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週休2日を達成させる、プロ講師の働き方【キャリアコラム #8】

週休2日を達成させる、プロ講師の働き方

こんにちは。ライターの黒磯直行です。

急に寒暖の差が激しくなってきましたね。先生という声を使う仕事なので、この時期は特に風邪などには注意して過ごしています。みなさんも、ぜひご自愛ください。

 


黒磯 直行 くろいそ なおゆき

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。


 

目次
フリーランスは「自由」か「孤独」か・・・
どのようにして週休2日を確保したのか
最初から想定通りにはいかない(かもしれない)
経験が未来を創る

 

フリーランスは「自由」か「孤独」か・・・

さて、プロ講師は一種の個人事業主、つまり自営業と同じくくりであることがほとんどです。

当然、何をして稼ぐのか、いつ・どれくらい働くのか、休みはどのように設定するのか、などは個人の裁量に任されることになります。

このように、会社の都合ではなく自分の意向で仕事量を調整したり、休暇を取ったりすることができるのはフリーランスの特権です。

とはいっても、この業界の場合、自分で塾を経営するのでなければ、相手(企業や学校)と契約を結ぶことになりますので、先方の意向をくみ取りながら業務を遂行することになります。

しかも、立場的には、こちらの方が「下請」です。特に独立した初期の頃には、先方の打診を最大限受け入れる必要があります。そうしないと、仕事の発注がもらいにくくなってしまう、また最悪の場合、仕事の発注がなくなってしまうリスクさえあるのです。

そんな業態なわけですが、私の場合、学習塾講師と私立学校講師の2つをメインに、週休2日を確保するよう業務を調整しています。現在は、火曜日と水曜日が完全にオフです


ただ、フリーランスに転身して早10年、この週休2日を確保できるようになったのは、ここ4年ほどです。それより前は、なかなか決まった休みを確保することはできませんでした。

 

どのようにして週休2日を確保したのか 

これができるようになったのには、いくつか要素があると思っています。

1. 単価(給与・コマ給・手当・賞与など)が上昇した

これが1番大きな要因だと思っています。

単価が上昇すれば、仕事をする時間自体が減っても同じだけ収入を確保することができます。また、仕事量を減らさないのであれば、同じ時間でより多くの収入を得ることができる、と考えることもできます。

私の場合、もともと早稲田アカデミーで社員として講師、管理職含めて一線での経験を積んでいたこともあり、市場での評価は高い方であったとは思います。

しかしながら、新たな塾でフリーランスの講師としてのキャリアをスタートさせた当初は、やはり満足のいく単価ではありませんでした。しかも、初期はもう既に埋まっている担当講師の間を埋める要因でしかないので、すぐにはたくさんコマをもらえるわけでもありません。

また、学校においても、初めて着任した際には年齢が幾つであれ経験年数が0であれば、最低の単価からのスタートです。

単価が高くない+コマ数が少ない=お金にならない=生活が苦しい、ということになります。

そうすると、他の塾や教育機関での仕事をさらにいくつか掛け持つ必要がありました

私は、一番多い時で5つの会社の仕事を掛け持っていました。それでようやく会社員時代+αの収入が確保できたという感じです。

当時の実際の働き方

例として独立3年目。当時のある年の手帳を見返してみると、週休0日…

何でも受けていたので、午前中に学校に出講して、その足で午後松戸で課外授業を担当、それが終わったら新宿で塾の授業、なんていう働き方でした。

それでも、学校12コマ/週、それ以外の業務(塾1、塾2、私立学校の課外授業講師、専門学校の講義)を合わせて16時間ほどでした。

単価がまだ高くなく、時間数も少ない、しかも、移動時間も含めると、なんとも効率の悪い稼ぎ方ではありましたが、これでも仕事を頂けるだけ大変ありがたかったです。

なので、とにかくスケジューリングが大変でした

特に私の場合、会社員を辞めた当時は教員免許状を持っていませんでしたので、学校での業務という選択肢がなかったので、なおさら苦労しました(免許状を得たのは、退職から3年後です)。

現在はどうか?

その後、時間をかけて実績を積み、会社の信用を得ながら、毎年担当コマと単価を増やし、仕事の選定をしつつ、今は、塾は1社で週に10コマ20時間程度学校が14~16時間程度実労は40時間行かないくらいで抑えることができています。

もちろん、これに加えて、時期に応じて付随業務や、他者からの委託業務(模試の作問やテキスト編纂など)をこなしています。ただこれらは、自分の時間の使い方に応じて受注する・しないを判断しています。

 

2.業務の効率化が図れるようになった(自分のスキルが上がった/経験のストックができた)

慣れないうちは時間がかかる

授業準備や経理計算など、初期には非常に時間がかかります。慣れるまでにある程度時間が必要であるためです

また、急に依頼される付随業務も、上述の通り時間が窮屈でしたので結局そのしわ寄せは「休もうと思っていた日」になだれ込みます(そもそも休みがなかった時期もあったわけですか…)。

さらに、中間期末試験の作成や採点なども、慣れない間は何枚でどれくらいかかるのか検討を付けることもできませんでした。見込みが甘く、思ったよりも大幅にかかってしまった、なんていう経験は多くの講師の方々が経験したことがあるのではないでしょうか。 

経験を積むことで「見込み」が立つようになる

現在では、どの業務にどれくらい時間がかかるのか、また、どの時期にどんな付随業務がどれくらい必要なのかをある程度は予測しながら業務を遂行することができるようになっています

これは、先述の経験なしには会得できなかったですし、今では定期試験の作問なども効率よく採点できるように設問を工夫したり、解答用紙の構成を変えたりしてさらなる工夫を凝らしています。

このように、仕事の効率化を図ることができ、仕事をする日と、お休みをする日をしっかりと分けることができるようになりました

また、その効率化で空白になった時間に新たな仕事をスタートさせることも可能となったのです。例えば、こういった記事コンテンツの寄稿ができるのもまさに賜物だと考えます。その結果、収入もさらに増加していくということにもつながっていきます

 

3.勤務先にある程度信用を与えられるようになり、わがままが(多少)言えるようになった

特に、単価の交渉と年度初めのコマの設定に関して、非常に有利になったと感じています。

(特に塾では)担当が固定化してくる→塾側の反応は???

さきほどもお話しましたが、時間をかけて先方に対して実績と信用を積み上げることによって、ある程度の固定コマ」と呼べるような提示をもらえるようになりました

たとえば、「●●校の中3××コースの英語は、毎年黒磯が担当してるよね」という状況になってきた、ということです。

(余談ですが、塾にて私は中3最上位クラスを6年ほど連続して担当しているのですが、中2の生徒の中には、「中3になったら、黒磯の授業を受けられるように頑張ろう!」と思ってくれている子もいるようです(笑)。ありがたいことです。それくらい、定着してくるということですね。)

このように固定化してくると他の先生をあてがうことを想定しませんから、少しわがままも言えるようになるんですね。

「この曜日の出勤は別の曜日にできないか」

「今年はどうしても●●コマで抑えたい/●●コマ以上は欲しい」

「この曜日はどうしても出勤できない」

などなど。

もちろん、わがままを言いすぎれば「使いにくい人」に成り下がりますから、当然信用も得ることができません。頂いた業務を相手の意向通りにこなしていく、というのが基本になりますが、実績を積んでいくことで、少し自分に有利に業務を組み替えることも可能となりました

 

最初から想定通りにはいかない(かもしれない)

このように、現在では業務を整理しながら、(時折例外はありますが)完全週休2日を達成しています

今では、学校・塾合わせて週40時間弱の固定業務+アルファで、会社員時代の同期を超える収入を得ることができています。

しかし、当初はそんなことはありませんでした。単価の低い業務をに60時間こなした時期もありましたし、仕事を思うように得られずに貯金を切り崩した月もありました。

また、先述のとおり、私の場合は独立の時点では教員免許がありませんでした。最初の2年間、これの取得のための勉強も併せて行っていましたので、学費も含めてなおさら工面が大変でした。

さらには、多少軌道に乗り始めた7年目には、勤務する学校を変更しなくてはならないという事態にもなりましたし、前途多難ではあったと感じています。

好きこそものの上手なれ!自分の人生を自分でつかむ!

では、この時間は無駄だったのか、と言われれば、答えは当然"NO"です

この経験があったからこそ今の自分があると確信しています。

32歳で会社員を辞め、現在41歳ですが、今の状況になるのに6年ほどかかってしまいました。これが長いのか短いのかはわかりませんが、私にとってはどの時期も有意義であったと自負しています。

これができたのは、ひとえに「この仕事が好きだから」「この仕事が自分の天職だ」と思うことができているからだと思っています。過去も現在も、この気持ちは変わっていません。

先日、品川駅の構内に「今日の仕事は楽しみですか?」という文言を記載した公告が話題となり、批判の対象となりました。一定の理解はできますが、私は正直「なんで??」と不思議でなりません。

もし、私にこの質問が投げかけられたとしたら、「うん!楽しみ!」と笑顔で答えるからです。

この業界に限らず、最初から全てが思い通りに進むことは、かなりの奇跡だと思います。特に、独立当初は、池末先生の記事にもあるように、場数を踏んでいくことは非常に重要です。必要なことを少しずつ積み上げて、自分の目指す形にできるように、常に見せ方と工夫をしてほしいと思います。

私もまだまだ道半ば。ただ、崩れない程度に基盤は作ることができました。

ここから、次のステップへ進むことを模索しています(具体的にはまだ言えませんが(笑)。お話できる時が来たら、共有させていただきたいと思っています。)

 

経験が未来を創る

最後に、子供たちにも良く話すのですが、私の好きなスティーブ・ジョブズの言葉を紹介します。

You can't connect the dogs looking foreward; you can only connect then looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. - Steve Jobs


「将来を見据えて点を結ぶことはできない。後から繋ぐことしかできないのです。だから、未来のどこかでその点がつながっていくことを信じるのです。」(訳:私)

  

今回は、「休日の作り方」のようなお話から、自分の経験を綴る形になりましたね。

では、実際に私が1週間をどのように過ごしているのか。それは、また近い機会にお話ししたいと思います。

 

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黒磯 直行

記事執筆者:黒磯 直行

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー。退任後は、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。

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