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記憶力は変えられる?!【勉強のやり方編】

2021/12/17

記憶力は変えられる?!:勉強法へのアプローチ

前回、前々回では、記憶力は変えられる?!と銘打って、計6つの手法を紹介してきました。そこでは、脳を活性化させるために良いこと、を紹介してきました。勉強をする際に飲むもの、食べるもの、見るもの、というような、間接的なことです。

今回は、より直接的なこと、つまり、勉強自体をどう行えば記憶力・暗記力が上がるか、ということについて言及していきたいと思います。

①机の前で暗記しない

多くの人は、机の前に座って、カリカリとペンを走らせ、そして暗記しているのではないでしょうか。よく見る光景ですが、ここで常識を疑ってみてください。

なぜ机の上で勉強しなければならないのですか??

・・・

例えば、机でやったほうが、字が書きやすいから。

これはたしかにその通りですね。台が無ければまともに文字は書けません。でも、暗記するのに字を書く必要がありますか??既に書かれているものを、書きながら暗記をしなければなりませんか??

自分の思考をまとめる際に、書く、という方法は有用です。

しかし、既にまとまっている内容を写しながら覚えようとするのは、脳科学的にはあまり効率がよくありません。書くことで、ペンを動かすことで、脳は確かに活性化されますが、書くことで与える刺激よりも、もっとはるかに脳を活性化させる動作があります。

それは、立つこと、そして、声を出すことです。

立つことに関して。

座っている時より、立っているときの方が、大脳に流れ込む血流は20パーセントも増えると言われています。当然脳も活性化されますね。

更に、立つことにより、記憶力だけでなく集中力上がるのです。

こんな実験データもあります。

ミズーリ大学のアレン・ブルードーン博士たちは、立ったままの方が、座っている時よりも「意思決定が早くなった」という結果を打ち出しました。

 

私個人も、受験時代は、電車の中で立ち読みをする時間が非常に大切な勉強時間でした。

朝の電車の中では、昨日行った学習の中のうち大きく暗記を強いられたものをピックアップして、その箇所を読みながら、頭の中で整理しつつ復習します。大体30分位が私の通学時間でしたが、その30分で、自分でも驚く程の量を復習することができていました。

朝一番という時間帯がもたらす効果、そして、立っていることによる集中力効果があったのだと思います。

帰りの電車の中では、今日行った学習のうち一番苦労した部分をピックアップして、その箇所を朝と同じように読み、復習しました。

たまに、今日のノルマのうちできなかった部分をピックアップして行うこともありましたが、朝夕に共通して言えることは、立って行う勉強に、復習をあてたということです。

復習は、一度行っている勉強内容を思い出したり、覚え直したり、整理するということです。即ち、ペンでカリカリ計算をするような作業はいらず、記憶力を大いに使う作業なのです。

私は体験的に、復習を机の上でやると捗らない・・・と悩んで、このような短い空き時間に、復習という作業を組み込ませることにしたのですが、そのあと、それは脳科学的にも証明されている実験データがあって裏付けされているということを聞いて驚きました。脳はわかっていて、自分に反応をもたらしていると、実感した瞬間でした。

ということは、自分が普段行っていて、いまいち捗っていないという自覚のある作業があったら、それは一考の余地があります。捗っていないというのは、脳からの、手法を変えよ、という警告です。合う合わないがあるので、自分にとって捗るやり方、というのは一人一人違います。脳からのサインを流さずに、臨機応変に工夫していくことが何よりも大切だと思います。

 

声を出すこと、に関して。

例えば、likelihoodという単語があって、この意味を覚えたいとします。この時、字面だけをみて、「可能性」「可能性」、と唱えていた生徒がいました。どうやら、だいたいこんな感じの字面の単語が「可能性」という意味を持つ、という風に覚えているようなのです。私は愕然としました。その子は英語が非常に苦手な子だったのですが、その理由が明確にわかった瞬間でした。

英語は言語です。言語は話して、聞いて、そうやって使われるものです。それなのに字面だけ見て覚えようとしているのは、使おうとしていない、という姿勢の表れです。使おうとすれば、口に出ます。「らいくりふっ」と発音して、使おうとします。発音できなければ、一生その単語を使えることはありません。

つまり、発音して口に出すことが、体に覚えさせることであり、記憶することと言えるのです。

これは英語だけに限りません。口に出して言えないもの、説明できないもの、は結局使えないものです。テストで使えない知識なのです。

ですから、普段から暗記したいことは口に出して、しっかり体に覚えさせることが大事です。

 

記憶する際は、以上の二点に注意してみてくださいね。

②覚える時間を決める

あーまだここ覚えてない・・・

といってどんどん時間を延ばし、いつの間にか、かなり時間が経ってしまっていた・・・

まだまだ他にもやることあったのに・・・

そんな経験はありませんか??

こういう場合、覚えきれていないことのストレスがある上に、他の勉強に影響を与えてしまったというストレスもあり、どんどん負のスパイラルに入ってしまいます。精神衛生上よくありませんね。

では、こういった場合どうしたらよかったのでしょうか???

・・・

はじめから、30分でこの部分を暗記する。それができなかったら、この部分は今はお預け。

そう自分で決めてしまえば良かったのです。

お預けしちゃったら、その部分を放置していることになるのでは???

と思われると思います。

しかし、制限時間を設ければ、その時間内で覚えきれるように、脳はあわせて働こうとしてくれます。そのとき脳がフル回転してくれる、そのタイミングを狙って一気に覚えにかかるのです。

だらだらとやってても、覚えにくいものは覚えにくく、時間をかけたところで大して変わりません。それより、覚えにくいなら時間をかけるのではなく、回数で勝負するのです。だから、一回の暗記時間は短く設けてしまって、その分回数を増やそう、そういう心構えで、暗記に臨むのです。

同じことを 続けない

 人の集中力は90分が限度だと言われています。多くの予備校や大学の授業は、それを踏まえ授業時間を90分にしていると言われています。そして、休憩をはさみ、また授業を始めるというスタイルが一般的でしょう。しかし、受験勉強というのは際限ないもので、次から次へと勉強することは山ほどあります。それなのに、集中力は一回に90分しか続きません。休憩をはさんだことによって、さっきまですごくやる気に満ちていた自分はどこへやら。また、たるんじゃったなあ。

という状況に陥った人は少なくないはず。

休憩をはさむことは、脳を休ませて、次への体力温存ができる有意義なことですが、リラックスしすぎてしまうというリスクもあります。

この矛盾をどのように解決したらよいのか。それが、教科を変えるということなのです。

実のところ、私たちは、疲れと飽きを混同しやすいと言われています。

疲れたと思っていることは、実は飽きているだけだということが少なくはないのです。ですから、疲れたなあと思ったら、教科を変えてみてください。すると、思いのほかまた集中できたりします。

つまり根本的に重要なことは、同じことを続けない、ということです。

脳は退屈を嫌いますから、同じ教科を同じように勉強するのではなく、

同じ教科のなかでも、問題を解いて手を動かす、声に出しながら暗記事項を読んでみる、と手法を変えてみたり、そもそも教科を変えたりと、変化に富んだ学習を行うことで、脳を飽きさせないようにしましょう。

 

また、様々な科目をバランスよく勉強することのメリットはほかにもあります。

国立志望の人はもちろん、私立志望の人も同様に、入試では、数科目の試験を受けなければなりません。一つの科目だけにとらわれず、全教科のバランスをとりながら、総合点で勝負する必要があります。一つの科目が極端に悪くても、極端に得意な別の科目で補えば、トントンだと考える人がいるようですが、それは大きな間違いです。これには大きくふたつの理由があります。

特に上位校では、各教科に対して足切り点のようなものを用意しており、その点数を下回った場合は採点されないというケースが存在します。センターで足切りをされ、二次試験をうけられなくなるのと同じことです。また、点数の標準化、という制度を取り入れている学校もあります。これは、いわゆる何点とった、という素点がそのまま自己の点数とならない、かなり要注意な制度です。計算方法はほとんどの学校が公開していないようですが、

素点と受験者平均点を加味して標準点を決める、

という趣旨です。

例えば、平均点が高い教科に関して自分が低い点数を取ったとき、偏差値は通常より低くなりますよね。

逆もしかりで、平均点が低い教科に関して自分が高い点数を取ったとき、偏差値は通常より高く出ます。

これと同じような感覚であると認識していただけるといいでしょう。

ですから、各科目をバランスよく勉強し、苦手科目を作らないことが大事なのです。このことはしっかり肝に銘じさせて指導をする必要があるでしょう。

 

まとめ

今回は、勉強の手法編として、三つのことを紹介しました。これらを習慣化すれば、勉強スタイルは一気に確立され、成果の出るものとなるでしょう。何事も試してみなければ始まりません。勉強方法に悩む生徒さんに助言をするときの参考にしていただけたら幸いです。

 

参考文献:『記憶する技術』内藤誼人

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