一風変わったプロ講師の小技5選【キャリアコラム#50】
この記事では、普通のプロ講師と一線を画すためにやっている小技を7つご紹介します。
あくまで基本的なことができた上でのテクニカルな話ではありますが、一定のレベルを超えてくるとこういった小技を身につけていかなければさらなる高みには登りにくいと考えています。
私自身が実践してきた中で感じたことをつらつらと示していきたいと思います。
池末 翔太 いけすえ しょうた
高予備校で物理・数学を教えるプロ講師。大学在学中にブログを開設。出版社の目にとまり、そのまま書籍化を実現。他にも、勉強法・受験メンタル・物理・数学などに関する書籍を計7冊を出版しており、若くして講師職以外にも活躍の場を広げている。生徒目線で「自分の授業を受けたいと思うか?知的好奇心が満たされるか?」を常に考えた授業スタイル。
目次
・自分のキャラを立てる
・声の高さ・低さ
・服装
・字のフォント
・日常生活とのリンク
・他者と違うからこそキャラが立つ
自分のキャラを立てる
講師として「キャラ立て」は非常に重要です。私自身は今年33歳になりますが、「大学生講師」としてアルバイトしていた頃は、スクールIEや国大セミナーなど合計4つの塾で授業をしていましたが、そこではいわゆる「年の近いお兄さん講師」として、小学生や中学生に指導していました。「素の自分」ではなくあくまでも生徒と年齢の近い「お兄さん講師としてのキャラ」が、彼らの指導にとってプラスに働くからと考えたからです。
特に「個別指導形態」は、そのような割と生徒に近しい「お兄さん・お年さんキャラ」のほうが生徒の成績アップに繋がるのは一般的であろうし、私の経験上もそう感じます。
しかし、「集団授業」となると話はわかります。とくに「大学受験予備校」や「難関高校入試や難関中学」を目指す塾・予備校では「スパルタ」とまではいかなくても「甘やかすことなく、手加減なく、厳格な講師」を生徒にも保護者にも求められます。でないと、「本人たち」のためにならないからです。
つまり、勤務塾の方針が「補習塾」なのか「受験塾」なのかで要求される「講師像」はガラッと変わるのです。「講師」はある意味「役者」です。(これは以前「講師たるもの5者たれ」でも説明しました)
いまの自分は「どんな講師キャラ」なのかをハッキリさせることは非常に重要になります。特に非常勤講師は曜日によって勤務塾が変わる事が多いので曜日によって「キャラ変」して出勤することになる方も多いでしょう。
かくいう私もそうです。「今日は難関クラスだから、このキャラでいこう」「今日は高2クラスだから、やや優しめキャラでいこう」と考えて、授業に臨んでいます。
声の高さ・低さ
声の「高さ・低さ」は、生まれ持った才能だと思います。しかし、ある程度は自分でもコントロールできますよね。同じフレーズは「高い声」で3回くらい話すとリズムにのって覚えやすくなりますし、重要単語などはじっくりとゆっくりめに「低い声」で話すと印象に残ります。
自分の声は中々、ハッキリとは把握できないので動画で一度、自分の授業を撮って自分の声の特徴を認識することは非常に今後の指導に役立つでしょう。自分の口癖にも気づきますしね。
服装
塾・予備校では「(特に男性は)服装はスーツで」という職場と、「服装は自由で結構」という職場があります。経験上、小中高生向けの塾や学内予備校ではスーツが、大学受験予備校では服装自由が多いようです。
私自身は、現在は主に大学受験予備校で指導しているので、職場での服装は自由なところが多いのですが、たまにスーツで授業もします。これも1つの「キャラ」を意識してのことです。普段、私服で授業している講師がたまにスーツで授業しにいきたら、「あれ、今日の授業は大事な単元?」と生徒が思うかな、という魂胆があるわけです。実際には、ただ気分で私服、スーツと分けているのですが。
しかし、「私服で授業をしていい」というのは学校の教員にはない特権のようなものなので「キャラ立ち」の一端を担うのは事実でしょう。
字のフォント
「字のフォント」も、その講師の「キャラ」を表す「商品」の1つでしょう。私はマイチョークも持っていますし、マイホワイトボードマーカーも持っています。そして家にホワイトボードやクリーナーも設置しています。
そこで自分自身の「字のフォント」を定期的にチェックして自分なりの「字」を確認しています。決してきれいとは言い難いかもしれませんが、「生徒の記憶に残る字」であれば、それは「講師としての字」として成功なのです。
日常生活とのリンク
「教科書」に載っている内容だけを説明していると中々、生徒は「つまらない」と感じるようなので、今学んでいる内容が実生活の中でどこに利用されているのかをたまに説明すると生徒の目はぐっと板書に集中します。
私は、主に「物理」を教えているので、例えば「なぜ紫外線は日焼けするのに、赤外線は日焼けしないのか」、「野球のボールの速度を測るスピードガンには、実はドップラー効果が使われている」「IHヒーターでなぜ温度が上がるのか」「送電線に止まった鳥はなぜ感電しないのか」「3D映画を見るときはなぜメガネをかけるのか」「ヘリウムガスを吸うとなぜ声が高くなるのか」などなど。
このような日常に現れる「物理現象」を合わせて説明することで、生徒の集中力や理解度が深まるのです。
他者と違うからこそキャラが立つ
このような「小技」が蓄積することで最終的には、大きな「講師力」となり、頭1つ抜きん出る講師になれるのです。あの有名な講師たちも、小さな小技の積み重ねで今があると思っています。
冒頭でも伝えましたが、前提となる指導力や人間力があった上でのキャラづくりになるため、キャラばかりが先行すると悪目立ちにしかならない点にも注意しながら自己研鑽していきましょう。
ご参考になりましたら幸いです。また、別の記事でお会いいたしましょう。
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