こんにちは!塾講師歴はや33年の平山(♀)です。
本日は、これから塾講師として最も必要な「指導技術」を高めて行きたいと考えている志高い若手の皆さんに、生徒を伸ばすために必要なたった一つの心がけをお伝えしたいと思います。
皆さんもご存知のように、塾講師は労働の結果がその日に出せる職種ではありません。
例えば、美容師さんは髪の毛をカットしたらその結果に対する対価として代金を貰いますし、小売店ではお客さんが選んだ商品と引き換えに代金を貰います。
でも、塾講師は、何ヶ月かあるいは何年か先の学力の向上という未来に対して、しかも絶対にそうなると約束も出来ないのに、期待に対する対価として代金を貰います。
ここまで読んで勘のいい方は既にお気づきかもしれませんが、毎回毎回の授業に対して対価を貰っている訳ではないのです。
大切なことなので繰り返しますが、毎度の成果は目に見えないけれども、「これを継続したらきっと成績を伸ばしてくれる」という未来に対する信用に対して、しかも一度でなく何度も継続して対価を貰っているのです。
すごい責任ですね(重)。
ですから、こちらとしても絶対にその信用を裏切らないように努力しなければなりません。
しかし、どう努力すれば良いのか、長年指導にあたっている講師でもその答えを見つけられていない人も多く見かけます。本人が熱心なだけに、とても勿体無いことだといつも思っています。
そこで、前置きが長くなりましたが、本日はこの記事に目を留めて下さった皆さんにだけ、お話しちゃおうと思います。
目次
・いわゆる、塾での「授業」のイメージ
・インプットのみだと、受け手には何が起こるのか?
・塾選びに失敗し続けてきた保護者が要望してくること
・どうやって生徒の頭と手を動かしたら良いのか
・最後に
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いわゆる、塾での「授業」のイメージ
塾では学校のように授業参観的なものを行うところはあまりないと思いますが、親御さんがイメージしているのは
ガッツリ解説→関連する問題演習
という図式だと思います。
あまりにもこのイメージが強いのか、また自分が通っていた塾での授業がそうだったのか、大学生になって塾講師のバイトを始めたばかりの新人講師は大抵このスタイルを踏襲しようとします。講師視点で見るとものすごくエネルギーを使いますし、上手く解説出来るとかなりの達成感が得られます。小話なども挟みつつ、生徒からの反応もあったりすると益々気合が入り、1時間ずっと講師が話していた、なんてことも珍しい光景ではありません。
しかし、生徒視点で見るとどうかと言うと、テレビの教育番組や映像授業を見ているのと同じことが起こっています。つまり、
勉強する=頭を使い手を動かす
はずなのに、
講義を聴く=頭と手が止まっていて目と耳だけを働かせている
状態になっているのです。
要するに、思考回路を止めてインプットのみをしている状態です。
これがいけないと言っている訳ではなく、インプットは参考書や映像授業で代替可能なので、生身の人間から授業料を支払ってまで提供してもらわなくとも実現できる、と言いたいのです。
インプットのみだと、受け手には何が起こるのか?
インプットだけでも十分勉強している気になれますし、全く勉強しないよりは勿論良いですが、以下の理由から定着や応用は難しいでしょう。
- インプットした事は書いたり声に出したりして初めてモノになる
- 学力は、モノにした知識を使って何かを考え、答えが出るたびに向上する
- 人間は「参加型」のものでないと自分事として物事を処理しにくい(=他人事になる)
そう言われてみればそうだな、と思いませんか?
しかし、この点に気付いていない人は多く、講師もそうですが保護者の方も、そして生徒自身も、ガッツリ授業を受けて疲れて帰ってくると
「あ〜、声が枯れるまでしっかり指導したなあ!」
「あ〜、クタクタになるまで頑張って勉強してきたわね!」
「あ〜、今日は沢山勉強したなあ!もう何も頭に入らないや。お風呂はいって寝ようっと。」
という気になってしまうのです。
塾選びに失敗し続けてきた保護者が要望してくること
長らくこの仕事をしていると、年に数十件の新規の生徒さんからのお問い合わせを頂戴します。
大抵の方は何軒か塾を経験したけれど成果につながらず、合わないと思って個別指導や家庭教師に行き着いて、「今度こそ!」と期待をかけておられるご家庭です。
そのような、合う塾が見つからないご家庭が必ずと言って良いほどご要望されること。それは、
「苦手分野を取りこぼさずしっかり解説をしてやって欲しいんです。」
そのご要望に従ってしまうと、当然これまでの塾と同じ結果しか導かれず、やがてまた別の塾を探すことになります。そうこうしているうちに学年が進み、結局受験する夏まで同じ塾・同じテキストで積み重ねを行なって来なかったために、ほとんど何も定着しておらず、志望校を下げたり受験を断念する方も多くおられるのが現状です。
ベテランの塾講師を目指すのであれば、そういった保護者にはこう助言して差し上げて欲しいです。
「どれだけご本人が頭と手を動かすかに結果の全てがかかっています。私どもでは極力黙って聞いている時間を作らず、ご本人に上手に頭と手を動かしてもらうような授業を行い、必ず良い結果にお導きします。」
言いづらいかもしれませんが、私の経験上これをお伝えして(勿論、その後実践して)感謝されなかったのはほんの数%で、ほとんどのご家庭からはその結果と共に感謝と喜びの声をいただいていますので、心配には及ばないと思います。
どうやって生徒の頭と手を動かしたら良いのか
とはいえ、具体的にどのようにしたら生徒の頭と手を動かすことが出来るでしょうか。
実はそう難しかったり新しいことをする必要はなく、これまで講師がやってきたことをそっくりそのまま生徒にやらせるだけでOKです。具体的には、
- 問題を前に出て解いてもらう
- どうしてその答えになったのか、解説してもらう(間違えていても良い)
- いくつかの質問に答えてもらう
たったこれだけです。
「一番効率良い勉強方法は、人に教えることである。」
という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これ以外の何者でもありません笑。
講師が解説してしまうと、講師が勉強していることになり生徒の勉強時間を奪っていることになります。その時間を、学力を伸ばしたい生徒に譲ってあげるだけで充分です。
逆に言えば、
如何に講師が何もやらないか=如何に生徒が伸びていくか
ということが出来ます。
最後に
では最後に一言でまとめましょう。
生徒を伸ばしたいなら、講師の仕事を全部生徒にやらせるべし!
手抜きしていると思われないか心配かと思いますが、大丈夫です。このように生徒を動かすことこそが、実は本当の意味での講師の仕事なのですから。
この記事を読んで、一人でも多くの「利き腕講師」が育ちますよう心から願っています。
ご静聴ありがとうございました。
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