先生は夏休みに何をしているのか?【キャリアコラム#42】
こんにちは。プロ講師の黒磯です。
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。
夏休みも終盤に差し掛かりました。同業の講師の皆様、夏期講習の進捗はいかがでしょうか。運営側に携わっている皆様は、夏に外部生として受け入れた生徒の獲得に向けた動きが山場を迎えていることと思います。もう一息、ともに踏ん張りましょう。
目次
・夏休みの先生は何をしている?
・今年の夏の稼働時間と日数
・学校の稼働・塾・予備校の稼働
・休みは取れる?
・最後に
夏休みの先生は何をしている?
夏休みは、塾や予備校がいつもに増して賑わいを見せる時期です。その反面、学校からは部活動や課外活動などを除いて、生徒たちは学校に行かなくなります。
そんな生徒の動向の対極にある2つの場所を掛け持っているのが、何を隠そう私です(笑)。
今回は、そんな先生の「夏休み」。
どう過ごしているのか、スケジュールはどのようになっているのか、自分の実態を踏まえてお話しします。
今年の夏の稼働時間と日数
下は私の7月21日から8月31日までのいわゆる「夏休み期間」の稼働時間と日数です。1か月ではありません。ざっと6週間の稼働です。
・塾の稼働 …1日5~7時間×20日
・学校の稼働…1日2時間×6日
「え?これだけ??」
「学校全然行ってないじゃないか!」
そんな言葉が聞こえてきそうですが、これが実態です。しかも、実はこの稼働で通常の月よりも7月と8月は報酬が圧倒的に高くなります。
そこにはどんなからくりがあるのか。実は、塾と学校を掛け持っているからこそできる業なのです。
学校の稼働
学校に関わる業務は基本的にはない
我々のようないわゆる非常勤講師の立場ですと、契約内容にもよりますが、例えば学校行事などの影響で予定されている自分の授業がなくなった場合には、出講の必要はありません。
夏休みの期間は当然授業がありませんから、同じように学校に行くことはありません。学校によっては研修を実施したりする場合はあるようですが、私がこれまで勤務した4つの学校に関しては、特別な場合を除いて、夏休み中に学校に行ったことは一度もありません。学校の非常勤講師のみで生計を立てている場合、ずっとお休みということになりますね。
塾や予備校の場合、この夏休みの期間に夏期講習を実施することになります。
午前中などの通常であれば学校に行っている時間と被る時間帯に授業が組まれることがありますが、学校と塾を掛け持ちしていたとしても、私はこれまでスケジューリングに困ったことは一度もありません。
一部、出講しなくてはならない場合も
基本的に夏休みの間は学校には出講しない日々を過ごすことになりますが、1学期の成績で赤点などが出てしまった場合のフォロー、また、自分の担当授業で成績不審者を対象とした補習を実施することなどが必要となった場合には、学校の求めに応じて出講が必要となる場面が出てきます。
特にここ2年ほどは、感染症の影響で期末テストを受験できなかった生徒のための補習や別日受験の対応(問題作成や採点、成績処理など)が必要となり、特に夏休み序盤には出講しなくてはならない場合も増えているようです。コロナ禍の影響は、こんなところにもでてきてしまっています。
もちろん、契約上は授業に出講するのが非常勤講師の業務なので、どうしても出講できないとなれば日程の変更を打診したり、どうしてもできないと断ることもできなくはないとは思われますが、これらの通常授業に関わる業務については最終的には自分でこなす必要がありますので、上長と相談しながらうまく日程を組むことになります。
また、非常勤講師でも部活動の顧問を担当している方もいらっしゃいます。この場合には、部活動の活動日程に応じて出勤する必要が出てきます。
その他、学校に出講の協力を求められることも
また多くの私立の場合、この夏休み期間中に学校企画の講習会を開くことがあり、この講習の担当をお願いされることがあります。私も、今年は6日間12時間分を依頼されて承りました。特に、受験学年の担当だと依頼の可能性は上がる傾向にあります。
ただ、この依頼に関しては、自分のスケジュールと相談しながら受けられるかどうかを判断できることがほとんどです。私も、過去には塾の講習会と日程が合わずにお断りしたことも何度もありますし、日程を変更して実施したこともありました。
塾と学校、どちらを優先するのかは個々人の判断です。私は、先に依頼を受けたほうを優先する、と決めていますが、例えば、得られる報酬の大きさや自宅からの通勤時間や距離など、判断基準は様々です。
このように、非常勤講師の夏休みは、一部の業務を除いて学校に行くことなく進行していきます。この期間に旅行に出かけたり、教材研究を含めて2学期の準備をしたりすることになります。
給与はどうなる??
そうなると、気になるのは夏休み期間の収入です。
これは契約によって、大きく2つに分かれます。
契約が出来高(授業を実施した場合に給与が発生する)の場合
私は経験したことはない形態なのですが、授業をした日数や時間に応じて給与が発生するという契約です。塾の時間講師と全く同じ計算の仕方ですね。
この場合には、文字通りなので授業の実施していない夏休み中には報酬がないということになります。この期間に別の仕事をして凌ぐということになります。もちろん、先述のような講習や補習を実施した場合などは、別途給与は発生します。
この契約は、公立学校と派遣講師に多い形態です。少々不安定な収入形態になってしまいますね。
契約が月給の場合
月に支払いを受ける金額が一定で決まっているという契約です。
先ほどのように、学校行事などで授業がなくなり出講しない場合でも、授業をしなかった分を差し引かれることなく、一定の給与額が決まっています。私立学校に多い形態で、私は非常勤講師として仕事を始めてから、勤務する学校が変わってもずっとこの契約です。当然、夏休みで授業がなくても、契約通りに支払いを受けています。
これに、講習や補習の出講分を追加して受け取ることになります。出講手当(月給とは別に、出講した日数に応じて発生する手当)や通勤手当(交通費)を計上する契約の場合などは通常の月よりも手取りが少なくなる場合もありますが、出来高制よりも月給制の方が有利な給与形態と言えるかと個人的には思います。
塾・予備校の稼働
事前に決められた授業に合わせて出講する
個別にしても集団指導にしても、講師の場合は、時間割に沿って自分の授業に合わせて出講します。
時間割の決まり方については、各塾や予備校によって異なります。事前に講師の予定をヒアリングして、それに合わせてコマ組をする場合と、先にコマ組を決定して講師に打診する場合の2パターンが多いようです。通常時に比べて教室全体の授業数が極端に多くなりますので、通常担当していない学年や、特に個別指導では本来の自分の担当でない科目が回ってくることもあります。最終的に決定した時間割に沿って、勤務をすることになります。
急な対応をお願いされることも
先述の通り、通常時よりも多くの授業が教室内で展開され、また期間も長くなるため、担当が急病などで出講できなくなるなどのトラブルが多く発生するのもこの講習期間です。
特に今年は、この夏に感染症が蔓延した影響で、担当講師本人の感染だけでなく、濃厚接触者として勤務ができなくなるということも多発してしまいました。
このように、突然担当の先生が出講できなくなった場合などは、空いている講師に急遽代講を依頼するということになり、イレギュラーな勤務が発生することもあります。もちろん、予定に応じて受諾するかしないかは選択できますが、協力できる場合には極力協力することになります。
私は幸い感染することも濃厚接触になることもなくここまで勤務できていますが、やはり、いくつかの授業を代講しています。運営側としては、非常に神経をすり減らした講習期間だったのではないかと思います。
報酬は出来高~夏は塾講師の稼ぎ時~
塾や予備校の講師の場合、多くの場合は「時間給×担当した時間」という通常通りの掲載方法で給与や報酬額が決定されることになります。正社員でない限り、講師で月給制というのはあまり聞いたことがありません。
逆に、正社員として塾で勤務している場合には、担当コマの多少に関わらず、その給与額は一定です。ただし、やはり通常よりも勤務時間が長くなる場合が多いですから、残業が発生することも多々あります。これはしっかりと申請して残業手当として受け取ってください。
時間講師や私のような業務委託契約の場合、通常よりも1日に担当できる授業数が多くなり、また、一定期間その状態が続くため、夏の給与や報酬は他の月と比較してかなり高くなります。もちろん、講習でしっかりと授業(お仕事)を頂かなければ、いくら稼ぎ時だとはいえ報酬に結び付きません。やはり普段から、運営側との信頼関係やコミュニケーションの構築は大切です。
休みは取れる?
私の場合、今年は7月17日から7月27日まで、また8月にも6日間、学校も塾もお休みで完全な休暇でした。また、塾に関しては8月下旬に6日間の休みがあります。ここで、学校の講習を実施するようにしました。意外としっかりと休めています。
ここ6年ほどはずっと同じような休みになっており、コロナ禍の前は、この休みを利用して趣味である旅行を計画するのが年中行事でした。来年には、またどこかに気兼ねなく出かけられる世の中になることを願っています。
最後に
・学校の非常勤講師の夏休みは、基本的には休み。
・塾での講習会に集中している。
・塾講師にとって、夏は収入を得るチャンス
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私はこの夏、「学校への勤務はないが月給を受け取っている+塾でいつもよりも長く勤務して通常よりも多く報酬をもらっている」という報酬体系で仕事をしています。これが、最初にお話しした稼働時間と日数でも十分な報酬を受け取ることを可能にしている要因であり、また年収を大きく伸ばせている原因のひとつだ思っています。比較的長くまとまった休みも取れていながらも、通常の月よりも報酬は高くなっているのです。
以前の私の記事や、中林先生が執筆なさった記事でも、学校の非常勤講師と塾・予備校を掛け持つことのメリットについて言及していますが、学校と塾との掛け持ちはこのような面でも、収入アップの手法として効果的であると感じています。もちろん、個人個人の事情や価値観で仕事を選択してくことが一番大切ですが、この勤務形態も一考する価値があるのではないでしょうか。
今年の夏は暑い日が続いています。コロナも猛威を振るっていますので、各自ご自愛の上お過ごしください。
では、また次の記事でお目にかかります。ありがとうございました。
社会人で塾講師・家庭教師探すなら
塾講師ステーションキャリアのおすすめポイント!
求人数20,000件以上!時給4,000円以上、専門塾、オンラインなど、バリエーションが豊富。
登録した希望条件などをみて塾の人事から直接スカウトがくる。
採用されると最大お祝い10,000円分がもらえる。(※AMAZONギフト券)
サイトには掲載のない非公開求人(高時給、教科特化求人等)があり、会員限定で公開している。
塾講師ステーションキャリアでは、正社員~プロ講師まで、業界No1の求人数を誇っています。
登録するだけで、希望地域や得意分野、経歴に合わせてスカウトが届くので、登録しておくだけで求人と出会うことができます。
また、サイトには掲載のない非公開求人もあるので、事前に登録しておくことがおすすめです。
あわせて読みたい記事
プロ講師・非常勤講師のおすすめ塾講師バイト・求人特集
塾講師ステーションでは300件を超えるプロ講師案件を掲載しています。本記事では、全国又は関東に複数の教室を展開しているプロ講師募集塾をご紹介しています。