履歴書と職務経歴書、どう書くべきか?
こんにちは。プロ講師の黒磯です。
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。
夏休みに突入しました。同業の方の中には、夏期講習がスタートしている方も多いのではないでしょうか。
講師にとっては、生徒の実力を伸ばしたり勉強の習慣化をさせる絶好の時期ですし、経営側としても、ここ一番の売り上げが見込める時期でもありますが、そんな夏が終われば2学期がスタート。
新年度ほどではないにしても、学期の切れ目は採用案件が出てくる時期でもあります。塾講師としてのスタートを考えていたり、掛け持ちを計画している方も多いのではないでしょうか。
特にこのタイミングは、受験生のコマ数や授業数が増える傾向にありますので、実はこの2学期からの講師のコマ組に苦戦する教室責任者も多いです。
また、特別講座や直前講座など、単発の講座を設置する場合もあり、各企業の方針にもよりますが、新人講師を使いやすいという事情もあります。会社員の方であれば夏のボーナスが出た直後でもありますので、転職のタイミングでもあります。転職先に塾や予備校が選択肢に入っている方もいらっしゃるかもしれません。
時間講師としてでも正社員としての募集であっても、はたまた委託契約であったとしても、転職に付きものなのが履歴書に代表される「応募書類」です。
採用をする側は、これらの書類をもって、あなたを知ることになりますが、今回は、この「採用活動の際の応募書類」について、自分が採用する立場であった経験から、何を提出するのか、何を書けばいいのか、ご紹介していきます。
目次
・まずは履歴書をつくろう
・できれば職務経歴書もつくろう
・さいごに
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まずは履歴書をつくろう
先述のとおり、真っ先に思いつくのは「履歴書」です。
履歴書はオーソドックスにまとめればよいので、あまり困ることはないとは思います。写真はスーツで、黒のインクで、和暦と西暦はどちらかで統一して・・・などは釈迦に説法でしょう。
近年では、パソコンで作成した履歴書が主流の業界も多いようですが、塾に限らず教育業界では、まだまだ手書きが根強く残っています。これは、文字を生徒に見せるという業界特有の特徴が影響してるとされています。これから採用する人間が、どのような字を書くのか、丁寧に誤字なく書ける人なのか、を見極めたいという思惑です。もし、パソコンで作成したものを提出しようとお考えであれば、「パソコンで作成したものでも構わないか」と一度採用担当者に聞いてみることをお勧めします。
私が出会った「とんでも履歴書」3選
笑い話のようですが、私が採用を担当していた時には目を疑うような履歴書がゴロゴロありました(笑)。
もちろん、面接してからの人柄や、こちらの都合に合うか(週回数や給与など)が採用可否の基準なので、いきなり履歴書だけで「不合格」とすることはあまりありませんが、忙しい時期や、ある程度応募者が集まっている時などには、書類で不合格ということもあり得ない話ではありません。作成の際には心して取りかかりましょう。
以下、「えー!そんことあるの?!」と反面教師とすべく、軽い気持ちでご覧下さい(笑)。
A1サイズの履歴書
パソコンで作成したものを提出いただいたのですが、とにかくでかい(笑)。
A3でも履歴書としては大きすぎなのに、A1といえばA3の4倍の大きさです。もうポスターです。独自のフォーマットでご自身のパソコンのスキルを示したかったのと、アピールポイントをこれでもかと詰め込みたかったのだと思いますが、規定から外れたサイズだと、管理にも手間がかかり、非常に面倒な1枚でした。せっかくのアピールポイントも悪目立ちです。
もちろん、指定のない限り提出する履歴書は市販のものであれば何でも構わないのですが、履歴書は、教育業界の場合、基本B4サイズを2つ折りが主流です。
履歴書はともかく、教育業界以外の方だと、この「B」という紙のサイズは馴染みがあまりないかもしれません。しかしながら、教育では、ノートにしてもプリントにしても、この「B」サイズを多用します。ぜひ頭の隅の方に知識として残しておくと、なにかと役に立つことがあるかもしれません。
明らかな使いまわし
残念ながら他の企業の選考に漏れてしまった場合、履歴書は返却されることも多々あります。履歴書を1枚仕上げるのには、非常に労力も掛かりますから、使いまわしたくなる気持ちもわかりますが、実はこれ、すぐに分かります。自己PRや志望動機など、その企業に向けたメッセージがずれてしまい噛み合わなくなるのです。もし、噛み合うとすると、万人に当てはまるということなので採用者には全く響きません。
私が出会ったトンデモ履歴書は、他業種からの履歴書の使いまわしでした(笑)。これには驚きました。学習塾講師の採用なのに、自己PRには「昨今の食品業界は…」「流通の一端を担うべく…」など、不釣り合いな文言が並んでいたのです。もしかしたら、別企業に送るべきものを誤って送ってしまった可能性も考えられますがさすがに驚きました。
特に正社員採用の場合、この「自己PR」「志望動機」は注目して見ます。「何通も書いてもったいない」と思う気持ちは汲みますが、さらにもったいない結果を引き起こすことになりますので、絶対に使いまわしはやめましょう。
重い履歴書
複雑な家庭環境や自分を卑下する文言を、自己PRの欄にこれでもかと記入されてきた履歴書に出会ったことがあります。「○歳のときに両親と死別し、施設で…」「その後里親に出された家庭で…」「これまで10社続けて不採用となっており、これ以上続けば生きていく気力がなくなる…」などなど…。読んでいて泣きそうになりましたし、ある意味脅迫のような恐ろしさも感じました。面接も、もう暗―い雰囲気でいたたまれなかったです。結果として不採用としたのですが、心苦しく、後味が悪いものになってしまいました。
他にもいろいろ
その他、市販の履歴書の枠を全部蛍光ペンで囲いデコレーションしてきた「カラフルすぎる履歴書」や、前職の顧客リストを添付してきた「お土産付き履歴書」(犯罪です!)、『私が入社した際には、以下のものをそろえてください』と、パソコンの細かいスペックや椅子のブランドなどを付箋で添付してきた「欲しいものリスト付き履歴書」など、枚挙に遑はありませんが、皆様もお気を付けください(笑)。
無意識のうちに視点が上からになっていることも
これまでたくさんの履歴書を見て来て感じることとして、自己PRや志望動機が上から目線になってしまっているものがあります。特に年を重ねた経験者に多い傾向にあります。
面接でもそうなのですが、「自分は採用されて当然」というスタンスが透けて見えることがあります。しまいには、面接で「この会社も私が入社すれば成長できるはずです」と発言された方がいたのですが、これには参ってしまいました。当然マイナス評価です。
自信があるのは結構ですしアピールは大切ですが、「自分がしてきたことへの自信」という視点よりも、「その企業でその経験を生かして何ができるのか」を伝えるようにしてください。そうでないと、ただの自慢書類になってしまいます。対象となる企業が何を求めているのか、大切にしている理念は何なのか、社長の言葉はどんなものがホームページに載っているのか、などなど。せっかく経験が豊富なのに共感できずに、もったいないなと思うことも多々ありました。
この「上から目線の書類」は皆さんが想像するよりも、はるかに多いです。おそらく自分では気づきにくいのだろうと思います。ご自身の履歴書をもう一度読み直して推敲すべき部分は直してみてください。
できれば職務経歴書もつくろう
社会人としてある程度経歴があるのであれば、この「職務経歴書」を添付することを検討しましょう。採用する側からすると非常に助かりますし、応募者のことを深く知ることができるので面接でも突っ込んだお話ができます。
「履歴書」には、学歴や社歴といったものを記載しますが、その会社内でどんな立場で何をしてきたのかを細かくアピールすることができる書類です。
また、短期間で退職した場合でもその事情も明らかにできますので、マイナス評価を回避することにもつながります。書き方の指南はwebや書籍にもなっていますので各自ご確認いただきたいと思いますが、履歴書だけの提出よりも、よりアピールの幅が広がります。
アピールするものは、客観的なデータを基に
この職務経歴書を作成する際に陥りがちなのが、漠然とした表現で記載をしてしまうということです。
例えば営業成績を良かったことをアピールするのに「営業成績で高評価を受けた」となってしまうとかなり漠然としています。具体的な数値や基準などを用いて、しっかりと相手にも伝わるように書き直す必要があります。
例えば「平成○年の営業成績で全社4位の成績を収めた(対象者約160人)」「令和○年営業成績△△万円(目標比110%を達成)」などといった具合です。
指導力をアピールするのであれば、「都立高校受験クラスを担当」⇒「都立高校受験クラス(2クラス各約20名)を担当。第一志望合格率88%」などと、数字で示すことを心がけてください。「たくさん」「好成績」「高評価」という抽象的な言葉を並べてもあまり相手には響きません。
また、塾業界に関して言うならば、採用者が見極めているのは「指導力」と「営業力」です。特に、中途正社員採用だと後者のウエイトは実は大きいです。自分のこれまでの経歴をどう相手企業に活かせるのかという視点を大切に、まとめてみてください。
また、職務経歴書を作成することで、自分も気づかなかった自信の強みやアピールポイントが浮き彫りになることもあります。ぜひ一度、ご自身の経歴を振り替える意味でも、職務経歴書を作成してみてください。
さいごに
採用書類について、採用する側の視点から注意点や改善点を今回はお話いたしました。
書類が全てを決定するわけではありませんが、その書類は採用者があなたを知る最初の入り口となります。応募をする企業を研究することも含めて、いかに相手の思惑と合致させることができるかがポイントです。
私が見てきた履歴書や職務経歴書で一番多いのが「独りよがり」です。
繰り返しになりますが、自分をアピールするばかりでなく、相手の企業が何を求めていて、何が自分にできるのか、そのために今までの経歴がどう生かされるのかをぜひ採用担当者に伝えてください。そうすることによって、採用がぐっと近づくと思います。
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