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【大学受験】私立大学受験の生徒を担当する塾講師へ!志望校の過去問は指導でこう使え!

2021/12/17

はじめに【過去問の使い方~私立大学編~】 

個別指導塾には多くの生徒が通ってきます。そのため4年間も勤務していると様々な学年の生徒に出会いました。そんな中で一番指導に苦労するのが大学受験生でした。

その中でも一番扱いに困るのが過去問でした。事実多くの生徒から過去問について質問を受けました。いつ解けばいいのか、どのように使用すればいいのか、点数が低すぎてショックで落ち込んでいるなど実に様々なものでした。初めのころは私もそのような質問にどう答えようかわからずに不安でした。私の方こそほかの誰かに聞きたいと思いました笑。

そんな経験を多くの講師の方にしてほしくないという思いで今この記事を書いています。4年間の指導で培ったものをこちらに載せたいと思います。私は4年間文系の講師として指導してきましたのでここでは文系の、特に私立大学の過去問題を念頭に置いて記事を書いています。もしかしたら、アレンジを加えて理系や国立大にも使用できるかもしれませんがあしからず。また、あくまで自身の経験談として書いていますので異論は多々あると思います。なので一種の過去問題使用論として過去問題使用の再考に少しでも貢献できればうれしいです。

1.本格的な解きはじめは10月くらいから。

基本的に過去問題の解きはじめは10月の半ばくらいからがよいのではないかと思います。進学校では3年生になると解き始めるという学校もあるようです。私の生徒の多くは進学校ではなく一般の公立高校や中堅私立高校の生徒がほとんどであったので、進学校の生徒の扱いはここでは触れません。あくまで、基礎から中堅の学力の生徒専用と考えてください。

 本格的な解きはじめとは赤本を使用して時間を計り本番になるべく近い状態で解くことをここでは言います。この時期を選ぶ理由としては、4月から本格的に受験を始める高校3年生は4~夏休みの期間で基礎を固めることがほとんどだからです。ある程度基礎を固めなければ、問題を解くことも難しいですが、自分で解説を読んだり答えを見たときに正答に対して納得できなかったり、そもそも解説を読んでも意味が分からずただ間違えただけで終わらせてしまう可能性が高いからです。

また、日本史などでは1学期ですべての範囲が終わっていない可能性もあるのでそもそも知らない状態で解答するということもあります。現状の実力を知るという名目でセンター試験の過去問題を解くなどはいいかもしれませんが、そのような理由がなくやみくもに解くのは基礎ができてからがよいと思います。

もし、10月になっていても過去問を解く学力になっていないのであれば、この限りではありません。本来は10月までに基礎を終わらせて取り組むのが望ましいですがそうでない生徒さんも多数います。その場合は問題集を使用してしっかりと基礎を固めさせましょう。(過去問題は解説のが薄いことがほとんどなため)そして、最悪はセンター試験後から解き始めてもいいかもしれません。10月からでもしっかり基礎を固めたならば、センター試験後から集中して過去問研究に取り組んでもぎりぎり間に合います。しかしながら、1日2題くらいは解くことになると思いますので、生徒にはしっかりと覚悟を決めさせてください。

2.過去問題の結果で一喜させても一憂させない

生徒が過去問を解いていくと点数が悪い年があると思います。そんな時に生徒は大いに落ち込みます。それが自分のいきたい大学であればきっととても落ち込むでしょう。しかし、その問題は今年の入試に出題されるのでしょうか?同じ問題がそっくりそのままその大学の今年の入試に出されることはありません。過去問題は傾向を知る上では便利ですが予想問題集ではないのです。

つまり第一志望大学の過去問題で悪い点数をとっても生徒はそんなに落ち込む必要はありません。落ち込ませないでください。決して同じ問題は出ないのですから。生徒を落ち込ませている暇はありません、落ち込んだまま授業を行ってもいい結果は生まれません。 しかも、受験生には落ち込んでふさがっている暇はありませんから。ただし、高得点を取った時は素直に喜ばせてあげてください。しかし必要以上に喜ばせて、もう余裕、大丈夫と思わせないようにしっかりと講師は生徒の感情のコントロールをしてください。

また、生徒を一喜させて一憂させないために一つ覚えていてほしいことがあります。それは合格最低点です。全校ではありませんが、いくつかの大学の過去問の最初のほうにはその年の合格最低点が載っています。その最低点を必ず確認してください。私が受験生だったころにこんなことがありました。


ある大学の英語の過去問題を解いていました。11月くらいです。その大学は模擬試験では常にA判定をとっていた大学で滑り止め候補のトップでした。ただ、一度くらい過去問題を解こうと思って初めて解いてみたところ、英語の正答数が約40%でした。いくら英語が苦手とはいえこの低い正答率に私は愕然としました。滑り止めがこれでは大学に行けないとまで思い落ち込んでいました。ただ、その時偶然にその年の合格最低点を調べたところ一教科平均50点取れば合格できていたことに気づきました。ちなみに得意の社会と国語は正答率70%オーバーでしたので間違いなく合格できていました。むしろ苦手の英語で善戦できたという感想に変わりました。またこの大学の問題は受験者の学力よりも難しく作っているということが理解できました。


このようなことを経験して以来、自分が講師になった際にも生徒には載っているならば必ずチェックするようにと指導しています。なので講師の皆さんも生徒の点数のみを見るのではなく、合格最低点を基準に考えてください。

3.過去問を解くことができるレベルならどんどんチャレンジする。

 1でも述べたように順調にいっていれば10月半ばくらいから過去問題をチャレンジできるようになってきます。そのレベルに達しているならばどんどん過去問題を解くべきです。まずは、自分が必ず受ける大学の過去問題は必ず解くべきです。本当に行きたい大学やこの早い段階から受けることが確実な大学は5年間分くらい解くべきでしょう。次に受ける可能性がある大学です。これも少なくとも3年分は解いて傾向を頭に入れておきたいところです。

自分が受けるべき大学、受ける可能性のある大学の過去問題をだいたい解けたら、自分の現在の実力に見合った大学の過去問題も解いてみましょう。傾向などは違っても難易度が同じくらいのことが多いですし、生の入試問題に多く触れるということは今後必ず本番で役に立ちます。また、そこで自分と相性の良い大学を発見することができれば、イメージやなんとなくではなく理論的な志望校を加えることができます。

4.過去問題はあくまで研究用

過去問題は研究材料です。決して問題集ではありません。(3で述べた使用方法で使用している場合は除く)では一体どのように研究するように生徒に指導すればよいのでしょうか。研究方法をここに記していきたいと思います。

ここでは英語の過去問題を例にどのように研究していけばいいかを解説していきます。まずは、研究用の小さなノートを準備してください。このノートは大きくてもいいですが、実際の試験会場などで読むこともあるので小さいほうが持ち運びやすくて便利だと思います。次にいつも通りに過去問題を解き、丸付けをして解説をしっかり読みましょう。そのあとにこのノートの出番です。以下にこのノートに記すべき項目を挙げます。

  • 大学名 学部 年度
  • 試験概要
  • 1からの具体的な内容
  • 感想
  • 試験時間 解答時間(その時にかかった時間)

以上の項目です。では実際に例を書いてみたいと思います。

  • 塾ステーション大学 教育学部 2013年度 英語
  • 60分 59分
  • 大問1~4の4題
  • 大問1 多義語問題5問 同じスペルで意味の違う単語を書く。大問2 文法問題15題 センター試験とほぼ同じ。ただし、センター試験よりも文法事項を問う問題が多い 大問3 長文(500文字)ネルソンマンデラについて 問1~6 すべて内容一致問題(シャッフル型) 英問英答 大問4 長文(450文字)大学生活についての会話問題 問1~6 すべて内容一致問題(プチシャッフル型)
  • 多義語の暗記が少なかったし、書くことに慣れていなかったので1が非常に難しかった。しかし、それ以外はうまくいけたし、大問4は会話だったので簡単に解くことができた。時間はぎりぎり。

こんな感じでノートに書いていきます。このように研究をして情報を集めていくと様々な大学の傾向をつかむことができますし、自分の苦手分野もわかります。また、本番前に読み返すことであわてることなく試験し臨むことができるのです。

またここで【シャッフル型】【プチシャッフル型】というのを書きました。これはその問題の答えの根拠が上から順になっているかということです。たとえば、問1の問題の答えの根拠が1段落問2の根拠が2段落…問8が8段落であれば通常の問題です。そのまま解けばよいでしょう。

しかし、中には次のような問題もあります。問1が5段落、問2が3段落、問3が10段落、問4が8段落。順番通りではありませんがそれほど離れているというわけでもないです。こういうのをプチシャッフル型と呼んでいます。そして、問1が10段落問2が1段落問3が5段落…このように根拠がとびとびのものをシャッフル型と呼びます。これを書いておくと、その大学の長文の読み方がわかるので本番前に読み返せばスムーズに解答することができます。

このノートを生徒に作らせて講師は一緒に確認してあげてください。特に初めのうちはしっかりと見てあげないと間違った使い方をしてしまったり適当に書いてしまい、本番で役立たない可能性もあります。それでは時間の無駄になってしまいますので慣れるまでしっかりと見てあげてください。

終わりに

いかがだったでしょうか?教科を教えることだけが講師の仕事ではありません。このような情報を提供できるということも講師の立派な仕事の一つではないでしょうか。過去問使用法に関して少しでも参考になってくれたのならば幸いです。

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