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プロ講師が実践する褒め方・叱り方【キャリアコラム#109】

こんにちは!プロ講師のオオクボです。

少し気温も下がってきて講師も受験生も一層気持ちがピリッと引き締まってきていることと思います。

さて、今回は「生徒への褒め方叱り方」のお話です。講師は生徒に教えている以上、どうしても「褒める」他に「叱る」ことが必要になってきます。ではどうやって褒める?叱る?を簡単に書きました。指導の参考にしてください。

目次
褒められ慣れ、叱られ慣れていない子供たち
講師は「叱る」「褒める」必要はあるのか
叱ることは悪ではない
叱るシーン
叱り方のコツ
褒めるシーン
褒め方のコツ
おわりに

 

褒められ慣れ、叱られ慣れていない子供たち

近年メディアや子育て書などでは「褒めれば伸びる」「叱らない子育て」「褒めて育てるのが一番」などの文言が踊り、褒めて育てて自己肯定感を持たせましょうという子育てがトレンドです。

トレンドといってもここ30年位の話になるので講師の中でも子供の頃叱られた経験が少なく、どのように叱ればよいかわからないという相談をしにきた講師もいました。現在教えている生徒たちも褒められて育ち、叱られることに慣れていない生徒がほとんどです。

しかし、塾という場は子育てをする場でなく、受験に向かって勉強をする場です。褒めるだけではなく、叱らなくてはならないシーンにも遭遇するでしょう。

また、その叱り方や褒め方も、子育てとはまた違う要素が必要になってきます。

子育てに正解がないように、教育の現場でも正解はありませんが、生徒たちがどのように育てられたかを念頭において上手に褒めたり叱ったりしましょう。

 

講師は「叱る」「褒める」必要はあるのか

さて、そもそも講師は叱ったり褒めたりする必要はあるのでしょうか。

「褒める」に関しては容易に必要があることがわかります。生徒は難解な問題にチャレンジするのですからそれが出来たら褒めてあげましょう。当然良い効果があるでしょう。

では、叱ることはどうでしょうか。こちらに関しては賛否両論あると思いますが、教室内の生徒管理は講師に任されていますので時と場合によっては叱ることも必要になってくるでしょう。ただし叱る時は褒める時の何倍も気を遣って生徒たちに思いを伝えてください。

 

叱ることは悪ではない

ここで講師が念頭に置いておきたいこととして、「叱ることは悪では無い」ということです。

「叱る」というと声を荒げたり、怒鳴ったり黒板を叩いたりと少々暴力的なイメージが浮かびますが、本日ここで書いている「叱る」とは生徒と先生で協力して目標に向かって授業を乗り越えていくために対話をしていくことだと考えてください。講師が叱ることはよくないことだと考えてしまうと生徒にそれは伝わります。何か注意を受けた時など些細なことでも「悪いことをされた」と受け取ってしまうので気をつけましょう。

 

叱るシーン

では、具体的にどのようなシーンで必要になってくるかを考えてみましょう。

他人を心理的、物理的に傷つけた時

これは、しっかりと「悪いことをした」という認識を生徒に持たせましょう。

他人を心理的に傷つけた時は、傷ついている瞬間が見えにくく、なかなか叱り方が難しい部類になります。本人たちが自覚してなくとも「いじめ」に発展している可能性もあるので自分の手で抱えきれないと判断した時は周りの先生に協力してもらいましょう。

最近では叩く、蹴るなど物理的な暴力は幼いうちにダメだと教えられていて、自分で制御することが出来る子がほとんどです。

なので、こういったことは未遂で終わることの方が多くありますが、学校より生徒の距離が近い塾では思わぬ生徒同士でトラブルが起きます。特に低学年はまだまだ力加減がわからない子も多いので、教室を生徒だけにする時間をなるべく少なくして、生徒に目配り出来るようにしましょう。また、なるべく周囲の先生と情報を共有し、トラブルが起きた生徒双方への家庭への報告も必ず行いましょう。

叱るタイミングとしては「傷ついていることが発覚した時点」になります。

時間が経てば経つほどこじれますのでちょっと様子がおかしいと思った生徒には積極的に声をかけてあげましょう。

普段あまり関わらない生徒たちが同じ目的で集まるのも中学受験塾の特徴です。いいところでもありますが、想像外のことも起きるのでトラブルが起きないように生徒管理が必要です。


ルールを守らなかったとき

塾でのルールを守らなかった時は少しの注意でよいと思いますが、試験を受ける際のルールは徹底させておきたいところです。

試験が始まったら終わるまでしゃべらない、勝手に問題用紙を開けない、後ろを向かない等、大人にとって当たり前のことですが、意外と出来ていないことが多いのでしっかりとやってはならないことは伝えましょう。

外部での試験では注意される前に答案無効や受験中止となったりする場合もあるので、たとえ塾内の試験であっても、本番の試験と同じく監督する側も緊張感を持って何かあれば叱ることが大切です。

 

勉強の意識が低いとき

叱る…とはまた少し違いそうですが、クラス全体で授業前にテスト勉強もせずだらだらしていたり、授業中集中せずおしゃべりをしていたら必ず全体に向かって声をかけましょう。

中学受験はだらだらしていて受かるところではありません。また、意識が高く成績的にも伸びしろのあるような生徒から、そういったクラスの雰囲気が嫌でやめていってしまいます。

勉強の邪魔をするほど授業態度が悪ければ、場合によっては保護者に連絡することも必要になるでしょう。ただ、そこまでになる前に生徒に対して出来る限りの声がけをするのも講師の役割です。

 

叱り方のコツ

1.起きた事実のみについて注意する
2.何が悪いのかを理解させる
3.今後どうすればよいかも伝える

まずとても大事なのは「起きた事実のみについて注意する」です。

例えばAさんがふざけてBさんのプリントを破ってしまったとします。この際、普段の二人の関係性についても気になるところですが、まずはこの「プリントを破いた」ということのみを注意しましょう。

そして「プリント=Bさんの勉強で使う大事なものを破いてしまったことはダメ(Bさんが勉強出来なくなる)」を伝え、「塾は勉強するところでふざけるところではないし、こういったことが起きると人の勉強の邪魔になるからやめるように」ということを話しましょう。

そして、この場合は、必ずその場でAさんからBさんに謝罪をさせましょう。背景に二人の関係性や周囲の声もあると思いますが、まずは何かが起きたらそのことを一旦完結させてしまうことが先に進む近道になります。

そして、叱るときには必ず何を話すか頭の中で組み立てて冷静に話しましょう。

声を荒げる必要はありません。講師が感情的になると生徒は「怒られた」ことだけが残り、肝心の内容が頭に入ってきません。そして、叱った後は「この話は終わり」など区切りをつけて授業の時間と分けましょう。

最近ではHSC(Highly Sensitive Child=非常に敏感な子)も小学生では数多く存在します。(むしろそのために中学受験を考えているご家庭が多い)

この子たちは「他人が怒られていても自分が怒られているように感じる」や、「男性の大きな声に恐怖を感じる」などという症状もあるのでそういったことも少しだけ頭に入れて常に「静かに、冷静に、理解をさせる」を意識することがポイントです。

 

褒めるシーン

褒めるシーンはいくらでも思いつきそうですね。他人に褒められることは大人になっても嬉しいものです。褒めることは「あなたを見ているよ」というサインでもあります。いいな、と思った時は惜しみなく褒めてあげてください。あえて少しだけ褒めるシーンを挙げておきます。

自分が頑張ってきた成果が出たとき

中学受験では一筋縄ではいかない問題が数多く存在します。難関校の問題なんかは大人でも解くのが難しいものばかりですよね。

たとえ解答にたどり着かなかったとしても「自分で考え、解いてみた」という姿勢は一番大事です。自分の持っている知識を使って何とかしようとする姿勢はまず、褒めてあげてください。もちろん、自力で解答にたどり着いたり、とてもいい文章が書けたときなども褒めましょう。

 

他人に気づかいが出来たとき

勉強面に目が行きがちですが、他人のことを気遣えることもとても大事です。

もちろん行き過ぎはよくありませんが、集団塾において生徒同士でも講師にでも他人に気遣っている姿(人のためにドアを開けたり何か落とした時に拾ったり等)を見かけたらそれは大いに褒めてほしいと思います。

 

褒めたい!と思ったとき

これは講師自身が「褒めたい!」と思った時です。生徒の良いところを見つけてあげてください。

 

褒め方のコツ

こちらは叱り方ほど注意することはないのですが、いくつか念頭に置いておくと褒めやすいのでおすすめです。


1.何に対して褒めているか
2.それに対して講師はどう思ったか
3.継続を促す

講師側は生徒に対して親しみを持っているつもりでも生徒からすると「ちょっと知っている大人にいきなり何だか褒められる」状況になることもあります。喜ぶ前に警戒心が芽生えてしまう可能性もありますので、感情移入しつつもこれらはキチンと伝えてあげると生徒も素直に喜んでくれるのではないでしょうか。

近所に住んでいる大人と子供、ではなくあくまで講師と生徒の関係を壊さない程度に褒めましょう。

 

おわりに

褒める・叱るはお互いの関係性を一歩進めるコミュニケーションです。

全ては最初に信頼関係があって、その上で褒めたり叱ったりすることがより関係性を深めることになります。まずは生徒と対話をして、良い関係性を日頃から作るようにしていきましょう。

そして、どうしても生徒を叱ることに焦点を当てがちですがいいところもたくさんあるはずなので、積極的にそれを見つけて褒めてあげるようにしてくださいね。

 

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大久保 礼子

記事執筆者:大久保 礼子

県立高校普通科を卒業後、都内の音楽大学の音楽学部音楽学科器楽(ヴァイオリン)専攻卒業。演奏活動や音楽教室にて楽器を指導する傍ら、進学塾にて中学受験の理系科目を非常勤講師として担当する。
現在も二足のわらじを履き続け、右脳と左脳をフル回転する日々を送っている。
座右の銘は「健全な身体に健全な偏差値は宿る」

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