こんにちは!
新しい期がスタートし、既に1年を切った2023年度受験生を抱え、早速戦闘モードに突入しているこの道34年、いや今年から35年のベテラン講師平山(♀)です^^
さて今日は、年一年と変化しつつある受験のトレンドにおいて、教職の役割がどう変化しつつあるかという難しそうで難しい話をしようと思います。
目次
・総合型入試志向へと変化しつつある近年の受験
・総合型入試のメリット・デメリット
・こんな時代に教職(学校教師・塾講師どちらも)に求められるものとは
・まとめ
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総合型入試志向へと変化しつつある近年の受験
私が青春時代を過ごした昭和のバブル時代には当時の共通テストを「共通一次」と呼び、受験生も現在の100万人の倍である200万人を超えていたことからもわかるように、競争熾烈な時代でした。
中学受験で私が受験した第一志望校は特に人気の学校だった事もあり、倍率が24倍だった事を今でも鮮明に覚えています。
ところが徐々に少子化の波が訪れ、倍率は下がって行きました。
単純に少子化で受験生の総数が減ったことはもちろん倍率低下の要因として大きいですが、昭和の頃は沢山見かけた女子短期大学なるものが少しずつ減っていき、代わりに共学の4年生大学へと生まれ変わった所も多くあったため、受け入れ総数が増えたことも割と大きいのではないかと個人的には考えています。
さらには大学卒業後の女子の「家事手伝い」と呼ばれるポジションも淘汰されて行き、女子も男子同様に当たり前のように就活して就職するようになり、その就職先にもかつてあった花嫁さん候補としての、お茶出しやコピーとりだけをやらせるような「一般職」というものは現在はほとんど見なくなりました。
そんな「少子化」と「女性の地位向上」に伴って、大学を始めとする教育機関の在り方も少しずつ変わらざるを得ませんでした。
全て上手く行ったものばかりではないですが、「ゆとり教育」「通信制高校」「フリースクール」「IB」等々、様々な試みが為されました。そして当然、今現在も変化は起こっています。
そういった流れの中で受験業界にいる私が2年前ぐらいから「顕著だな」と思う動き。
これが大学受験の「総合型入試」です。
「総合型入試」は導入当初は「自己推薦」などと呼ばれていたことがあり、かつて「一般入試」か「推薦入試」の二択しかなかった時に推薦入試というと学校の指定校推薦を指していたと思いますが、「自己推薦」は応募基準を満たしていれば学校に推薦枠が来なくても一般公募で挑戦してみたい学校にいくつでも応募出来る制度、と思って頂ければ良いと思います。
少子化に伴って倍率割れする大学や学部が続出し、大学の存続を懸念した大学側はこぞってこの制度を導入することを検討したと思われます。
当初は限られた学校しか行っていなかったこの制度は、今では日本全国ほとんどの私立大学と、一部の国公立大学までもが導入しています。
「年度内に優秀な学生を確保してしまいたい」
という大学側の思いと、
「一般入試で全落ちしたらメンタルやられてもう絶対立ち直れない・・」
と懸念する受験生側の思いがピッタリ噛み合って、ものすごいスピードで浸透しているように(私には)見えています。
総合型入試のメリット・デメリット
ではこの総合型入試ですが、メリットとデメリットを見てみましょう。
総合型入試のメリット
- 早ければ10月〜11月に合格がもらえる
- 一般入試では偏差値や倍率ともに歯がたたない大学でも、得意な分野で勝負して合格出来る可能性がある
- あちこち受験しなくても済むため、経済的にも身体的にも精神的にも楽
一般受験となると少なくとも10校、平均的には15-20校を受験するのが相場です。しかも、下手したら卒業式までにまだ結果が出ていなかったりもするので、年明けからかなり長い期間に渡って精神も肉体もボロボロになります。
「自分はあまり体力がない方だ」「平和主義者なので、競争社会は苦手だ」「受験料が勿体無い」という考えが強くあるのであれば、総合型入試で決めてしまうのがお勧めです。
総合型入試の内訳は、小論文と面接だけのところもあれば、自分の好きなものを宣伝するプレゼンテーションを行なってください、というような学校もあります。
興味のある大学がたまたま、自分が割と得意な分野の試験を選考科目として入れているようであれば決まりやすいですし、入ってからも自分の特技が活かせる学校であることも判りますので、各学校の総合型入試の情報だけでも集めてみて損はないでしょう。
総合型入試のデメリット
- 併願可能な大学もあるが、専願の方が倍率が低く確実なので、数値上の選択肢は少ない
- 同じ大学でも総合型を導入している学部が限られており、行きたい学部が導入していない場合は一般受験を併用せざるを得ない
- せっかく年内に大学が決まっても、遊んでくれる友達が少ない
一方で総合型入試は大学側も「早めに優秀な学生を確保したい」という意向が大きいため、大学側としては出来れば専願で来てほしいところです。そこで、放っておいても志願者が沢山いる学部や学科は一般入試のみにして、新設された等の理由で一般入試で応募者が少なそうな学部や学科を総合型入試として募集する大学が多いように思います。
したがって、「この大学であればどの学部でもOK」という人や、「特に学びたい学部が決まっていないので自分が決まりやすそうなところであればどこでもOK」といった人にはもってこいでしょう。
三番目のデメリットは贅沢だと言われそうですが、半数程度は条件を満たせなかったり行きたい大学に総合型が導入されていなかったり、といった理由で一般入試に臨むことになりますから、半年ぐらいは遊んでくれる人がいなくて手持ち無沙汰になるであろうことは覚悟しておいてください。
こんな時代に教職(学校教師・塾講師どちらも)に求められるものとは
さて、それでは昨今の大学入試で総合型志向となっているのがわかったところで、本題とも言えるのが「教職はこのトレンドに合わせてどういったスキルを身につけていったら良いのだろうか?」という点です。
一般入試が主だった時代なら、各教科の先生が入試での所謂「点取り」の技術を講義し伝授すれば事足りたはずです。小手先の教科知識と言ってしまうと言葉が悪いかもしれませんが、現実問題として受験に必要な教科の知識は大学に行ってから、あるいはその後の社会人人生においてほとんど使用しないものであることから、「大学に入ってしまって以降は徐々に忘れ去られていく」=「受験でしか通用しない」=「小手先」という風に表現させて頂いた次第です。
ところが、2024年には半数を大幅に超えるであろうと予想されている総合型入試に対して、現在の教職は自分の受験でそれを経験していないのです。
当然、教師や講師は経験しているものや、教え慣れていることを教える方が楽ですし方法論も確立していますから、このトレンドを察知していない教職は残念ながら現在に至ってもまだ教科知識のインプットをひたすら講義形式で行う、あるいは、自作のプリントを配布して資料を見ながら穴埋めさせていく、という方法を取っています。
しかしながら、総合型入試にはこれらの対策は全くと言って良いほど無効です。
数ヶ月後には教え子が総合型入試で、自分という人間をプレゼンテーションし、自己分析や自分の将来像、社会で起こっている事象について1000字程度の論文を書き、総合型入試に挑んで来るのです。
生徒が半年後に自信を持って面接でしゃべり倒し、論文で書き倒してくるためには、何を教えてあげれば良いのでしょうか?
面接の練習?それとも、小論文の構成や文章の書き方のスキル?
どちらも違うと思います。
私は、
「活き活きと輝く自分の将来像にワクワクしている状態を作ってあげること」
これだけに尽きると思っています。
ということは、教職がやらなくてはならないのは、
- 短期的・中期的・長期的な自分の将来像を描かせる
- 自分が進みたい将来の道を仮でも良いので決める手伝いをする
- そのためにはどんな学部で何を学び、どんな経験をするのが有効かをプランニングしてあげる
- 可能なら、その子の性格や能力に最適な道を紹介してあげる
という作業ですね。
まとめ
さて、ここ何年かの大学入試のトレンドを踏まえて、今後教職が担うべき役割について書かせて頂きました。
そう、一言で言ってしまえば、
「総合的な人生設計の支援」
ということです。
これからの教職は、多くの生徒たちが臨む受験のスタイルや時代の風潮に合わせて、この支援の能力を身につけておくことが、ずっと教職として生き残るだけでなく、生徒や保護者からも最も必要としてもらえる存在になれるのだと思います。
そしてそのためにも、自分自身が様々な人生のバリエーションを経験しておくことが、より真実味と深みのあるアドバイスにつながると信じて、今日もあれこれ手をだすベテラン講師なのでした。笑
レジェンドまであとX年・・・
本日もご清読、誠にありがとうございました!
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