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教員免許状なしで教員採用試験が受験可能!?社会人採用に大きな動き【キャリアコラム#30】

教員免許状なしで教員採用試験が受験可能!?社会人採用に大きな動き

こんにちは。プロ講師の黒磯直行です。

 


黒磯 直行 くろいそ なおゆき

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。


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学校では新学期が始まって約1カ月、塾では2カ月が過ぎようとしています。

この新学期、特に私が注意しているのは、「生徒の現状やニーズを正確に把握すること」です。

特に、前の学年から持ち上がりでない場合は把握には時間がかかるのですが、生徒個々人の現状の成績、科目の得手不得手、目指すもの(大学なのか専門学校なのか、志望校はどこか)、また、学校だと往来病や家庭などの問題点を知っておくことなど、かなり広範囲に渡ります。特に私は、黒板を使用する授業であれば色覚異常については知るようにしています(近年『色盲』という言葉は特に教育現場においては使用されなくなっています)。『青が見えづらい』など、結構ストレスになることが十分に想定されるからです。この色覚障害に限らず、不用意な言動で生徒たちを傷つけたりやる気を削ぐことのないよう、特に新学期は注意が必要だと考えています。

さて、私はこれまで、社会人が教員として学校教員として働くにはどういう過程を踏めばよいのか、また社会人が教員免許状を取得するためにどう行動したらよいのか、についてこのコラムを通じて発信してきました。(詳しくは、該当記事:『プロとしてどこで働くか?(キャリアコラム#2)』、また、『社会人が教員免許状を取るまで前篇(キャリアコラム#21)同後篇(キャリアコラム#22)』をぜひご覧ください。)

これらのコラムでもお話している通り、学校教員として教壇に立つには、基本的に普通免許状を取得していることが絶対条件です。

しかし、このたび東京都で、教員免許状がない社会人経験者であっても採用試験を受験することができることになりました

目次
教員免許がなくても学校教員採用試験が受けられる!
免許状がなくても、教壇に立てる日が来るのか?!
我々社会人経験者が教育に対してできること

 

 

教員免許がなくても学校教員採用試験が受けられる!

東京都で、教員免許がない社会人対象の採用試験が始まります

詳細は、令和4年3月25日に東京都教育委員会から出された東京都公立学校採用候補者選考実施要項を各自ご確認いただきたいと思いますが、東京都は「一般選考」の他に、「特例選考枠」を設けています(※下の『注意!』にも記載しますが東京都の特例選考は昭和58年4月1日以前に出生した方が対象となります

その、⑥社会人経験者の条件として以下のようになっています。

  • 民間企業、官公庁、国公私立学校等において、令和4年3月31日までに2年以上の勤務経験がある者

民間企業に2年間以上在籍した経験のある方を特別枠として採用するというものです。もちろん学習塾は民間企業ですから、これに該当します。さらに、正社員に限らず、アルバイト、パートとしての在籍でも可能です。時間講師等で塾で2年以上の勤務経験がある方であれば対象となります。

この選考自体は昨年度以前も行われていたものなのですが、本年度、『(1)選考対象者及び募集内容』に以下のような文言が加わりました

  • なお、特例選考⑥については、必要な免許状を2年以内で取得できる見込みの者も受験可能です。

つまり、現状で免許状を保持していなくても、以前コラムでお話した手法で教員免許状の取得を目指している途中の方に受験資格が与えられたということです。(場合によっては、実際にまだ取得のために動いてない方も、これから取得を予定している場合には対象になるケースがあるかもしれません。個々の事情に寄りますので、各自ご確認ください。)

※注意!
ただし、この条件に当てはまる方でも、昭和58年4月2日以降に出征した方は対象外で、現状に倣って一般枠での受験になります。一般枠なので、免許状を取得済みか令和5年3月までに取得見込みでないと受験資格はありませんので注意してください。

ただ、どうやら合格した場合にすぐに教員として採用されるわけではなく、免許を取得するまで採用候補者名簿登録の期間を最大2年間延期できるというもののようです(要申請)。

つまり、免許を取得してから採用試験を受けるのではなくて、免許状の取得を目指している段階で採用候補者として合格しておき、免許状を取得したらそのまま東京都で先生になる、という制度ということになります。

やはり、免許状がない段階では教壇には立つことができないということですね。 

文部科学省から「特別通知」~特別免許状の活用を促す流れに~

しかし!!!

4月終盤になって、文部科学省が各都道府県に対し『特別通知』を出したことが明らかになり、新聞をはじめとする各メディアが一斉に報道しました。目にされた方も多いのではないでしょうか。

通知の内容としては、『特別免許制度を活用し、免許状がなくても知識や経験がある社会人を積極的に採用することを促す』というものです。

この通知は、文科省の調査で令和4年度始業式時点において、全国で2558人の教員が本来必要とされている数より不足しており、今後も厳しい教員不足が予想されるということが明らかになったことを受けたものです。

特別免許状とは

教員免許状には、3つの種類が存在します。

  1. 普通免許状
  2. 臨時免許状
  3. 特別免許状

「1.普通免許状」は、大学をはじめとする教員養成機関にて必要単位を重ね取得する免許状で、通常「教員免許状」とはこの普通免許状を指します。日本のほぼ全ての教職員がこの資格を持ち合わせています。詳しい制度については、以前の私の記事をご覧ください。もちろん、私も中学と高校の1種普通免許状(英語)の保持者です。自らが各都道府県に申請して取得します。

「2.の臨時免許状」は、何らかの事情で一時的に教員が不足した場合、すでに普通免許状を保持している教員に別の教科の担当をさせざるを得ない場合に発行される免許状です。

例えば、情報科に欠員が生じてしまい新規に採用できない場合などに、同じ学校に在籍している数学の免許状を持っている先生を情報科の教員として担当させる場合に臨時的にその教員に対して発行されます。かなり限定的な運用がされるもので、効力も「発行した都道府県内のみ、かつ3年以内」となります。申請は個人ではできず、学校から申請がなされます。

そして、今回話題になっている「3.特別免許状」ですが、教員免許がなくても知識や経験のある社会人を教員として採用できる制度で、従来は、博士号を取得した人や国際的なコンクールで実績がある人などを教員として採用する場合に発行される免許状です。この特別免許状も、申請者は個人ではなく採用する学校や自治体になります。

この、特別免許状を積極的に活用して不足した人員を埋めるという政策を、文部科学省が各都道府県教育委員会に通知ししたということです。教員としての資質、知識、適性の基準は各都道府県の判断に委ねること、研修をなどを積極的に実施することも通知に盛り込まれています。

 

 免許状がなくても、教壇に立てる日が来るのか?!

ここからは私見です。

東京都が、教員免許状を持たないが採用試験を経て名簿への登録を認める(つまり合格を与えた)ということにどんな意味があるのでしょうか。

ひとつは、免許状を取得した後に採用対象となることを先に決めておくことで、将来の人員を早期段階で確保するということでしょう。

そして、もうひとつ。私は、この採用予定者へ必要に応じて特別免許状を付与するということは十分にあり得ると思っています。フルタイムの採用なのか、非常勤講師としての採用なのかはケースバイケースだとは思いますが、少なくとも、この不足した教員の穴を埋めることを想定した採用形態であると私は考えています。

いずれにしても、社会人から教員になることへの間口が広がったことは間違いありません。まだ他の都府県では東京都と同じように免許状を保持しない者への採用は見受けられませんが、今後広がっていくことはあり得る展開だと思います。

 

我々社会人経験者が教育に対してできること

教育を施された生徒や学生が社会に出た際には、大小の差はあれど民間企業に就職していくケースがほとんどです。そんな彼らに対し、自分の社会人としての、また会社員としての経験をリアリティをもって社会に還元することができるのはそれを経験した人間です。

社会人経験者として教員を目指すのも、ひとつの選択肢になりつつあります。ぜひ、ご自身のキャリア形成の候補として考えてみるのもよいかと思います。

※他の自治体でも、社会人採用枠というのは存在している場合がほとんどです。多くの場合、免許状を既に保持しているか取得見込みであることが条件となっていますが、もし興味があるようでしたら、ご自身の近隣の教育委員会もぜひ調べてみることをお勧めします。試験の一部免除など、自分に有利な条件での受験ができる場合があるかも知れません。

 

 

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黒磯 直行

記事執筆者:黒磯 直行

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー。退任後は、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。

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