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【新人講師向け】教室主任・研修担当が見た、新人講師のびっくりな行動~

2021/12/17

はじめに:講師が犯しがちなミスを見直してみよう

 私は4年間個別指導塾に勤務していました。1年目より生徒の学習指導計画表をチェックする役目を任されてから、2年目ではその仕事にプラスして面談練習や講師の模擬授業などの研修官、3年目からはそれらにプラスして主任として新人講師研修全般や教室運営を任されるようになりました。その間に多くの講師の研修や計画表のチェックに携わり様々な講師を指導してきました。

 そんな経験から今回この記事では、研修などで出会った講師たちのあり得ない行動や言動を取り上げたいと思います。はたから見ればあり得ない行動なのですが、無意識のうちにやっている可能性もあります。ここに書かれているあり得ない行動から自らの行動を振り返るきっかけになっていただければ幸いです。

模擬授業編

 私たちの塾では新人として入ってきてくれた講師たちに模擬授業という形で、勤務している講師が生徒役を行い新人の講師が実際に生徒役の講師を相手に授業をするという研修プログラムがありました。初めて生徒ない手に授業する前に授業の感覚などをつかんでもらいたいということで実施しています。

 そんな研修であったあり得ないことをいくつかあげたいと思います。

① 生徒との距離が異様に近い

 これは多くの新人講師が犯しがちなミスです(実際に私自身も初めの模擬授業で当時の研修官の講師から注意を受けました)。

個別指導限定になりますが、基本的に生徒の机が左右にあって講師の椅子が真ん中にあるというパターンが多いのではないでしょうか。そんな時、どうしても授業に熱が入ってしまい、椅子をとても生徒の机に近付けてかつ顔まで近付けてしまう講師が非常に多かったです。そんなに目が悪いんですかって?(笑)

 これは特に異性の生徒であればかなり気をつけなければならないところです。人間はやはりセーフティーゾーンを持っているわけです。もちろん個別指導塾の時点でそのゾーンがすごく狭くなるのはわかります。ただし、恋人ではないのだから、あんまり近くに来られても嫌でしょうし、偶発的なセクハラにもつながりかねません。実際に私の塾では、あまりにも生徒に近づきすぎて担当生徒からクレームが入り、担当の講師が替わったということもありました。

 また、初めて塾に来た生徒や担当が決まっていない生徒の場合も注意が必要です。担当の生徒であれば、気心知れているのでセーフティーゾーンがさらに狭くなっているでしょう。しかし、初対面の生徒はかなり緊張していますので近づきすぎると本能的に危険を感じてしまいます。慣れるまでは、こちらも生徒との空間的距離は意識するようにしましょう。(心理的距離は縮めましょうね!)

② 答えを見ないで答え合わせをする

 これは塾の方針によって違いがあるかもしれませんが、答え合わせの際は答えを見ながらやったほうが断然いいです。なぜならスピーディーだからです。模擬授業で答えがあるのにも関わらず、答えを見ずに答え合わせをする講師が多くいました。彼らは、答えを見ながらやるのは講師として良くない、生徒目線で考えたいと言うことを言っていました。その気持ちはわかります。

 ただ、生徒が塾で授業を受けられる時間は決まっています。答え合わせに時間をかけるなら、さっさと答え合わせをして間違えた問題を中心に解説したほうがよっぽど効率的だと思います。また、万が一その答えが間違っていたならばそちらのほうが大問題ですし、難しい問題があればその分時間がかかってしまいます。そのため、答え合わせでは答えを見ながらおこなうようにしましょう。

③ 生徒を凝視する

 これはまじめな先生ほどその傾向が強いと感じました。まじめな先生ほど、生徒が問題を解いている演習時間中常に生徒を監視しています。さらに、講師によっては近距離で生徒を凝視している場合もありました。そのことについて尋ねると、生徒の演習中は監督するのが講師の務めだからと言われました。

 これは一見あっているように感じます。実際に間違えではないでしょう。ただ正解でもないと私は考えます。もちろん生徒によっては演習に集中できない生徒もいるから見張る必要もあると思います。ただ、多くの生徒はずっと見られているとプレッシャーに感じてかえってしづらくなるのではないでしょうか?また、集中できない生徒であるならば、監視しなくてはならないほどの長時間かかる演習をさせてはいけないはずです。短時間で終わるように区切る必要があります。

 演習中は生徒を凝視するのではなく、他のことをしながら(内の塾ではこの時間を使い生徒の日報を書くように指示されていました)ときどき見るという形がいいと思います。一番いい形は、生徒の視界から消える場所で自分んの仕事をしつつ、実は見ているという方法が一番いいのではないかと思います。(もちろん地理的要因で不可能な場合もあるでしょうが…)

面談研修編

 私たちの塾では1人の生徒につき年に5回~6回保護者を交えての面談を行います。非常に多くの面談を講師はこなさなければなりません。これは講師の重要な業務の一つになっています。そのために、新人講師には必ず面談研修を行ってから保護者との面談に臨んでもらうようにしています。その研修官を務めていたときに出会ったあり得ない行動です。

① 全く目を見て話すことがない

 そんなことあるのかよと突っ込みたくなる気持ちはわかりますが、かなり多くの新人講師がこのミスを犯しています。それは実際の面談に行った際にも残念ながら起きてしまっています。こういう講師は毎年必ず1人は入塾してくるのです。(なんでこんな講師採用したんだって教室長に文句を言いたくなることがしばしばです。)

 なぜ目を見て話すことができないのか。その理由は大きく二つあります。

 1つ目は自信がないということです。これは初めての経験なのである程度は致し方ない部分があります。しかしながら、話す内容は自分がかかわっている生徒の内容なのです。また自分が作った生徒の講習の計画表などなのです。自分が関わっていないことについて話すのではないのです。少々ぎこちなくても相手には痛いことは伝わります。毎日の会話を完ぺきにこなそうとしている人がいないのと同じです。面談はあくまで会話なので、緊張しすぎることなく自信を持って臨まなければなりません。自信がなく相手の目が見えないのであれば、相手に自信のなさが伝わり担当講師の交換にもつながりかねませんよ?

 2つ目は資料を読みすぎているからです。特に私たちの面談では講習前の面談では必ず、講習中とその後の学期の学習進路計画表を提示しながら話を進めます。これを、台本であるかのように講師が勘違いしてしまっているパターンです。とにかく、相手の顔色を全く窺わず、計画表に書かれていることのみを延々としゃべってしまうために相手の目を全く見ないのです。これは、だめなプレゼンの例と同じですね。

 計画表に限らず、保護者の方に何か見せるときそれはあくまでレジュメ、パワポでしかありません。そこに書かれていることのみを伝えるのであれば講師が読み上げる必要もありません。ここでは、講師がその内容をしっかりと理解し、自分の言葉で噛み砕いてかつ相手が求めている情報のみを伝えればよいのです。

 また、それらの判断は相手の顔を見ながらしなければならないでしょう。つまらなそうにしているならば、必要最低限だけ話すようにしたり、食いついているならば同じように熱心に細かい部分まで説明するようにしたりすればよいのです。

 面談は会話です。資料はあくまで資料であって台本ではありません。

②言葉づかい

 話し言葉を多用していませんか?もちろん面談は会話なので堅苦しい言葉のみではとてもフォーマルなものになってしまい、こちらも相手も言いたいことが言えずに終わってしまうでしょう。ただし、相手はお客様である以上言葉遣いに気をつけなければなりません。

 研修中に「マジで」や「ヤバいです」といった言葉を多用している講師がいました。これは練習だからかなと思いそれなりに注意しただけで研修を終えましたが、やはり本番でも多用しており、保護者から講師が不安であるというクレームが塾に入りました。講師は保護者から見れば先生とほぼ同じようなものです。知的さを求められています。大学生のノリそのままで面談に臨まないように注意してください。

おわりに

 最後まで読んでいただきありがとうございました。今回の記事はいかがだったでしょうか?これらはすべて私が経験してきたことを基に書いています。

 新人講師の方は初めての塾勤務で大変なことが多いと思います。しかし、塾には塾の決まりがあり、その前には人としての決まりもあります。アルバイトとはいえ保護者や生徒からすれば講師なのです。ここに書かれているミスを犯していないかもう一度考えてみましょう。

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