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中学受験における下位クラスでの授業運営や生徒との付き合い方【キャリアコラム#62】

中学受験における下位クラスでの授業運営や生徒との付き合い方

こんにちは、プロ講師の大久保です。

新年になり、首都圏の中学入試がいよいよ始まります。

今年はコロナに加えインフルエンザも流行しているとのことですので、受験生はよりいっそう健康管理に気をつけて積み上げてきた力を発揮してほしいと思います。

一方、一足早く推薦などで進学先を決めた新大学生はバイト先などを捜し始めていることと思います。

本日は、塾講師になって初めて授業に入る可能性の高いローコース(レベル別下位クラス)での授業運営について書きたいと思います。

多くの塾では習熟度別にクラス分けをして授業を行っていますが、モデルケースの授業ではなかなかうまくいかないのがローコースです。授業を担当することになってつまずいた時はうまく授業が回るように参考にしてみてください。

目次
下位クラスに入る上で考えておきたいこと
下位クラスの授業運営と生徒との付き合い方5選
おわりに

下位クラスに入る上で考えておきたいこと

まず授業前に頭に置いておきたいこととして

「ローコースの生徒は勉強が嫌いで出来ないわけではない」

ということです。

もちろん「勉強が嫌い」や「勉強が不得意」な生徒もいますが、その理由が勉強方法や面白さをまだ知らないだけである事も多くあります。特に低学年では塾に来るまでの家庭での準備の差=点数の差が顕著なので、担当する時はぜひそのことを念頭に置いてどうしたら勉強の面白さを理解するか、前向きに勉強に取り組めるかを考えて運営しましょう。 

下位クラスの授業運営と生徒との付き合い方5選 

1、授業前に環境を整える(机の整頓、忘れ物がないか確認等)

ローコースの生徒の多くは切り替えが苦手です。

休み時間や前の授業との切り替えをはっきりするためにも、必ず業前には机などをきちっと整頓してから授業を始めましょう

そうすることによって前の授業のテキスト等が机の上に残ったまま授業を始めるようなことはなく、机の上を綺麗にしてから授業を始める習慣が身につきます。そして、その切り替えを繰り返していくうちに、早い段階で授業に必要な道具(サブテキストや赤ペン等)の忘れ物などにも気づくようになり、自分から対処するようになっていきます。

整頓してクラスを見回りながらイスの座り方を正したり、後ろの列の生徒が黒板がちゃんと見えるかなども声かけすると徐々に授業に入る姿勢が出来てきます。業前後に挨拶する塾も多くあるので、その挨拶と整頓を組み合わせることによって授業に緊張感を持たせましょう。

2、生徒の名前と顔を覚える

これは当たり前で大切なことなのに案外ちゃんと出来ていない講師が多く見受けられます。

名前と顔を覚えることは生徒を大事にすることにつながります

逆に名前も顔もろくに覚えてくれない先生の言う事を生徒はちゃんと聞いてくれません。まずは苗字だけでもよいのでちゃんと生徒の名前と顔を把握するようにしましょう。

また、生徒たちに対して名前を覚えて声をかけることは「あなたを私はちゃんと見ているよ」というメッセージにもなります。ローコースの生徒には点数が取れてないことによって少し後ろめたい気持ちになってしまっている生徒もいます。そういった生徒がやる気を出すきっかけにもなるのでローコースでは特に名前と顔を覚え、積極的に声がけしましょう。

3、授業に参加させる(板書を写す、問題を解く等)

ローコースの生徒は、授業を他人事のように聞いているような生徒もいます。自分にとって必要な時間だということを自覚するためにも授業内容の板書は必ず取らせましょう。

「板書を写しているだけでは勉強した気になるだけだ」という話もよく聞きますが、ローコースに関してはまず「授業を受けた記録」として板書をキチンと残すクセをつけさせましょう。

そして、宿題やテスト直しなどでつまずいた時は、自分で作成したノートをよく見て確認するように指導し、板書は授業中だけではなく自宅学習にもつながるものである認識を共有できると、授業態度にも変化が出てくるのではないでしょうか。

講師側もある程度勉強する上で振り返りやすいような板書案(必要な部分をしぼる、文字を少なめにする、色分けをする等)を準備して授業に臨みましょう。

4、遊ぶ隙を与えない

ここでいう「遊ぶ隙」とは、主に生徒同士での私語、物の貸し借りなど複数人で授業外の行為をすることを指します。いちいち緊張感を緩ませないためにも問題配布、テスト終了などのタイミングでそれをさせないことが一番のポイントになります。そのためには生徒が今何をすればいいかを講師側が明確に指示を出す必要があります。

例えばテキストを配る時、全員に配るだけでは最初にもらった生徒は暇になり遊ぶ隙を与えてしまいます。そこで、もらった後にする指示を出しながら配布します。(名前を書く等)

テスト終了時に交換採点させる場合も、全員が交換し終えるのを生徒のタイミングで待っていると先に交換した生徒に遊ぶ隙を与えてしまうのでこちらでタイミングを取って答えを配布したり、講師側から答えを言い出すなどして常にある程度のスピード感を持って授業運営するようにしましょう。

中学受験は内容が難解で量も多いので、のんびり生徒にテンポを合わせて授業を行うと、授業時間が足りなくなります。その結果、駆け足での授業になったり、内容を抜粋しなくてはならなくなったり、授業時間を延長したりと授業の質が落ちてしまいます。

限られた時間内で内容をこなすためにも生徒側だけではなく講師側も常に時間の意識を持ちましょう

5、授業が終わったら勉強の話はしない

授業が終わったら、生徒からの話はしっかり聞いてあげましょう。

もし勉強に関する相談があればそちらが優先になりますが、日常の出来事なども出来れば聞いてあげると生徒もすっきりして帰宅することが出来ます。授業中は勉強に集中、終わったらひとまずもう勉強の話はしない、と勉強の話を授業内で完結させることによって生徒側も切り替えが出来るようになります。

他愛もない雑談から実は本人が相談したい勉強のこと、授業の感想などがポロっと出てくることもあるので時間が許す限りは聞いてあげましょう。

おわりに

ローコースにおいての授業運営は、講師の教室管理の重要度が高くなります。

その中でも出来るだけ生徒を尊重するためにも、まずは時間の管理、切り替えをテーマに進めていくとうまくいきやすいのではないでしょうか。

勉強する環境を積極的に作り、勉強の面白さを伝えることが出来れば自然と授業もスムーズに回っていくことでしょう。

 

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大久保 礼子

記事執筆者:大久保 礼子

県立高校普通科を卒業後、都内の音楽大学の音楽学部音楽学科器楽(ヴァイオリン)専攻卒業。演奏活動や音楽教室にて楽器を指導する傍ら、進学塾にて中学受験の理系科目を非常勤講師として担当する。
現在も二足のわらじを履き続け、右脳と左脳をフル回転する日々を送っている。
座右の銘は「健全な身体に健全な偏差値は宿る」

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