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勉強のしかた:暗記すること

2021/12/17

暗記という勉強 

 これからこの記事では、暗記勉強の(かなり徹底した)やり方を書いていきます。この方法は筆者が中学生だった頃に通っていた塾の先生に教わったもので、実際大きな効果があったと思います。大学受験の為の勉強で一切単語の勉強をしなかったのにもかかわらずどうにかなったのは中学時代に学んだ単語を忘れていなかったからだと未だに思います。

 ですが、読んでいる皆さんはきっとこう思います。「こんな大変な勉強法、続けるのは無理だ!」と。筆者自身も高校に入ってからはやりませんでしたし、中学の頃だって英単語以外にはやりませんでした。

 ここで間違えて頂きたくないのですが、暗記は全てを覚える必要はありません。極論を言ってしまえば、使うものだけ覚えていればそれで何も困らないのです。それが分からないから覚える量が増える訳ですが、その数そのものを減らすのは私達教える立場の役目の筈です。その上で、残ったものを確実に覚えていくために、暗記の為の勉強方法が必要なんです。

 

 

暗記は嫌われている?

 

 筆者も先日ここに「暗記よりも本質的な理解を」という記事を書きました。往々にして勉強において暗記は「良くないもの」として認識されがちです。何故なら、暗記をする事はその後には殆ど残らないからであり、また応用出来る状態にまで昇華する事が困難だからです。

 しかし、暗記は必要である事も事実です。特に、英単語があげられるでしょうか。社会科科目や理科科目の用語や数学の公式の一部、国語の漢字などは覚える他無い、という側面を持っている事は否定出来ません。また、場合によっては時間が足りず、どうにか詰め込みでもいいから覚えたい!という場合もあるのではないでしょうか。そんな暗記ですが、折角覚えたのにすぐに忘れるというのは誰にでも経験がある事でしょう。

 正直、それは当たり前です。何故なら中高の勉強そのものは殆ど人生には何の必要もありませんから、覚えておく必要性を脳が認識していないのです。であれば、キープしておくべき情報としての序列は低く、優先的に忘れられるものとしてリストアップされているのです。

 

 しかし、こっちはそれでは困ります。必要だから覚えたいのに脳はそんなもの必要じゃないという。しかし試験は近づいてきます。受験生ならそれはもっと深刻な問題です。

 

 前置きが長くなりましたが、改めて。ここで紹介するのは暗記の方法です。最初に断っておきますが、所謂「お手軽暗記」等とは程遠い、しっかりと自分の中にその情報をとどめるための方法です。筆者はある程度以上の量の暗記にお手軽な方法は無いと思っていますので。

 この記事で紹介する際には例として英単語を用いますが、おそらくはどの場面でも同じ方法が使えます。追加で必要な要素があればその都度解説を入れていきます。

 

暗記の仕方も人によって違う

 

 勉強の際に音楽などをかける人と無音の中でやる人がいますよね。何が覚えやすいかは人それぞれです。何かを覚える、という視点で見ると、主に3通りに分かれます。

 それは、「見て覚える」「音で覚える」「書いて覚える」の3通りです。どれも想像はつきやすいでしょうし、何が手間がかかるかも一目瞭然です。筆者はその、書いて覚える、という一番面倒なパターンでした。書いて覚える人が電車の中でただ単語帳を眺めていてもあまり良い効果は得られない、ってことですね。

 ですが、それぞれ行う事でマイナスの効果を及ぼすわけではありません。可能ならば、「読みながら」「見て」「書く」事で覚えるのが最も良いでしょう。更にそこから発展させるために、どの方法があっているのか生徒が自分で理解しているというのは良い事かもしれません。

 

 それではここからは、筆者が教わった「暗記の勉強方法」です。重ねて言いますが、これはかなり徹底したやり方です。可能な限り覚える必要がある内容を厳選した上でやってもらうのが本当の意味で効率が良いという事になります。初めからこれでは無駄足の方が多くなってしまいます。

 

 長期的に暗記、短期で暗記
短期決戦型(試験前など)

 さて、その暗記方法ですが、方法は単純です。

状況を仮に「試験前1週間で、試験範囲の英単語100個を覚えたい」としましょう。一度に100個覚えるのが拙策であろう事は誰にでも理解出来るでしょう。それが出来るなら暗記分野でそんな苦労をしないでしょうから。

そこで方法を考える訳ですが、一度に幾つまで覚えられるかは生徒によります。ですがまあ、20個程度から始めるのが良いでしょう。テストする際に時間を取りませんし、忘れるものは忘れる、そんな程度の量です。

 英単語ですので意味とスペルの二つの要素を持っています。これが理社の用語であったりした場合は内容や意味、年号や関係者名などで結びつけましょう。

 そして、その要素の一つ(英単語なら意味)を縦に並べて書きます。20個なら、20個を。そしてテストを行います。それぞれの横にその意味に対応した単語を書いていきましょう。いきなり20個全て書ける人は少ないでしょうから、幾つか(或いは正解が幾つかしかないかもしれませんが)不正解が出る事になります。そうしたら(別の勉強をする等して時間を置いてから)再テストを行います。勿論その空けた時間に復習しておくのは当然です。再テストが満点なら合格、一つでも間違っていればまた時間をあけて再挑戦です。合格したら、次の20単語を勉強しましょう。同じ様にテストしていきます。

 2グループ目の20単語に合格したら、次は3グループ目、そしてまたその次、その次、と繰り返せば100単語程度はあっという間ですね。3日も必要無いでしょうし、他の勉強をしながら進める事が出来るので「単語の為だけの」勉強をする事にはならないのが大きな利点です。

 そうして100単語見事に制覇したら、次は確認です。100単語まとめてテストしましょう。間違った回答をしたものがあったらそれだけは抜き出しておきます。そして間違えたものだけ時間をおいて再テストです。

 この時、20単語ずつ作った試験用紙をコピーするなりして、保存しておきましょう。いつでも復習に使えます。

 

長期決戦型 

 受験などの長丁場にわたる勉強の場合は、もう少しゆったりとした形にしましょう。でないと、続きません。ですが、基本的なスタイルは先の方法と同じです。毎日が理想ですが、週に数日でも十分でしょう、同じ様に20単語程度を纏めたテストを行います。同じ様に満点を取る度に進んでいきますが、知識を確実に身につけていく為に、100単語毎にテストするのではなく、100単語進む毎に過去の間違えた単語を初めからやり直していくサイクルを加えていきます。量が多くなるため、効率を取って間違えたものだけを再テストしていった方が良いでしょう。

 

 可能な限り毎日これを1サイクル以上やっていけたら、理想的です。

 

 想像してみるととてつもない量を一日にこなす羽目になりそうで恐ろしいかもしれませんが、よくよく考えてみるとそうでもありません。大学受験であっても単語帳は大体4500から6000単語程度です。仮に、より多く7000単語として見積もっても、100単語が70グループです。1週間に100単語のペースで行うと(平日のみ勉強、1日20単語の量)、1年と5ヶ月で終わります。休日も行えばより早いですし、長期休暇を加味すれば1年程度でしょうか。毎週100単語に加えて、過去の範囲から20単語程度が追加されていきますので、週120単語程度でしょうか。内20単語は復習です。

 

 短期決戦型の項に書いた事ですが、単語の勉強は他の勉強の合間に行う事が出来る為、「こんなに沢山の量を復習する事は出来ない!」とはなり辛い筈です。ましてや、全てが全て意味が分からない単語だという訳でもありませんから。

 また、私たちは講師ですから、上記のような「暗記方法」に一手間加えてより効率的な手段をとる事も出来ます。月毎に小テストを行い、各々が間違えた所を記録などしておけるとより効率の良い暗記になるのではないでしょうか。

 まとめ

 以上が、「暗記の勉強方法」です。

 先に述べたとおり、これをそのまま行う必要がある訳ではありません。意欲が高く、暗記分野の出来によって非常に低い成績になってしまっている生徒にはもしかしたらよいかもしれません。ですが、この記事の本分は初めに記述した通りの覚えることそのものに対する考え方の部分です。

 どうか、生徒さんに無為な暗記だけの勉強をさせないようにしてあげてください。

 

 

 

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