受験英語の神様、伊藤和夫先生に教わる塾講師が持つべき心構え!教え過ぎない授業!?
伊藤和夫先生のこと,ご存じですか?
伊藤和夫先生は1966年から約30年間,駿台予備校で英語の講義をされていた著名な先生です。参考書は1000万冊売れ,教え子は100万人と言われる受験英語を作り上げた神様です。いま,塾や予備校の教壇に立っていらっしゃる先生の中にも,伊藤和夫先生の著書で勉強された方は多いのではないでしょうか。
伊藤和夫先生から教わった塾講師の心構え
まだ塾講師として駆け出しだったころ,伊藤和夫先生から塾講師とはいかなるものか問答を受けたことがあります。深い言葉をたくさんいただき,とても勉強になりました。今でも教壇にあがるたびに師の教えを思い返しています。
塾(予備校)講師は研究者でなければならない。テキストの隅から隅まで徹底的に調べ(予習をし),どんなささいなことも見逃してはいけない。妥協は許されない。そのうえで,授業では「何を教えるか」ではなく「何を教えないか」を判断しなければならない。知り尽くしているが教えない,これが授業の価値を生む。
細かい言葉は若干の違いがあるかもしれませんが,このような教えでした。
教え過ぎない授業のススメ
伊藤先生の言葉の解釈は様々ありますが,「教え過ぎない授業」って本当に大切です。特に経験の浅い先生は生徒の現状や目標を顧みないで何でもかんでも教えようとしがちです。立場上,集団授業や個別指導をしている様々な先生の授業を見て歩きますが,そんなことを覚えさせてどうするの?と驚く場面に出くわすことが多いです。
たとえば,「”比較級 than any other 単数名詞”って何で単数名詞じゃなきゃいけないのか,ちゃんと理解できなければだめだからね!!そもそも比較の概念とは・・・ラテン語の場合は・・・」。悪いとまではいいませんが,それって部活を頑張ってる中学2年生に目くじら立ててまで30分も使って教えなければいけないことなのでしょうか。
講師が勉強をして深い知識をもっていることは大切なことです。講師歴2年目から予習をほとんどしない先生もいますが,それはそれで講師としての成長が止まってしまい残念だと思います。”講師はたくさん勉強をして(授業準備をして)生徒の何倍もの知識を身に着ける,それでいて授業では知っていることをほとんど語らない” これが理想なのかもしれません。生徒の様子を見て生徒の望む切り口(知識)を提供する,そんな授業ができたらいいですね。
一流の講演家は,100の講演準備をしても,オーディエンスの様子を見て5~10の話しかしないといいます。だからこそ魅力的な講演会が実現するのだと。塾の授業もこれに通じるものがありますね。
塾の授業の理想とは、法定速度で走るポルシェです。状況に応じてガオーっとすごい加速を見せますよ。