【塾講師必見】進路指導時に使えるシミュレーション!国公立大学の展望図!<後半>
国公立大学合格へのシミュレーション!<後半>
前回の記事では、国公立大学の受験における1年間のうち4月~7月までをシミュレーションしてみました。 <後半>である本稿では8月の試験からいよいよ受験本番までをシミュレーションしてみたいと思います。
8月:夏期講習折り返し+志望大学模試
8月、夏期講習も折り返し地点。7月にペースが乱れることはあったものの何とか夏休み前計画していた勉強の目標は達成できそうだ。この夏を通して単語、文法などの基礎的なことは何度も繰り返し、基礎、そして標準問題集もクリアした。夏期講習の授業も同じ授業を再現することだって今ならできそうなくらい復習した。
夏休み最後のイベント、大手予備校の開催するT大模試。これまでの模試とは違う、初めての本番レベル模試。会場は本番と同じ志望大学の講義室。この夏の成果をぶつけてやる!
<試験後>
結果は惨敗。簡単に入れる大学ではないとわかっていても、ここまで歯がたたないものなのだろうか?悔しさのあまり唇をかみしめ、涙が溢れる。でもまだ終わりじゃない。残された時間で本番まで出来ることをやっていくしかない。ここからが本当の勝負だ。8月も終わりだというのにまだまだ高い気温に包まれた大学構内の噴水の脇にあるベンチで感じる夏の終わりの蝉しぐれ・・・
8月に入り、いよいよ夏期講習も大詰めです。8月になると、暑さの疲れからか生徒はもちろん講師も夏バテしてしまったりすることがあります。無理をしすぎず、冷たいものを飲み過ぎない、クーラーで部屋を冷やし過ぎないなどして体調を整えるようにしましょう。 本番レベル模試が8月の終わりに各予備校で開催されます。夏休みにやってきた成果をいざ!と思うところですが、もちろんまだまだ歯がたたない生徒がほとんどです。浪人生がいるのもありますし、まだまだ発展途上の段階にいる現役生はこの段階で高得点が取れなくても失望する必要は全くありません。むしろ、プレ本番を経験出来たと捉えて、模試の復習を徹底させましょう。大体解説を見てもわからないことが多いみたいで、この時期模試を受けた生徒からよく質問がきます。わかりやすく解説してあげると同時に今後の勉強へのアドバイスをしてあげましょう。
9月:模試月間
夏休みが終わってしまった。夏休み最後に味わった屈辱を噛み締めながら、机にかじりつくように勉強する毎日。まだ歯が立たなかったけれど、逆に自分に何が足りないかははっきりした。9月は毎週のように模擬試験がある。この模試を通して基礎に取りこぼしがないか確認しつつ、問題集のレベルを1つ、2つレベルアップしてみよう。
夏休みが終わった9月。「夏休み、もっと出来たのでは」という気持ちを持っている生徒がほとんどです。本当にサボっていない限りそうした気持ちを持つのがむしろ普通なので、やれるだけのことをやった生徒は褒めてあげると同時にここから成績が伸びるチャンスであることを教えてあげましょう。現役生が浪人生を追い越していくのはだいたい夏休みが終わった9月からです。生徒は模試で良い成果が出て嬉しいと思いますが、そういった時こそ気持ちを引き締めてこれまでと同じように何が出来なかったのか、しっかり自己分析させましょう。
10月:これまでの勉強の最終確認
10月に入り、9月に受けた模試が続々と帰ってきた。これまで、全く動かなかった「E判定」についに変化が現れた。これまで頑張ってきた成果がようやく目に見えるようになってきて嬉しい。とはいえ、まだまだ合格可能性は40%がほとんどで良くて60%。ここからさらにレベルアップを図らなければ・・・
帰り道にある大型書店を覗いてみると、赤本がズラリと並んでいる。来年度のためのものがついに出版された。どの色の本を買おうかな?ついに模試の成績に変化が現れ始めました。この時期から成績が伸びてくる生徒が多いと当然まだ数字に現れていない生徒はより焦ります。そういう生徒には、合格可能性判定ではなく、得点そのものが伸びていることを褒めてあげましょう。ちゃんと勉強してきていれば、得点にしっかり現れているはずです。ここからスパートはかけなければなりませんが、まだ絶望的な時期ではありません。こうした生徒には基礎の抜け落としを中心に今後の勉強計画を具体的に立ててあげるとよいでしょう。
11月:過去問への挑戦と時間配分
11月、秋も深まりだいぶ寒くなってきた。風邪に気をつけ、インフルエンザの予防接種も受けて体調管理はバッチリだ。使い込んできた問題集やノートを眺めてみる。もう、そろそろ過去問に挑戦する下地はできているだろうか?8月終わりの本番レベル模試の時がフラッシュバックされる。もう、あの時のような気持ちは味わいたくない。少しの期待と多くの不安を抱えつつ赤本をめくる・・・
11月になり、寒さが厳しくなってくるといよいよセンター試験の足音を感じてきます。12月に入るとセンター試験対策がメインになってくるので、年内に目を通しておくためにも、11月のうちに1度赤本で過去問を解かせてみましょう。過去問を解く時期に正解はありませんが、私は出来る時に解いてしまって良いと思います。講師の皆さんも経験があるかもしれませんが、過去問を一度解いて、丸付けをしてから復習しておいてもまたしばらくして解いてみると満点を取れなかったりします。すると自分の苦手な部分を抽出できるので赤本はセンター終了後まで寝かせずに、解くことで傾向を探るようにさせましょう。
12月:センター試験対策
いよいよ12月。気がつけば街は完全にクリスマス仕様。去年はクラスの友達と鍋パーティをしたっけか。あれから1年、センター試験までもうあと1月くらい。こんなにたくさん勉強をしたことがこれまでの人生であっただろうか?3月になってこの一年を明るく振り返られるよう今年に悔いは残さない。もうひと踏ん張りしよう!今月はセンター試験対策。難問奇問はないが、しっかりとした戦略を練らなければ高得点をたたき出すことは難しい。また、センター試験科目の基礎知識で取りこぼしがないか確認だ。
12月はセンター試験対策に多くの時間を費やすことになります。特に国公立大学を受験するためにはどの科目でも安定した高得点を出さなければなりません。今回の記事では詳細は割愛しますが、例えばセンター英語では長文等に独特の解き方がありますよね。そうした対策を練るのもこの時期です。2次試験の対策も気になるところですが、センター試験対策はやってやりすぎということはありません。2次対策:センター対策は多くても3:7くらいにして、センター試験への意識を高めさせましょう。 また、12月は街がクリスマス一色になり、禁欲的に勉強してきた学生でも気が散りやすくなります。そのような時には、シンプルな勉強である単語の確認などで集中力をキープさせましょう。
1月:センター試験本番・2次対策
温かい部屋着を着ながら単語の勉強。いよいよ年が明けた。センター試験本番まであとわずか2週間弱。ついにここまでやってきた。今から新しい事はする必要はないし、そんな時間もない。これまでやってきたことを信じて出来たことを本番でも出しきれるように勉強していこう。
朝は6時に起きて本番の試験開始時間にあわせた教科を勉強し、身体にセンター試験の時間をなじませよう。
<試験当日>
忘れ物がないかは確認した。よし、いよいよ本番だ!
年が明けるとセンター試験までは残りわずか。あまりの時間のなさにあわててしまう生徒もいます。地に足つけて残り時間でやれることをしっかりやらせるようにしましょう。本文でも書きましたが、センター試験に向けてとにかく朝型の生活を作らせましょう。センター試験の各科目の時間通りに科目を解いていくのも良いかもしれません。こうすることで当日も試験までの2週間と同じリズムで試験を受けられるため、心にゆとりがもつことができるでしょう。センター試験に向けて受験票、鉛筆の濃さなど前日までに全て確認し、試験本番ではマークミスに注意させ、悔いのない2日間を送るよう指導します。
2月:2次試験へ向けた最後のラストスパート
センター試験自己採点をしたところ得点率は89%、足切りは免れた。2次試験に向けて狙いは定まった。ここが最後の踏ん張りどころ。今なら8月は歯が立たなかった本番レベル模試でもいい勝負が出来るだろう。私立大は3校にしぼり、残りは全て2次試験へ力を注ぐ。もう新しい参考書には手を出さずこれまで解いてきた問題集や過去問の総復習をしながら本番に備えていこう。
<試験本番>
いよいよ、本番だ。4月から全てはこのためにやってきた。あの時自分には高すぎる壁だと思っていた大学が今、もう少しで届く位置にいる。もう少しがもう少しのまま終わるか、もう少しが合格で終わるかはこの2次試験次第。不思議と気持ちは落ち着いている。今日まで勉強してきた参考書やノートを写真に撮る。この積み重ねこそが本当のお守りだ。よし、行ってこよう!
センター試験が終わり、いよいよ本番まであと約1ヶ月です。この時期はとにかくやってきたことを確認するように過去問、模試、問題集を解く練習を薦めましょう。この時に大事なのは、必ず”新しい問題”も解かせることです。本番は全て初めて出会う問題なので解いた問題だけではなく、新しい問題にも挑戦していくことが重要なのです。 第2志望以下の私立大は多く入れすぎても3つぐらいが妥当でしょう。あまり入れすぎると第1志望の試験対策時間がなくなってしまうからです。ここも、講師が適当なバランスを見つけ、アドバイスしてあげましょう。
3月:受験終了
いよいよ、待ちに待った合格発表日・・・インターネットではなく、大学掲示板を確認しに行こう。いよいよ、合格発表時間天を仰ぎ、神様にお願いして1歩1歩掲示板に近づく・・・・
サクラサク!間に合ってよかった!春からここの大学生だ!涙
まとめ
いかがでしたでしょうか?冒頭でも書きましたが近年は国公立大学志望者が増え、競争は今後も激しいことでしょう。しかし、適切な対策と不断の努力があれば決して届かない壁ではありません。あくまで1事例ですが、新高3生に対して1年がはじまる前にしっかりとシミュレーションをさせ備えさせてあげてください。
高3生がどのような1年を送るか、自身の経験もふまえながら読んでくださった読者の方もいるかもしれません。2編にわたる長作になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました!