生徒から見た映像授業と対面授業。どう対処する?
プロ講師の池末です。
池末 翔太 いけすえ しょうた
高予備校で物理・数学を教えるプロ講師。大学在学中にブログを開設。出版社の目にとまり、そのまま書籍化を実現。他にも、勉強法・受験メンタル・物理・数学などに関する書籍を計7冊を出版しており、若くして講師職以外にも活躍の場を広げている。生徒目線で「自分の授業を受けたいと思うか?知的好奇心が満たされるか?」を常に考えた授業スタイル。
今回は、「映像授業」と「対面授業」の比較を考察してみたいと思います。
近年、といっても私が受験生であった15年前くらいからすでに存在した「映像授業」ですが、とくにPC、スマホの情報デバイスの進化、またコロナ禍によりこれまで以上に「映像授業」の役割は大きくなっていると感じます。
昔は、塾・予備校の授業といえば「対面授業」が常識であり「映像授業」はむしろサブ的な扱いでありました。
ところが、今ではむしろその立場は逆転、ないしは半々といったところでしょうか。私自身も、いくつかの予備校や企業で「映像授業」を担当し、収録を行っています。もちろん、「対面授業」も同時にこなしております。
そんなどちらの経験も持つ私見を今回はいくつか紹介したいと思います。
対面授業について
かつてより、様々な塾・予備校・学校教育現場で実現されてきた最も太古な教育方法といえる「対面授業」。
おそらくこの記事をご覧になっているプロ講師(プロ講師志望の方)は日々、この「対面授業」で授業を行っていると思います。
「対面授業」におけるメリットは3つあると考えます。
1つは『生徒の姿(表情)が見えること』ですよね。説明・解説をしながら生徒の顔を見ると本当に「理解しているか否か」は、講師であれば瞬時にわかりますよね。
「あ、この顔はわかってなさそうだな」と感じたら、説明を繰り返したり、より砕けた(柔らかくした)説明を行って理解を助けることが可能です。
また、もう1つは『生徒と会話できる』ことです。
「会話する」ことで、講師と生徒お互いのパーソナリティが(全てとは言えないまでも)かなり理解できるし、「授業で分からなかった質問や進路相談など」にスピーディに対応できます。これは非常に大きな利点と言えるでしょう。
さらに3つ目として、これは「対面授業」でかつ「集団授業」で特に言えることですが、「まわりに他の生徒がいる」ことも大きなポイントでしょう。
これは後に「映像授業」の部分でも扱いますが、「まわりに人がいる環境」というのはそれだけでも重要な価値を持ちます。「まわりに頑張っている人がいる。だから自分もしっかりしないと!」という意識が生徒自身の中に芽生えるのは想像に難くないでしょう。
POINT
生徒の姿が見える・生徒と会話ができる・周りに他の生徒がいる
映像授業について
では、次に「映像授業」について考えてみましょう。「映像授業」のメリットも3つ紹介します。
まずなんといっても大きなメリットの1つは「場所と時間を選ばない」ことでしょう。
特に現役生は部活や学校課題、学校行事等で中々、塾・予備校の授業開始時間に間に合わないということも実際にお見かけします。そんなとき家にいるときでも、電車やバスの通学時間も「授業を受ける」ことができるのは素晴らしいと思います。「授業、見たいな」と思えるときに自由に見ることのできる環境があるのは貴重だと感じます。
またもう1つは「自分のペースで進むことができる」ことでもあるでしょう。
塾・予備校では週に90分(や180分)でこの単元を扱うということが年間で決められています。ところが、「映像授業」の場合、極端な話自らの学習意欲と時間があれば2学期に入る前までに受験内容を終えることも出来ます。もっと言えば高2の段階で高3内容すべて受講できることも不可能ではないのです。(逆に言えば、高3の7月から本腰入れて高1内容から復習し受験に間に合わせることも可能といえば可能なわけですね)
そして3つ目は「倍速や停止することができる」こともメリットと言えるでしょう。
学生時代に経験がないでしょうか。先生が板書し説明しているとき、「何を言ったかが聞き取れなかった。または、板書を移す前に消されちゃた」なんてこと。「映像授業」は1.5倍速や1時停止するこができるのでその問題点は解消されるのです。
このように「対面授業」、「映像授業」には(これだけではないですが)以上のようなメリットが存在します。
POINT
メリットは3つ
場所と時間を選ばない・自分のペースで進むことができる・倍速や停止することができる
しかし、どんな薬にも副作用があるようにデメリットも存在することは意識しておきましょう。
まず「対面授業」のデメリットとしてよく挙げられるのは「休んだときの授業」が理解できないまま先へ進んでしまうことがあります。「集団授業」の場合、年間カリキュラムとして今週の内容を踏まえて来週の授業を組むので1週でも休まれるとかなりの痛手なのです。
また、「映像授業」のデメリットは「生徒自身のやる気」にかなり依存する事が挙げられます。「好きなときに見ていいよ」は裏返せば、「見たくないなら見なくていいよ」なので、かなり学習意欲が高い生徒でないと上手に使えないのです。(実際に塾・予備校のブースで決められた時間で映像を見る場合この限りではないですが…)
POINT
対面授業のデメリットは、休んだ時に理解ができないまま進んでしまう点
映像授業のデメリットは、生徒自身のやる気にかなり依存してしまう点
このように「対面授業」「映像授業」の特徴をしっかり抑えることは、生徒にとっても講師にとっても肝要なことだと思います。
参考になりましたでしょうか。では、また次は「映像授業」VS「対面授業」その2ということでよりリアルな現場の声をお聞かせしたいと思います!お楽しみに!
おまけ
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