働いて職場の信頼を勝ち取った先生でしたら、無期雇用転換後も自己研鑽を続けられる場合が多いでしょうから、そこから自己都合退職等となる可能性も低いでしょう。
だからこそ学校側の方からすればリスキーな制度ですので、5年に到達する前に雇い止めを画策したり、無期雇用転換制度自体の廃止を国に提唱したりしてくるかもしれません。特にこのコロナ禍の中で学校経営が苦戦を強いられているところは尚更です。
あきらかに不当な雇い止めは法律で禁止されていますが、多くの場合1年契約の更新を学校側が打ち切ってきた場合、勤務年数5年以下の講師はなかなか抵抗し難いものです。中には弁護士を雇って徹底的に戦う先生もいらっしゃいますが、お金もかかるし、その余力で次の就職先を探そうとする先生の方が圧倒的に多い現状です。
なので、逆に言うと非常勤講師の先生でこの無期雇用転換の権利を獲得できるまでその学校に残れたと言う場合は、「本当にその学校にとって必要な戦力として認識された」と自信を持って良いと思います。その自信を元に、その学校でさらに講師として飛躍を目指すなり、そこを土台として放課後の塾・予備校の講師としてのステップアップを目指すなり、色々と御自身のキャリアアップを目指していかれることをお薦め致します!
「無期雇用転換の権利」を獲得する為にはどうすればいいか
問題はここだと思います。学校側としても非常勤講師を非常勤講師のまま定年まで雇い続けることには大きなリスクが伴います。
本来学校側(特に私立高校等)としては、若い先生には早めに専任教員を目指してもらって、担任業務やその他校務分掌を経験してもらい、学校運営の中核を担う存在へと成長してもらいたいのです。
また、練習の厳しい部活動顧問など、若い先生ならではの体力勝負の仕事を受け持ってもらいたいと言う所もあります。
さらには移りゆく時代に合わせて定期的に人材の若返り化をはかりたいとも思っているでしょう。オンライン授業などの新しい教育スタイルが求められる昨今なら尚更です。
なので、非常勤講師のまま同じ先生を長期間雇い続けることは、よほどのメリットが無いと嫌がられます。そういう状況下で、それでも学校に非常勤講師として5年以上在籍し、無期雇用転換を勝ち取るにはどうすれば良いのでしょうか?
・・・抽象的な表現で恐縮ですが、その学校に「講師としてでもいてもらいたい」と思われる人材になる・・
これに尽きるのかなと思います。
例えば、私の場合は勤務先の学校が進学実績を伸ばそうとしていたので、大手予備校や塾などでも働いていると言う私の経歴を評価して頂いた部分もあるかと思います。「予備校で活躍している先生が我が校で講師として授業している」ということですね。高校などでは御存知の通り「出張授業」として予備校講師を外部から招く所もあるくらいですから、「我が校の講師として予備校講師が働いていれば、生徒の進学実績にも繋がるだろう」ということです。
もちろんそれだけではなく、実際に授業のクオリティを上げ、生徒の合格実績や偏差値向上という結果につながる授業をすることが大事です。
またそれ以外にも、その学校の求めるものをしっかり理解し、それに合わせた仕事を行い、専任の先生方や管理職の方々と良好な関係を築く(あえて「気に入られる」とは言いません)ことが大事ですね。
中には人事を担当する管理職の方と人間的に仲良くなることによって講師として雇われ続ける方もいらっしゃいます。それも社交性というその方のスキルなので、それもまたありなのでしょう。
また、学校によっては例えどんなに良い仕事をしても「うちは講師の先生を3年以上雇わないから」等という場合もありますので、本当に学校によって状況は様々です。
ただ、1つ言えるとすれば、最初から「専任教員は面倒臭いから楽な非常勤講師だけずっとやりながら適当に生きていたいなあ・・・」という考えが透けて見えるようなやる気の無い先生が無期雇用転換を獲得することはほとんど無いでしょう。
専任教員や正社員にならないならならないで、その代わり長期的な自分のライフプランを見据え、プロとしての誇りと目標を持ってしっかり自己研鑽に励み続けられる講師の方が、学校側としても長期的に使いたいと思うでしょうし、またそういう先生なら仮にそこを雇い止めになったとしても、次の就職先が見つかりやすいと思います。
終わりに〜プロ講師のライフプラン〜
今までの記事でも書いてきましたが、「プロとして生きる」以上は、長期的なライフプランを考えなくてはいけません。
最近よく「今は社会が目まぐるしく移り変わり、それまでの価値観もどんどんアップデートされていくから、先のことなんて考えてもしょうがない。」という意見が見受けられます。
思うのですが、「社会から新しい価値観を吸収することと、それらを踏まえて自分が将来どう生きるか考えることは両方必要」では無いのでしょうか?
新しい価値観やシステムがどれだけ社会に出現しようと、それを使うのはあなたです。
あなた自身が何ができて、何ができないのかは、あなたしか分かりませんし、流行に乗っているからといって自分に合って無い価値観に無理に合わせようとしても自分がダメになるだけです。
私も苦手なことはいっぱいありますが、社会が求めているからといって無理矢理それらをやらなければいけないような環境に身をおくのは嫌なので、自分の特性と合っているが故に全力で頑張れるお仕事を模索した結果として、今の仕事をやっています。
その中で、自己研鑽の一環として、常に新しい情報にアンテナを張り、その中で自分にできることを全力でやっていけば良いと思います。
無期雇用転換ルールは非常勤講師にとってお得なシステムですが、それを最優先するのではなく、上記の貴方の生き方とマッチして、貴方の魅力や努力を正しく評価してくれる学校と結べば良いのです。
何事もご縁ですが、良縁は前向きに頑張る人の方にやってくるものです。
ではまた次回の記事でお会いしましょう!
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