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褒めて伸びる子・怒って伸びる子

2021/12/17

生徒との接し方(経験談)

多くの生徒を受け持っている講師ほど、生徒一人一人に対する接し方は課題となっていると思います。今回は、「褒める・怒る」の観点から、それぞれの生徒にどのような指導をするべきなのかのヒントをお伝え致します。

①学年別で考える

指導対象が小学生、中学生、高校生と様々な学年になるほど、それぞれの生徒たちに対する接し方、指導方法は変わっていくものです。褒めて育てるか怒って育てるか、小学生・中学生・高校生別に見ていきます。

小学生【原点に目を向けて】

小学生は褒めて伸びる子が多い何よりもまず、塾講師が小学生に教えなければならないのは勉強の楽しさです。

それが欠けると、「勉強=辛い」という方程式が子供たちの中で出来上がってしまい、中学生になってからも、ましてや将来的にも勉強の楽しさが分からないという結果になります。しかし、塾講師たちが頭ごなしに「勉強=楽しい」と言ったところで彼らには伝わりません。

まずは、塾の時間を楽しみにしてもらうことです。

「塾=楽しい」という考え方が出来れば、いつしか「勉強=楽しい」と思ってもらえるようになります。

その為にはまず、小学生にはいかにして褒めるかが大切になります。褒められて嫌な気分になる人は大抵いません。褒めることが見つからないと思う方は、もう一度よく生徒の事を見てあげましょう。勉強が出来るから褒める訳ではありません。例えば計算が得意でない子に対しては、前回より計算が1分早くなったこと、体調不良で休みがちだった子には1ヶ月休まず塾に来たこと、などなんでも構いません。小学校低学年の子に関しては、しっかり鉛筆を削ってから塾に来たことさえ褒めてあげると喜びます。私たちにとってはそれが当たり前のことですが、その当たり前の事に目を向けて褒めてみてあげて下さい。

中学生【中学生は感受性豊か】
〜褒める、怒るをうまく使い分けて〜

小学生よりは、少しだけ生意気な部分が出てきている年頃ですね。生意気が決して悪い意味ではありません。むしろ、それが大人になってきている証拠です。

例えば、「もう小学生の時のように先生のこと信用しない」なんて事を笑いながら言っている中学生に出会ったことがあります。それは、先生は絶対と思っている小学生よりは成長した証です。でも、中学生は自分たちは成長していると頭では思っていますが、まだまだ子供らしい部分がたくさんありますこのような発言も、少し見方を変えれば可愛らしいと私は思います。

少し話がそれましたが、では中学生には褒めるべきなのか怒るべきなのかどちらでしょうか。思春期の中で一番感受性が豊かな中学生には、私たちがその両方をしっかり使い分けてあげる必要があります。もちろん、褒めて嫌な気分になる人はいませんが、中学生は褒めてばっかりいても伸びる訳ではありません。むしろ、褒める事しかせず怒らない先生には、中学生側が「あの先生なら宿題やらなくても怒らないから大丈夫」と思ってしまいます。それでは、学力が伸びる訳がありません。基本は小学生と同じ、勉強が楽しいと思ってもらえるように楽しく優しい先生でいる方が生徒たちの実力が発揮出来るのですが、可愛らしく生意気になった中学生にはそれだけでは足りません。中学生に対しては、ふざけすぎたらガツンと一発落ちるよ、という怖い一面も持ち合わせる必要があります。

無駄に怒る必要はありませんが、何をしても優しい先生という立場でいては、中学生には通用しません。

高校生【大人の仲間入り】

~怒るなら諭すように~〜怒るなら諭すように〜

高校生には怒るべきか褒めるべきか、どちらでしょうか。高校生にもなれば、自分たちで善悪の区別は充分についている年頃です。もし高校生で悪いことをしている人がいたら、それは善悪の区別がつかないからではなく、わざとその悪の方を選んで行動している為でしょう。その心理については、だいぶ話が逸れてしまうのでここでは触れません。高校生には、小中学生のように褒めてばかりいても、あまり意味のない年頃です。

確かに、成績が上がった、等の物理的な数字で見た時にはもちろん褒める事が大切ですが、大人の仲間入りをしている高校生たちには、一個人として対等に接してあげる必要があります

それでもやはり、指導をする立場の私たちには、例えば真面目に授業を受けない生徒たちを無視することは出来ません。しかし、自分で善悪の区別がついている人たちに、上から怒鳴るように叱っても効果は全くありません。むしろ、そのようなことをすれば逆に反抗してしまいます。

ですので、高校生には怒鳴るのではなく、諭すように叱るのです。

生徒たち自身に自分の将来を描いてもらい、それに近づく為には今、何をするべきか。それを想像してもらうことで、生徒たち本人の勉強に対する意識も少しは変わると思います。

②生徒の個性から考える

学年別の他に、生徒たちの性格を考えて指導法を変えることも大切です。区別をするのはとても難しいことですが、少しは皆様の今後の指導に役立てば、と思います。

男女別は差別?

男女別で接し方を変えることは、「差別」と考えられてしまうかもしれませんが、教育をしていく上で、やはり男女によって違いがあるのは言うまでもありません。しかし、男の子の方がどちらかというと多少きついことを言っても動じない、女の子には優しく、という考え方は一昔前の話です。今の時代はそこまで割り切ることは出来ません。男の子でもすごく繊細な子はいますし、女の子でも打たれ強い子はたくさんいます。指導する側は、男女の違いだけではなく、そこに性格も交えて、どのように接していくのかを判断する必要があります。

運動部と文化部の子の違い

さらに、生徒達の部活動もよく知っておく必要があります。おそらく、運動部の子のほうが怒られることに慣れている事は多いと思います。部活動にもよりますが、それは偏見でもなんでもありません。しかし、ここで勘違いしてはいけないのが、彼らはただ、部活の顧問の先生に怒られる機会はあるにせよ、決してその怒られる事に慣れている訳ではありません。ましてや怒られる事を好んでいる訳でもありません。

逆に言えば、怒られてばかりいることで、自分に自信が持てなくなってしまっている子も少なくないのではないでしょうか。そのような子に対してはむしろ、「褒めてあげる場所」を提供することが大切です。そうすることによって、生徒達は自分の中でうまくバランスがとれるようになり、いわゆる文武両道が生まれてくるのではないでしょうか。

逆に、部活動で怒られる機会の少ない生徒達に、怒る場をわざわざ作る必要もありません。怒られなくても成長する子は多くいますので、無駄に怒らないようにしましょう。生徒達が萎縮してしまったら元も子もありません。大切なのは、生徒の個性をいかしながら実力を伸ばすことです。

勉強を教えるだけではない、講師の仕事

もちろん、宿題をやってこない・授業中寝ている等の場合にはしっかり怒る必要があります。では、なぜ宿題をやってこないと私たちは怒るのでしょうか。


   宿題をしない

     

   勉強が定着しない

     

   自分の目標の学校にいけない

     

   将来の夢が遠ざかって行く


講師側はこの構図を理解していない人はいないと思います。しかし、生徒たちの中には


   めんどくさい

     

   宿題をしない


なんて単純な構図になっている人たちもいるのではないでしょうか。

将来まで見据えたこの道筋を生徒たちに理解してもらわない限り、いくら怒っても生徒たちの心には響きません。そこまで生徒たちに伝えてみてあげてください。私たちが褒めることによって、喜ばない生徒はいないはずです。

しかし、理由もなく怒って生徒たちを困らせるように、理由なく褒めても生徒たちには響きません。

心から褒められているのか、口先だけなのか、生徒たちにはそれを感じ取る能力があります。

まとめ

塾講師は学校の先生とは異なり、生徒数の観点から考えれば、はるかに学校の先生より一人一人に親身になって対応することが出来るはずです。そうやって生徒との関係を築き上げればこそ、生徒たちは塾に来るのが楽しいと思えるようになります。塾に来るのが楽しいと思えることが出来れば、それは勉強する意欲が生まれてきたという証拠です。そのような環境を生徒たちに作ってあげることも、塾講師としてとても大切な仕事だと思います。

生徒たちは一人一人異なった個性の持ち主です。怒って伸ばすのか、褒めて伸ばすのかをよく見極め、生徒たちの個性を大切にしながら指導していきましょう。

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