小学生に反比例を教える手順
この記事では「初めて反比例を学ぶ生徒にどのように教えていくべきか?」ということについて紹介します。
教える手順としては
- 花壇の面積の問題をまず生徒に解いてもらう
- 次にその問題を題材に「反比例」一般についての説明を行う
- 最後に「反比例」が題材になった練習問題を解かせてあげる
となります!最初に解かせる花壇の面積の問題から紹介します。
同じ面積の花壇を作るには??
まずは面積の公式の確認をしましょう。
(たて)×(よこ)=(面積)
以上の式で求めることができます。では以下のような問題を考えてみましょう。
問題
(1)たて6m、横2mの長方形の花壇の面積は?
(2)たての長さが3mの時、(1)と同じ面積にするには、横の長さは何m?
(3) (1)と同じ面積の花壇になるような、たての長さ、横の長さを考えてみよう。
解答解説
では解答解説に移ります。
(1) (たて)×(よこ)=(面積)なので、6[m]×2[m]=12[m2]となります。
式の中に単位を付与する習慣をつけましょう。”(かっこ)”の中に単位を入れても良いのですが、式中の(小かっこ)と紛らしいため、”[かぎかっこ]”の中に単位を入れることをおすすめします。
(2)面積が12[m2]、たての長さが3[m]です。
(たて)×(よこ)=(面積)の式に数字を入れてみましょう。
3[m]×(よこ)[m]=12[m2]
(よこ)[m]=12[m2]÷3[m]=4[m]
(3) さて、これが一番厄介な問題です!!
期待される答えとしては、
(たて、よこ)=(1,12)、(2,6)、(3,4)、(4,3)、(6,2)、(12,1)
おそらく、(たて、よこ)=(整数、整数)という答えが返ってくるでしょう。
ちなみに、整数の約数の求め方は小学5年生で学習します。
復習:整数の約数の求め方
少し整数の約数の求め方を復習しておきます。
先ほどの例の12の約数を考えましょう。12を約数でわると余りが0になります。
12÷(約数)=0
最小の約数:1、最大の約数:12
なので、1から12までの整数を順番に式に入れて、ひとつひとつ割り切れるかチェックします。
1,2,3,4,6,12→オッケー
5,7,8,9,10,11→ダメ
最初は実際にひとつひとつ12÷(約数)=0の式に数字を入れて確認しましょう。
確認できたら、次の性質を紹介します。
約数の復習ができました。
この”2つの数字の積が同じ”という考えを意識させた上で、「同じ面積の花壇を作る時、(たて)×(よこ)の組み合わせはそれで全部なのかな?他に無いかな?」と問いかけてみましょう!
さて、ここまでは同じ面積の花壇を作ることを考え、(整数)×(整数)の組み合わせを網羅しました。
「同じ面積の花壇を作る時、(たて)×(よこ)の組み合わせはそれで全部なのかな?他に無いかな?」と質問します。
小学生の問題に出てくる数字はほとんどが整数なので少し気付きにくいかもしれません。
その場合は、「たての長さが小数になることもあるよね」と誘導しましょう。組み合わせの個数が無限に存在することを理解させましょう。
表とグラフを書いてみよう!
たての長さが小数になる場合も含めて表を書きます。
後で表にし易いように、よこの長さを2刻みで計算することにします。
グラフに書いてみます。
小学生には少し難しいので、手本を見せながら解説して下さい。
よこの長さを横軸に、たての長さを縦軸に取って、数字の組み合わせをプロットします。
プロットした点をなめらかにつないでみましょう。
この曲線上にある点は全て、(たて)×(よこ)の値が同じになります。
次からはこの花壇の問題を一般化して、「反比例」そのものについて説明していきます。
反比例とは?
反比例とは、ふたつの数字a、bが存在するとき、その積が決まった数になるa、bの関係のことです。
a×b=(決まった数)
b=(決まった数)÷a
などと書くことが出来ます。(bはaに反比例する)
長方形の面積は典型的な例です。
同じ面積の花壇を作る場合、
(たて)×(よこ)=(決まった面積:先ほどの例では12)
(たて)=(決まった面積)÷(よこ)
”(たて)は(よこ)に反比例する”と言います。
さあ、ラストスパートです!!問題にチャレンジ!
反比例を題材にした練習問題を解かせてみよう!
実は旅人算に反比例が頻出しています。
反比例の問題
分速50mで4分間歩いた。同じ距離を分速100mで走る場合、何分かかりますか?
<答え>距離は50[m/分]×4[分]=200[m]
距離が同じなので、(時間)=200[m]÷100[m/分]=2[分]…答
旅人算でよく見かける問題です。
速さ、時間、距離の関係は、
(速さ)×(時間)=(距離)
ですね。
今回、50m/分の時と、100m/分の時の(距離)が一定なので、
(速さ)×(時間)=(決まった数)
(時間)=(決まった数)÷(速さ)←これが反比例の式
距離が一定の時、(時間)は(速さ)に反比例することが分かります。
確認問題
<問題>
面積が一定の長方形の花壇を考えます。以下のグラフの??を埋めなさい。
<答え>
まず、(決まった数)である面積を求めましょう。よこ1[m]のとき、たて6[m]なので面積は6[m2]ですね。
(たて)=(決まった数:6[m2])÷(よこ)の式に代入すると、??が分かります。
<問題>
次の表の数字bは数字aに反比例していると言えるか。
<答え>
少し難しいのですが、数字bは数字aに反比例していません。
数字bが数字aに反比例する時、(数字a)×(数字b)=(決まった数)の関係が要るのですが、
数字の積を求めると、
8の時と12の時がありますね。
表には4つの数字の組み合わせがありますが、この4つの組み合わせの積全てが同じ数字でないと反比例とは言えません。
こうして順番に反比例をマスターさせることができます。あとは十分に練習を繰り返して下さい!