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理科の最強指導法16 -植物編ー 「葉のつくり」

小学生

2021/12/17

頻出!葉のつくりの教え方とは?

講師の皆様こんにちは!
今回は前回に続き、「葉のつくりと役割」についてお伝えしていきます。

参考
花のつくり:http://www.juku.st/info/entry/1188
根・茎のつくり:http://www.juku.st/info/entry/1236

特に生徒がやってしまう失敗例

葉のつくりをしっかり覚えていない

単なる暗記しかできておらず、その役割を理解していない

葉のつくり・役割は、植物を勉強するうえで必須の部分になります。
難関校になると、知識を前提とした実験考察問題がよく出題されますから、講師は短い時間で効率よく、網羅的に教えることを意識しましょう。

前回同様、一部はストーリー仕立てで仕上げられるよう、授業の工夫をお伝えします。
ぜひこの本稿を読んで、生徒が楽しくわかりやすい授業に仕上げましょう!
(ストーリー部分は緑色で囲みを付けました。参考にしてみてください)

授業でのポイント・伝えるテクニック

葉のつくり

葉の基本的なつくり

葉は葉身・葉柄(ようへい)・托葉(たくよう)からなり、これらが全てそろっている葉を完全葉と呼びます。

葉身…緑の平らな部分で、光合成や蒸散を行う部分
葉柄…葉身を支え、茎につく部分
托葉…葉柄のつけねにある、小さな葉状の部分

受験対策で重要なのは「葉脈」です。

葉脈は光合成でつくられた養分や、根から吸収された水の通り道となっています。
双子葉類では網の目のようになっているため網状脈と呼ばれ、単子葉類では平行になっているため平行脈と呼ばれます。(※イチョウなど、一部には叉状脈もありますが、割愛してよいでしょう)

葉の内部構造

では、続いて内部構造を見ていきましょう。
注意して教えて頂きたい点は「孔辺細胞(気孔)」「柵状組織・海綿状組織」の2点になります。

孔辺細胞は葉の裏側に多く存在しており、一対で気孔を形成します。(三日月のような形をしていることが特徴です)
気孔とは、気体の出入りを行う場所のことで、呼吸・光合成に重要な役割を果たしています。
核と葉緑体が必ず含まれていることに注意して教えましょう。
※コムギやヒツジグサなど、葉の表側のほうが気孔の数が多い植物も一部存在します。

葉の内部構造は、柵状組織と海綿状組織に大きく分けることができます。
柵状組織は葉の表側に位置しており、細胞が規則正しく並んでいることが特徴です。
海綿状組織は葉の裏側に位置しており、細胞が隙間を作っています。(スポンジ状、というと分かりやすいでしょう)

柵状組織は密なのに、海綿状組織はすかすかである理由
ここで疑問なのは、どうして植物は葉肉を二重構造にしたのか、ということです。
(二重構造にする手間を考えれば、理由が必ずある!と考えられるように、生徒を導いていきましょう)

その答えは“効率性”の追及にあります。
実は、柵状組織はぎっしり葉緑体をしきつめることで、高効率な光合成を可能としています。
生徒には“ソーラーパネルをばらばらに敷き詰めるのと、整然と敷き詰めるの、どっちが効率いい?”と聞いてみるとよいでしょう。
それに対し海綿状組織はすかすかで、物質の移動がしやすくなっています。
ですから、気孔も裏側に多いわけですね(物質の出入りをする場所は裏に集中させると、効率が上がります)

では、更に3つほど、授業で効果的な問いをお伝えします。
まずはご自身で考えてから、生徒にも問いかけてみてくださいね。
(解答は一番下にあります)
・葉の向きはどうやって見分けることができるのか
・なぜ道管が上になり、師管が下になるのか
・でんぷんは粒が大きく、物質移動がしづらい。これを解決する方法を考えよ。

葉のつくり(発展)

ここまでで教科書的な知識は終わりとなりますが、これだけでは不十分です。
なぜなら難関校では、ありきたりな知識問題は出題されないためです。
そこで、いくつか発展的な話を取り上げます。
授業で用いることにより、生徒の興味・関心を高めることができますので、ぜひ活用してみてくださいね。

葉が緑色である理由

どうして葉は緑色に見えるのでしょうか。
これは、葉緑体の中に含まれている葉緑素(クロロフィル)の性質によるものです。
光(物理分野)で詳しく取り上げる部分ですが、人間の目に見える色は、物質がその色を反射することで認識することができます。
植物の場合、赤色と青色の光は吸収して光合成に用いますが、緑色は使われずに反射されます。
そのため、緑色に見えるのです。

特殊な形状になった葉

環境に応じて、葉も様々な形に変化します。
代表的なものが“サボテン”。
サボテンのとげは、葉が変形してできたものになります。
単に外敵に食べられることを防ぐだけではなく、とげがあることで日差しを散乱させ、表面温度を下げることに役立っているといわれています。
他にも食虫植物(ウツボカズラやハエジゴクなど)の葉は、補虫葉(ほちゅうよう)となり、虫を捕えて消化・吸収する力を持っています。

なお、タマネギが葉でできていることは前に説明しましたが、これも特殊な形状になった葉のひとつです。
包丁で切った時に涙が出てしまうのは、養分がたくさん蓄えられているから。
その成分である硫化アリルが目にかかり、反応してしまうのです。
(ここから、生徒に“どうすれば玉ねぎを切っても目が痛くならないのか?”と考えさせても面白いでしょう)


葉は厚い方がいいの?薄い方がいいの?

植物によって、葉肉とよばれる部分の厚みは様々ですよね。
ゴムの木やサボテンであれば、ものすごく厚く発達する姿を見ることができます。
厚いことのメリットは、光合成できる量が増えることに加え、頑丈になることです。
また、養分を葉そのものに蓄えることも可能になります。

ただし薄い葉にもメリットが全くないわけではありません。
それは維持エネルギーが少なくて済むこと(光補償点が低くできること)と、動物に狙われにくくなることです。

なお、これらを使い分けている植物もあります。(シイなど)
日光がよく当たる場所では、陽葉(ようよう)と呼ばれる、葉肉が厚く、光合成や呼吸の速度が大きい葉をつくります。
対して、木の内側など日が当たりにくい場所では、陰葉(いんよう)と呼ばれる、葉肉を薄くした葉をつくります。

次回はいよいよ、植物最頻出の光合成について扱っていきます。
ぜひお見逃しなく!

まとめ

葉の基礎知識(テキストに掲載されているもの)は最低限暗記してもらう

植物の葉をテーマに、考える訓練を行うとよい


(答え)
・葉の向きはどうやって見分けることができるのか
 葉の表がどちらか、を見分ける方法は3つあります。
 1つは気孔の有無、もう1つは表皮がテカテカしているか(クチクラ層が厚い為)
 そして、断面図があれば柵状組織が上にあるものが表となります。

・なぜ道管が上になり、師管が下になるのか
茎で習った、維管束のつくりを思い出してください。
必ず内側に道管がありましたよね。
それから、下図のように考えていくと、師管は必ず下にくることがわかります。


(これは赤・青チョークを使って、実際に立体的に見せることで生徒の理解が促進されます)
だから海綿状組織・気孔は下なんだね!と再確認させながら、授業をすすめましょう。

・でんぷんは粒が大きく、物質移動がしづらい。これを解決する方法を考えよ。
動物(人体)で消化を扱うと、でんぷんは粒が大きく、移動には大変不向きであることがわかります。
そこで、植物は夜になるとでんぷんを糖に変えて貯蓄場所(根や地下茎)に移動させる性質があります。
一度移動したあとは、再びでんぷんに戻して養分を蓄えています。

このことは、以下の実験でも確かめることができます。
夕方に段ボールなどをかぶせる

次の日の朝に葉を摘み取り、アルコールで脱色する

ヨウ素でんぷん反応を試してみても、変化しない。

なお、この際に生徒には比較対象実験として何が必要か、考えさせるとよいでしょう。
(答えは、夜中にずっとライトを浴びせた葉を用意して、同様の実験を行えばよいことになります)

 

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