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理科の最強指導法9 ―地学編― 「地層の動き」

小学生

2021/12/17

地層の動きを理解しよう!

講師の皆様こんにちは!

前回まで主に岩石について扱ってきました。
堆積岩:http://www.juku.st/info/entry/1054
火成岩:http://www.juku.st/info/entry/1082

今回は視点を変えて、地層の動きについて扱っていきます。
なかなか生徒が捉えづらいテーマになりますので、ぜひ教え方の参考にしてくださいね!

特に生徒がやってしまう失敗

地層が動く理由を説明できない

地層の変化をイメージできない・暗記分野だと考えている

地層の逆転は、堆積作用としゅう曲の2つで起こる可能性があることを知らない

今までお伝えしてきたところは
興味を持ってもらう→暗記をしてもらう
という流れでした。
しかし、ここからは計算問題や考察問題が増えるテーマとなります。
ですから講師としては「どうやって理解させるか」を考えていく必要があります。

 

授業で伝えるべきポイント及び伝え方

地層が動く原因を知る

日本は地震大国ですから、地面が動くことについて生徒は全員“体感”しています。
ですが、どうして地層が動くのか、と聞いても、なかなか正しい答えが返ってくることはありません。
よく勉強をしている生徒ですと「プレートの動きがあるから」と言ってくれるのですが、プレートが動くから地面が動く、というのは間違いです
(プレート≒地面、ですから、言い換えになってしまっています)
そこで最初に、地面が動くとはどういうことか、確認させていきましょう。

地面とは「プレート」のことを一般的に指します。
勘違いしないでいただきたいのは、地殻=プレートではない、ということです。

地殻:天体の表層部分を指す
プレート:地球の表面を覆う、十数枚の岩盤のこと。地殻とマントルの最上部を併せて呼称する

プレートは、マントルの対流により年に数mm~数cmの速さで移動します。
これをプレートテクトニクスと呼び、地層を動かす最大の要因となっています。
なお、ここで日本が地震大国である理由を説明するのもよいでしょう。

地球内部は大きく「薄い地殻(5-50km)」「マントル(2900km)」「核(3470km)」に分けることができます。
このイメージを伝えるときに、よく私は「卵の殻・白身・黄身のような感じだよ!」と話しています。こうすると生徒も簡単に理解してくれますので、ぜひご活用くださいね。

地層の重なり方と変形の理由を考えさせる

次に教えるのは「地層の重なりと変形の理由」です。
キーワードから、気を付けなければならないポイントを考えていきましょう。

整合・不整合

地層の重なり方には、まず整合と不整合の2種類に分けられます。
整合は原則、海の中で土砂が堆積することで生まれていきます。
それに対し不整合は、一度地面が隆起して陸地となり、風化・侵食作用を受けることにより生まれます。
受験対策上、生徒には「表面がうねうねしている図を見たら、不整合だよ!」と伝えてしまっていいでしょう。
なお、不整合・整合のある面を、それぞれ「不整合面」「整合面」と呼びます。
不整合・整合は地層の積み重なり方を指し示す言葉ですから、使い分けが必要です。
空所補充でよく出題されますから、注意を促しておきましょう。

断層

地盤のずれを断層と呼びます。
この断層には大きく分けて3種類の区別があります。
(正)断層  …引っ張る力により、断層面の上側の地層がずれ落ちた現象
逆断層   …押す力により、断層面の上側の地層がずり上がる現象
横ずれ断層 …引っ張られる・押される力により、地層が水平方向にずれる現象
※先ほどと同様、ずれ落ちた・ずり上がる面のことを「断層面」と呼ぶことに注意してください。

ここで必ず問われるのが「正断層と逆断層を見分けよ」という問題。
残念ながら多くの生徒は、ここでイメージすることができずにつまずいてしまいます。
そこで、私が考えた、とっておきの覚え方があります。

正断層は断層面とずれた面の角度が「鈍角(90度以上)」になります。
ですから、まるで滑り台のように見えるわけです。
そこで、「せーの(正)!ですべる、滑り台」と覚えさせます。
また、逆断層は断層面とずれた面の角度が「鋭角(90度未満)」になります。
これをずり上がった層の上から見ると、崖のようになることがわかります。
そこで、「ぎゃー(逆)と落ちちゃう逆断層」と覚えさせます。

もちろん、真顔でこのような話はしないように。
いっぱい盛り上げながら、楽しく覚えさせてくださいね。

しゅう曲

地層が左右からの強い力を受けて、波を打ったように曲がってしまっているものを指します。
盛り上がった場所を「背斜」、沈んだ箇所を「向斜」と言い、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈など、しゅう曲が進行してできた山脈を、しゅう曲山脈と呼びます。

さて、ここで生徒からこのような疑問が出てきたとします。
「先生、しゅう曲と逆断層は何が違うの?両方とも左右から押されてできるんだよね?」
非常に鋭い質問ですね。
お読みいただいている皆様は、この理由をご存知でしょうか?
ぜひ考えてから、答えを見てください。(答えは最後尾にあります)

隆起・沈降

海面に対して土地が高くなることを隆起、土地が低くなることを沈降と呼びます。
隆起が繰り返されることで海岸段丘や河岸段丘が生まれ、沈降が繰り返されることでリアス式海岸やおぼれ谷が生まれます。いずれも、特徴的な地形です。
時間が余った場合、社会の授業で習っているはずなので、具体的な地名を復習させるとよいでしょう。

地面の逆転は2つの可能性で起こる

ここで、入試問題によくある「地層の順番問題の考え方」について扱っておきましょう。
地層は通常、「整合」で積み重なっていきます。
ですが、整合だけでは問題として成立しないので、あえて特徴的な地形を選んで、問題は作られます。
逆の言い方をすると、特殊なパターンには決まりがありますので、以下のように押さえて指導すると、効果的です。

 1、隆起すると、不整合面が発生する

ぎざぎざの層=不整合面、は見た瞬間にわかるようにしましょう。
そのうえで、不整合面がある→隆起した、と瞬時に考えるように伝えてください。

2、沈降することで、再び整合面に戻る

不整合面が真ん中あたりにしか存在しない場合、一度隆起したのち、再び沈降したということになります。
なお、不整合面が地層中に1つあった場合、地表に出た回数は2回になります。
(一度隆起したとき+現在の地表面)
このことを忘れる生徒が多いので、確実に伝えましょう。

3、断層やしゅう曲が起こり、地層が曲がることがある

どの地点まで断層・しゅう曲が起こっているのかを考えさせましょう。
仮にすべての層にわたって影響しているのなら、地層のずれが最後に起こったことがわかります。そうではなく、途中の層までしか影響していない場合は、それ以降に積もった層のほうが、地層のずれより後に発生したことがわかります。
くれぐれも曲がっている地層を見て、生徒が考えるのをあきらめないように指導してくださいね。
(多くの生徒が、ここでつまづきます!)

4、噴火活動などが起こることで、層をまたいで火成岩の層が生まれる

噴火活動が起こると、マグマが一気に上昇するため、層をまたいだ形で火成岩が作られます。
これも3と同様、どの地点まで層をまたいでいるのかを確認させてから、問題を解かせるようにしましょう。

地層を調べる方法を知る

最後に、地層を調べる方法を扱いましょう。
地層は、切り立ったがけでもない限り、層状に見ることはできません。
そこで、地層を確認するため「ボーリング調査」を実施します。

ボーリング調査とは、地層の調査、土の採取、各種試験を行うための掘ることを指します。
地面に向かって、直径は約40mm程度の穴を掘ることで、層の厚みや種類を分析することができます。
問題では特に「地層の傾き」について質問されることが多い分野になります。
なお、具体的な解き方の指導法は、別記事に詳しく記載いたします。


次回は「地震」について、扱ってまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

まとめ

地層が動く原因は、マントルの対流で説明するとよい

正断層と逆断層の違い、逆断層としゅう曲の違いはしっかり説明する

地層の逆転で今までのおさらいをしながら、問題演習を行うとよい

 

(答)しゅう曲と断層の違い
いずれも左右から押されることで、地面が曲がる、という点は同じです。
違いは、地盤の固さによって生じることがわかっています。
地盤がやわらかい状態だと比較的柔軟に曲がることができるため、しゅう曲になります。
対して、既に固まっている場合は、ひび割れが起こり、逆断層になります。
生徒には「年を取ると体が硬くなるのと同じだよ!」と伝えるとわかりやすいでしょう。
また、同じ地盤でも上部は圧力が弱く、年数が浅いためにしゅう曲し、下部が逆断層になるケースもあるようです。

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