【転職】②塾講師って、生活できるの!?【Wワーク】
採用試験対策、後半戦です!
①で、採用試験対策の第一歩は、まずは自分の指導する科目の公立高校の入試問題を解くことだとお話ししました。
時間通りに八割の得点を目指し、それがだいたいできるようになるまで、自習を続けます。
おそらく、大学受験を経験している人ならば、この公立高校受験レベルの復習は、それほど苦ではないと思います。
敢えて、ここで自習方法のアドバイスは行いません。その理由は、塾講師自身の自習こそが、その講師独自の指導法を確立するからです。
いろんな問題集を見直して、実際に手を動かしながら、忘れていた記憶を取り戻しましょう。
その過程で、実際生徒が苦しみそうな単元をチェックしたり、わかりやすい解説方法を考えてみるのが良いでしょう。
この作業が心から楽しめる場合は、今後、人気塾講師として十分に活躍できるでしょう。
それぞれの事情に応じて、時間はいくらかけても構わないと思いますので、採用試験対策のこの時間を大切にしましょう。
高校入試レベルが仕上がったら、改めて働きたい塾を考えます。
高校入試レベルの基礎が仕上がったら、そのタイミングで初めて、働きたい塾の検討を始めると良いでしょう。
この時点で、一般的な補習指導の個別指導塾(時給1000円代の塾)に採用されることのできる学力は十分についています。
面接で好印象を残すことができれば、学力としてはまったく問題ないでしょう。
補習指導の個別指導塾は、時給はそこまで高くはありませんが、地域の生徒がたくさん通っているので、必然的にコマ数も多く指導することができて、安定して働けるメリットがあります。
また、受験などのプレッシャーも比較的少なくて、生徒も講師ものんびりしているので、副収入を考えている主婦や、Wワークの方などにはオススメです。
また、塾業界がまったく初めての方は、ここで経験を積むのも良いでしょう。
補習指導の個別指導塾は、大学生講師がとても多く、初心者の講師も珍しくないので、講師業務にまつわるいろんなことを教えてくれる体制ができています。
補習指導の個別指導塾は、指導方法やカリキュラムの組み方へのアドバイスも受けやすいと思います。
ただ、気を付けていただきたいのは、塾業界の転職(退職)タイミングは年度末以外は絶対ナシ! という事実です。
塾講師が向いていないから、と、年度途中で塾を辞めてしまうと、生徒の人生に大きな迷惑がかかる、と自覚して、一度仕事を始めたら必ず学年が変わる年度末までは、責任を持って取り組みましょう。
では、もっと高時給の塾で働きたい! 生涯の仕事としてプロ塾講師になりたい! と、努力を惜しまない姿勢の方のための、塾選びと採用試験対策を紹介します。
中学受験は、算数を制する! 国語は、きっと予想より難関です。
中学受験に特化した塾で働きたい場合、何はなくとも「受験算数」ができなくてはいけません。
受験算数は、ざっくり言うと、方程式を決して使用してはいけない、日本古来の「和算」の考え方を利用した算数です。
算数と名がついてはいますが、小学校で勉強する科目の算数とは、名前が一緒なだけでまったくレベルが違います。
実際に中学受験の経験のない人には、相当の難関となる科目です。
中学受験の塾で働く場合は、この「受験算数」の指導が可能かどうかをじっくり考えてみてください。
受験算数に抵抗がない場合は、一通り自分の実力を測ってみましょう。
オススメの問題集は
算数ベストチェック――中学受験用 (日能研ブックス)
です。
価格も1000円以内なので、自分の中学受験算数の力を測るのに一番気軽に使える問題集だと思います。
本当は四谷大塚系列の塾で使用している
四科のまとめ
が一番しっかりまとまっていて良いのですが、残念ながらこのテキストは、四谷大塚の生徒以外は購入することができません。
もし、近くに持っている人がいたら、ぜひ見せてもらってください。
先ほど紹介した算数ベストチェック――中学受験用 (日能研ブックス)は、中学受験算数の基本を、受験直前の短時間でおさらいするための問題集です。
デシリットルやアール、ヘクタールの概念や、決してエックスを使ってはいけない連立方程式など、大人なら完璧に忘れている人の多い項目がたくさん出てきます。
塾講師とはいっても、その科目のスペシャリストの先生以外は、どんな難関校の問題でも一瞬で解ける必要はありません。
採用試験では、指導する単元をしっかり予習して、生徒の質問に備える、ということができる講師かどうかを問われています。
まずは、この問題集を一冊完璧に仕上げておけば、おそらく中学受験の塾の採用試験対策は問題ないでしょう。
某大手集団指導塾では、基本的に一人の講師に複数の科目を指導させます。
その際、重視するのは言うまでもなく「受験算数」が教えられるかどうか? です。
受験算数が指導できない講師の場合は、その科目に特化したスペシャリストだけを求めています。
一番対策なしでなんとかなりそうな国語ですが、漢字、熟語、文学史はもちろん、一点の減点もされない完璧な記述回答の作り方がわかっている塾講師でないと、国語一科目だけの専任講師として採用されることは珍しいです。
理科、社会の講師を志望する場合は、逆にかなり穴場です。
その科目を指導しようと考える時点で、基本的な知識は十分にあると思いますし、小学生でも高校生でも、理科と社会で必要な知識は同じものです。
理科、社会の指導を希望する場合は、とにかく面接で好印象を残すことさえできれば、とても採用率が高いと思われます。
大学受験は、一科目全力投球。責任が重い事実を、しっかり自覚!
今度は、大学受験の指導をする場合の採用試験対策の方法を紹介します。
家庭教師や個人指導の場合、大学受験の指導のポイントは、英語です。
入試科目に英語のない大学はほとんどないので、他の科目の指導を中心に頼まれていたとしても、必ずどこかの局面で英語を指導する瞬間があるかと思います。
大人になると、どれほどネイティブに近く英語を使いこなせるかが問われる局面が多いと思いますが、受験において塾講師自身がネイティブである必要はまったくありません。
むしろ、きちんと、学校で習う文法事項を説明しながら文章が読めるか、という能力を問われています。
英語指導の際は、「文法」の再確認が一番大事です。
一方で、予備校、と呼ばれるタイプの、一つの科目のスペシャリストの講師が、その科目に専念して教えるタイプの塾では、最低でも東大合格レベルの実力と、塾講師としての経験が必要です。
時給がとてつもなく高く、魅力的な案件に思えますが、塾講師として未経験の人が応募すると不採用となってしまう可能性が非常に高いです。
これを知らないで応募すると、時間も気力ももったいないことになってしまいます。
予備校の採用のポイントは、採用試験の点数ももちろんですが、同じくらい経験も重視されます。(ほとんどの大手大学受験予備校では、一次試験が筆記試験、二次試験が模擬授業です)
テレビで大活躍の先生のような予備校講師を目指して、頑張ろう! と思っているようでしたら、まずは、数年間は経験を積んで学力の研鑽に努めましょう。
面接では、「挨拶」と「笑顔」を忘れずに!
ほとんどの塾では、筆記試験と同時に面接を行う場合が多いでしょう。
その際に、くれぐれも気を付けていただきたいのは、「挨拶」と「笑顔」です。
そんなの当たり前、と思うかもしれませんが、その当たり前のことがしっかりできている応募者は、予想以上に少ないという事実があります。
おそらく、緊張してしまっているのでしょう。
おどおどして挨拶もせずに黙り込んでしまう人などでも、実際に仕事を始めれば、明るく快活な先生として勤務ができる人が大半だと思います。
しかし、面接は、極端に緊張している状態で、何ができるかを見られている場だという事を忘れてはいけません。
私が学生講師の面接を行った経験からすると、面接の際、ほとんどの人が、軽い会釈程度の挨拶しかできません。
一方で、最初にきちんと頭を下げて「今日は、よろしくお願いします」と挨拶するだけで、「ぜひ、この人と一緒に働きたいな!」と思う瞬間もありました。
塾講師は、教員ではないのに、「先生」として子供たちに接しなくてはいけない責任ある仕事です。
同時に、生徒のことを誰よりも心配している保護者への対応が不可欠です。
これは、大多数の仕事に言えるのかもしれませんが、面接で一番重視しているのは、その人の「優秀さ」、ではなく「人柄」です。
採用試験対策にばかり目が行ってしまいがちですが、最後は「人柄」が一番見られていると自覚して、誰にでも「挨拶」と「笑顔」の徹底できる、魅力的な講師像をアピールしてください。