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新しい職場に入社するときに気をつけたいこと(後編)【キャリアコラム#66】

本記事は「新しい職場に入社するときに気をつけたいこと(前編)」の続編となります。
前編をまだお読みではない方は是非こちらからご覧ください。

こんにちは。プロ講師の黒磯直行です。


黒磯 直行 くろいそ なおゆき

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。


今回は、前回から引き続き「新しい職場で注意すること」と題し、その3「正社員・個人事業主~転職・退職編~」、その4「成功するための「新しい職場」での過ごし方」をお話して参ります。

前回記事はこちら

 目次
その3:正社員・個人事業主 ~転職・退職編~
その4:成功するための「新しい職場」での過ごし方・心構え
最後に 

 

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その3:正社員・個人事業主 〜転職・退職編〜

新卒入社のように、前職がない場合にはあまり気にすることはないのですが、現職を退職して新たな職場へと転職していく場合、いくつか注意しなくてはならない事柄があります。しかも、知らなかったことによるトラブルや要らぬ負担を発生させてしまったり、懐事情を圧迫するような金銭的な打撃の可能性さえもあり得ます。しっかりと理解して活動を進めて頂きたいと思います。 

退職とは

そもそも論なのですが、退職は何を指すのでしょうか。

意外なのですが、実は労基法には退職に関する具体的な定義がありません。そのため、退職に関しては民法の規定が適用されます。

民法では、正社員・パート、アルバイト問わず、2週間前に会社に対して退職の申し出をすれば、自由に辞められることになっています。そのため、就業規則で「退職時は○カ月前までに申し出ること」と書かれていても、先述の民法の規定や憲法の職業選択の自由により、企業は退職を引きとめることは法律上できません。

しかしながら、円満な退職をすべく、ここはできる限り会社のルールに則って手続きを進めることをお勧めします。

また、退職は次の職場が決まってから申し出ることをお勧めします。時々、「自由に動くことができるように退職を先にした方がいいのではないか」と考える方がいるのですが、次が決まらなかった場合の生活や収入のことを考えると、転職先が決まらないうちに退職することは、全くメリットがありません。ご自身を守るためも、ぜひ留意いただきたいと思います。

円満に退職するために

退職の際に揉めないか心配、という方も多いのではないでしょうか。しかし、職場や職種を変えることは個人に与えられた権利であり、また、ステップアップにも必要である場合もあります。

私自身、正社員としては2度、非常勤や契約社員としては幾度となく退職や任期満了による離職を経験しましたが、注意していた点は以下の通りです。

退職の意思が固まったら、早めに上司に話す

本当の理由は言わなくてもよい

取引先や、担当顧客への挨拶など、業務の引き継ぎをする

お世話になった同僚や上司など、仲間への挨拶 

他にも上げれば切りがありませんが、退職事由が会社側の理不尽さでない限り、在籍していた会社に迷惑をかけないためにはどうしたらよいかを考えて行動していきましょう。 

退職時に会社から受け取るもの(正社員を想定)

退職時には、いくつか受け取るべき書類があります。後に転職先や役所での手続きの際に提出が求められる場合があるので、最低限以下の書類は確認してください。

  • 雇用保険
  • 被保険者証
  • 離職票
  • 源泉徴収票
  • 退職証明書
  • 年金手帳(会社に預けていた場合)
  • 健康保険資格喪失証明書(注)

人事や管理部門がしっかりと整っている企業であれば、大抵気にしなくても渡されるのですが、個人経営であったり中小企業などでは、請求しなくては出してもらえないなどのトラブルがありますので注意が必要です。

なお、課税対象にならない程度の収入であった場合の退職(アルバイトや時間講師など)には必ずしも全てが必要となるわけではありません。次に就職した会社の求めに応じて事後で請求してもよいかと思いますが、源泉徴収票は手元にあったほうがその後の手続きがスムーズです。

(注:健康保険資格喪失証明書に関しては、会社に発行義務がありません。会社が所属する各健康保険組会によって発行されるものです。特に、保険証が「全国健康保険組合(協会けんぽ)」の場合には、最寄りの年金事務所で発行手続きが必要です。)

次の仕事に就くまでに間が空く場合

退職日の次の日が新しい会社の入社日であればあまり問題にならないのですが、空白ができる場合やまだ次の仕事が決まっていない場合などには、いくつか手続きが必要なものがあります。

厚生年金から国民年金への切り替え(退職日から14日以内)

企業の健康保険から国民健康保険への切り替え(退職日から14日以内)、あるいは企業の健康保険を任意継続する(退職日から20日以内)

失業手当の申請(次の仕事が未定であり、受給を希望する場合)

住民税の手続き

上記がよく忘れられてしまう手続きです。これらの手続きをしないと、年金や健康保険料(保険税)が未納になってしまい、後で徴収の通知が来てびっくりする、なんてことになりかねません(当然、延滞金の上乗せもあり得ます)。その未納の間に病気や事故になってしまったらと考えると恐ろしいです。

 

ここで重要なのが住民税です。この住民税が結構厄介で、退職した後に財政を圧迫してくる要因となることが多々あります。退職時期によっては想定外の金額が税金として徴収される場合があります。

この住民税に関しては、次の就業までに1カ月以内であれば転職先で特別徴収を続けることができます。それ以上間が空く場合には、普通徴収か、退職する会社の最後の給与から、その年の分をまとめて天引きしてもらうかとどちらかになります。

特別徴収…1年分の住民税を12等分して、毎月の給与から天引きしていく制度です。会社が一旦住民税を預かり、会社が各自治体へ納税するシステムです。

普通徴収…自分で住民税を納める制度です。6月・8月・10月・1月に4分割で納税します。納付期限が決まっており、特別徴収のように自動で引き落とされませんので、納付忘れに注意が必要です。

毎年6月が住民税の年度初めに当たるため、1月1日~5月31日の間に退職日がある場合、退職する会社で一括徴収されます。仮に1月に退職したとすると、月々支払っていた住民税の5ヶ月分がいっぺんに最後の給与からなくなります。あてにしていた最後の給与がほとんど残っていない、なんてことにもなりかねません。しっかりと制度を理解して、こんなはずでは、とならないよう注意してください。

なお、6月1日以降の退職の場合には普通徴収となり自分で納税します。逆に会社が天引きしてくれないので、支払い忘れのないように注意してください。特に、次の仕事がまだ決まっていない場合、一時的に収入がなくなりますが、それでも税金の請求はやってきます。手元にはある程度蓄えが必要です

まとめ

実際の退職からその後の手続きまで、ざっとお話しました。

退職するだけでこんなに手続きが必要なのか、と思われた方も多いかも知れませんが、多くの場合自然と会社がやってくれるので、段取り良くすれば自らが動く場面は少ないかもしれません。手続き忘れは後々トラブルやダメージになりかねないので、スムーズに進めて頂ければと思います。

また、退職後私のようにフリーランスとして仕事をしたり、起業を目指すなどの場合には、役所や税務署とのやりとりは日常です。しっかりと勉強して理解し、自分に有利な(損をしない)行動を心がけましょう。

 

その4:成功するための「新しい職場」での過ごし方・心構え

新しい職場で不安や緊張の感じるのは当然!

私自身、フリーランスで様々仕事を請け負っているため、新しい職場で働くという機会は多いのです。

近年は安定した仕事をある程度決まった企業や学校から請け負うことが多いのでその点では助かっていますが、どんなに経験を重ねても新しい職場や取引先というのはいつも緊張しますし、相当気も遣います。転職経験者の実に8割の人が、転職後に1カ月以内に不安を感じたことがあるという調査もあるくらいです。

仮に、新しい職場で同じように緊張や不安を抱いたとしても、多くの転職者が経験しており、それは普通のことだと思います。その不安や緊張をマイナスに捉えることなく、上手く付き合って、早く馴染めるように心がけましょう。 

私が職場に馴染むために実践していること5選

この記事を執筆するにあたって、自分が新しい職場でうまくいった時の共通点を考えてみました。あまり意識したことはなかったのですが、おおむね以下の5つに集約されるということに気付きました。

コミュニケーションを大切にする

新しい職場で良好な関係を築くには、まずは接点を持ち「自分を知ってもらうこと」「相手を知ること」が重要です。

会話が増えると、自ずと打ち解けやすくなるので、やはりコミュニケーションは非常に重要です。これは、先生という立場から生徒を見た場合も同じです。持ち上がりはあれど毎年生徒は入れ替わるので、そこで生徒たちと打ち解けるのと、方法は同じです。

先生という「人対人」の仕事を選んだわけですので、「会話が苦手」とか「コミュニケーションが不得意」という方はあまり多くないかもしれません。もしそうなのであれば改善するように意識していく必要があると思います。それでも、「笑顔であいさつ」「顔と名前を覚えて名前で呼ぶ」「業務のホウ・レン・ソウをする」などは、今すぐできるコミュニケーションです。

当たり前のことを積み重ねていくことで信頼を得ることになりますし、「話しやすい人だ」という印象を周りに与えるようにもなります。

やってよかったこと

・あいさつ
・相手の名前を覚えて、名前で声をかける
・積極的に周囲の手伝いをする
・自分から声をかけ、顔を覚えてもらえた

わからないことは聞く

先述のコミュニケーションにもつながります。

新しい職場に赴いたばかりの時は、わからないことだらけなのは当然のことです。わからないことや不安なことは、必ず周りの同僚や上司に聞きましょう。わからないことを堂々と聞けるのは、この入社間もない時期の特徴だと思ってください。わからないことをそのままにしておくと、後々の仕事に支障が出ることもあります。

また、大切なのは一度教えてもらったことはしっかり自分に落とし込むことです。メモを取ったり復習したりして、学ぶ姿勢があることを見せるのも大切です。

やってよかったこと

・仕事に関して積極的に質問し、会話をするチャンスにつながった。
・自分なりに整理して、それが正しいか周りに確認した。

新しい職場のルール・情報をインプットする

これはとても重要です

特に前職がある方で、その前職のルールを基準に新しい職場で仕事をしようとする人を、上司、あるいは同僚として、私はたくさん見てきました。「前職のやり方の方が良かった」と思うことがあっても、いきなり「前職はこうでしたよ」と話を持ち出すのはいい印象ではありません。これは、押並べて経験や年齢をある程度重ねた方にとても多い兆候です。

あなたの職場は前職ではありません。まずは新しい職場のルールややり方に則って業務を行い、どうしてもやりにくさを感じたのであれば、自分が感じる課題を把握し、それをよりよくするために違うやり方を提案するなど、新しい職場を尊重し受け入れながら改善していくという姿勢でいてください。

やってよかったこと

・周りにルールややり方を逐一聞いたり確認したりした。
・社内資料やマニュアルを熟読し、業務内容を確認した。
・自分で勉強できることは勉強し、業務知識を増やしたり深めたりした。

職場の人間関係を把握する

上司が誰なのかはもちろん、仕事をする上でのキーマンが誰なのかを把握し、また、その立場が社内でどのようなものなのか、などを見極めるようにしています。例えば、教室責任者はA先生で、英語のことはB先生、入試制度についてはC先生が中心だ、などといった具合です。

その関係性がわかってくると、職場の雰囲気もわかってくるので、同僚への接し方もつかめてきます。親しい関係を築きたいと思っても、初めは丁寧な対応を心がけ、少し距離が縮まってきたなと感じるまでは砕けた対応は控えた方が無難です。

やってよかったこと

・周囲を観察して、仲良くできそうな人、仕事ができて信頼できそうな人を見つけて接触するようにした。
・パワーバランスを見極めて、同僚で話せそうな人がいればさりげなく自分の疑問や会社について知りたいことについて話をしてみた。

無理をしない

まずは、「できることをひとつひとつ着実にこなして、業務に慣れること」が先決です。

早く結果を出したい、活躍したい、とはやる気持ちはわかりますが、その結果、自分を追い込むことになってしまったり、仕事が中途半端になってしまったりすれば、かえって会社に迷惑をかけることになってしまいかねません。

会社としても、あなたに長く働いて欲しいと思っているはずなので、大変だと思ったら、早めに同僚や上司に相談し、仕事の進め方や仕事量についての相談をしてみましょう。

やってよかったこと

・まずは言われたことを実直にこなすことに専念した。
・やることをリストアップし、優先順位を付けるなど業務の整理をしてから取り組んだ。また、その整理が合っているのかを、同僚や上司に相談した。
・経験があるからといって、必要以上にできるとアピールしたり驕ることのないように気を付けた。

 

最後に

2回に渡って、新しい職場での留意点について、「労務」と「実務」という2つの観点からまとめてみました。

今回この記事を寄稿するにあたって、自分のこれまでの遍歴を振り返り、そして実践してきたことをまとめることができたのは、自分にとっても有益でした。やはり、自分を振り返るというのは必要ですね。反省点も多かったです。

先述のとおり、新しい職場に不安な気持ちを抱くのは当然のことです。しかも、それは人生においてはそう回数が多いイベントではありません。入社や退職の労務的な手続きを損しないようにスムーズに進め、新しい職場で新しい仲間たちと最高の仕事ができるよう、共に意識を高めていきましょう。

それでは、また次の記事でお会いします。ありがとうござました。

 

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塾講師ステーション情報局 編集部

記事執筆者:塾講師ステーション情報局 編集部

塾講師ステーション情報局上の記事の企画・執筆・編集をしています。
年100本以上の記事を執筆する有識者や塾バイト経験者をはじめとする、塾講師業界に関するエキスパート集団です。

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