塾講師バイトを応募するに当たって、実際に聞かれる質問・どんな要素を見ているのかといった面接への不安は大きいでしょう。特に、初めてアルバイトをする際にはその不安はより強いはずです。
今回は、 早稲田アカデミー・スクールIEといった有名塾の教室長として実際に大学生の面接官を担当していた黒磯直行先生から、当時どのような質問をしていたか・面接時に確認していたポイント・マイナスイメージを持つ人の特徴・面接に落ちて中々受からない場合の対策についてインタビューしました。
実際の現場で面接をしていた黒磯先生の経験を元に、リアルな面接現場をお届けします。
一般的な面接についての気になること・持ち物、服装などを確認する場合はこちら
塾講師バイト面接対策!質問されることやテスト、服装について
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
新卒で早稲田アカデミー入社→スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー→Z会進学教室およびZ会東大進学教室・兼私立学校教員(現在)という経歴を持つ塾業界歴20年以上のベテラン講師。講師キャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。特に、集団指導講師の面接官2年、個別指導講師の面接官3年のキャリアも持っており、累計約100名の面接を行ってきた一面も持つ。
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執筆者
塾講師ステーション情報局
編集部
塾講師ステーション情報局上の記事の企画・執筆・編集を実施。年100本以上の記事を執筆する有識者や塾バイト経験者など、塾業界に精通するメンバーが執筆を手掛ける。
※本記事は黒磯先生の監修のもと塾講師ステーション編集部が執筆しています。
目次
塾講師の面接で見られているポイント
塾講師のバイト面接の頻出質問&回答例
塾講師のバイト面接時の模擬授業の内容&対策
面接時にマイナスイメージを持たれる人の特徴
面接に受からない...どうしたらいいの?
面接官や受ける塾をよく知って対策をしましょう
塾講師の面接で見られているポイント
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
特にこの5点に注意していました。
①履歴書に沿った質問にしっかり答えられるか。/履歴書の文字
②言葉の使い方
③自分の塾に合っているかどうか
④身だしなみ
⑤こちらの求める条件か(応募者の条件)
黒磯先生によると、塾講師の面接をする際には上記5つのポイントを特に見ていたようです。以下では、具体的にどのような意図で聞いていたのか紹介します。
履歴書に沿った質問にしっかり答えられるか。/履歴書の文字
黒磯先生:自分で作ったものであることのチェックを兼ねています。「大学ではどんなことを専門にしたのですか」「自分はどんな受験生でしたか」など。また、教育の場であるという特性上、履歴書の文字の丁寧さや誤字などは見ていました。
言葉の使い方
黒磯先生:社会人として恥ずかしくない言葉を選んでいるか。特に大手だと、時間講師に保護者対応を期待していることも多いです。既卒者であればそれはなおさらになります。学生であれば多少は多めにみることもありますが、やはり最低ラインの受け答えは期待します。
自分の塾に合っているかどうか
黒磯先生:例えば早稲田アカデミーだと、体育会系という特徴があります。挨拶ができるか、明るい雰囲気かなどを重視していました。スクールIEでは、そこまでの元気のよさは求めませんでしたが、個別ですので、人との距離感をとれているかなどを重視していました。
身だしなみ
黒磯先生:塾講師の面接の場合は、スーツ(男性であればネクタイ)で出向く方が無難です。また、男性の染髪は(絶対だめというものではありませんが)あまり受けはよくありません。女性のライトな染髪はある程度許容されることが多いですが、あまり極端なものは不利になります。企業によっては色のスケールを準備していて、「この明るさまで」と決めている教室もあるようです。(採用になった場合には入社後に直せばいいです)
こちらの求める条件か(応募者の条件)
黒磯先生:これは、応募者がどうすることができるものではありませんが、例えば平日に人手不足であればそれにマッチする応募者を優先しますし、週2回勤務可能の方よりも週4回OKの方の方が魅力的になります。その条件にマッチしていないと、採用しても仕事がないという状態になってしまいますので。(ですので、不採用になっても自分が悪いだけではないということを強調したいです)
対策できるものはしっかり対策をする
場合によって対策が難しいこともありますが、「履歴書に沿った質問にしっかり答えられるか。/履歴書の文字」「言葉の使い方」「身だしなみ」は対策によって面接で好印象を与えることができます。
履歴書や服装に関するコラムを読み、それでも不安な場合は身の回りの人に客観的にチェックしてもらうようにしましょう。
「自分の塾に合っているかどうか」に関しては、黒磯先生も面接に受からない…どうしたらいいの?にて後述していますが、塾のHPを確認してその塾の雰囲気を掴むことが重要です。
塾講師のバイト面接の頻出質問&回答例
塾講師バイトの面接における質問への回答のコツ
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
前提として、どの質問もそうですが、面接の回答方法としては『PREP法』というものが効果的と言われます。この手法は、プレゼンテーションでよく使われる文章構成なのですが、『Point(結論)⇒Reason(理由)⇒Example(事例)⇒Point(結論)』の順番で話を構成していくというものです。簡潔かつ説得力のある回答が展開できます。この形式に向く質問とそうでないものがあるとは思いますが、頭のどこかに置いておくと役立つかも知れません。
黒磯先生が述べているように、塾講師のバイト面接においては、まずは結論を簡潔に述べて、そのあとに理由を丁寧に話すようにしましょう。よくある質問と回答例を紹介するので、参考にして、自分の言葉に置き換えて回答を考えみることをおすすめします。
黒磯先生が実際にしていた質問と回答例
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
主に質問していたのはこの10項目です。
①塾講師になろうと思った志望動機、また、当塾を選んだ理由はなんですか?(志望動機)
②受験の経験はありますか?
③塾講師のバイトをする上で何が大事だと思いますか?
④生徒にどのように教え、生徒が行き詰まった時どう対処しますか?
⑤保護者や生徒とコミュニケーションをとることに抵抗はありませんか?
⑥(特に個別指導)複数教科が指導可能か。高校生まで指導可能か?
⑦これまでに出会った先生で、どんな先生が印象に残っていますか?
⑧(前に職歴があれば)その仕事で得たものは何ですか。それはどのように塾講師に活かせそうですか?
⑨勉強でも勉強以外でも、何かこなすのが大変だと思ったものを克服した経験はなにかありますか?
⑩「苦手を引き上げる指導」と「得意をもっと突き詰める指導」と自分にはどちらが向いていると思いますか?
黒磯先生が実際に面接をしていた際は、これら10項目を主に質問していたようです。
以降では、黒磯先生がなぜこの質問をしていたのかという質問の意図と、どのような回答があると高評価かという基準について、紹介します。
「この質問が来たらこのように返答しよう」という意識で確認しましょう。
塾講師になろうと思った志望動機、また、当塾を選んだ理由はなんですか?(志望動機)
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
この仕事に対するこだわりや熱意がわかる質問です。この仕事や会社への志望順位や採用したら来てもらえるのか、また、その塾の目指すものと合致しているかなど、これから働く場との相性を推し量ろうとしています。また、どんなことをしたいのか、どのようなキャリアを積んできたのかを聞くことができるので、今後の配置(どのクラスにするか/どの生徒に充てるか)の参考にしています。
<このような回答があると高評価>
「自分の得意分野を活かしたい」など、自分のキャリアや専門性と関連付けて回答ができるとよいでしょう。自分の強みをどう活かせるのかを伝えるということです。また、自分がその強みを持っていることを裏付けるような具体的な体験談を交えるとより伝わりやすくなります。漠然と「教えることが好き」というのもよくある回答なのですが、自分の経験談やなぜそう思うのかなどを一緒に答えられればより高評価です。
また、「自分の将来の●●に講師としての経験を役立てることができると感じている」「この仕事で●●をしてみたい」など、自分がこの仕事を通じて達成したい目標を伝えると効果的です。もし過去に関連付けることができないのであれば、未来の自分を売り込むという視点も大切です。
受験の経験はありますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
特に中学受験を経験している場合、その経験を指導に活かせるのではないかという期待を持つことができます。また、大学受験経験者の場合でも、数ⅢCや漢文なども担当して、もらうことができるかなど、受験まで対応できる科目を知ることができるのが大きいですいずれにしても、合否の基準というよりも入社した後の配置構想に役立てたいという意図です。
<このような回答があると高評価>
これは自身の経験をそのまま履歴書の通り伝えれば問題ありません。続けて、「どのように頑張ったのか」、や「大変だったことは何か」などという突っ込んだ質問が来ることがありますが、志望動機と同様にエピソードを交えながら伝えるとよいでしょう。
塾講師のバイトをする上で何が大事だと思いますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
応募者の教育像(理想としている教育)を知ることができる質問です。自分の塾に合っているかどうかを見極めています。
<このような回答があると高評価>
これもやはり、相手を知ったうえで、それに合わせた回答を心がけたいところです。
生徒にどのように教え、生徒が行き詰まった時どう対処しますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
応募した塾が大切にしている理念や生徒層に合わせた回答を心がけたい質問です。
<このような回答があると高評価>
総じて、個別指導にしても集団指導にしても、生徒が「こういう先生だったらいいな」と思うであろうという視点から話ができれば間違いない回答ができると思います。
保護者や生徒とコミュニケーションをとることに抵抗はありませんか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
コミュニケーションが求められる仕事なので、これは「できます」と答える他ないでしょう。「抵抗があります」、となればなぜこの仕事を選んだのですか、となってしまいます。ここは自信を持って「大丈夫です」と回答してください。
仮に苦手や不安があるのであり、どうしてもそれを伝えておきたいということであれば、経験がないということを理由にするとよいと思われます。特に若い学生時間講師には高いハードルは求めていません。
<このような回答があると高評価>
「保護者対応に関しては経験があまりありませんが、他の先生から教わりながら積極的に取り組んで慣れていきます」など、あくまで前向きにとらえた回答を心がけましょう。
(特に個別指導)複数教科が指導可能か。高校生まで指導可能か?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
どの塾生に充てることができるかを選定したい。特に個別指導塾においては、複数科目を担当できると有利。また、高校生指導がどの科目ならどのレベルまで可能かを確認していました。
<このような回答があると高評価>
「英語はあまり得意ではないのですが、予習をすれば学校の補習レベルまでは頑張りたいと思います」など、可能な範囲でできるだけ前向きな回答を心がけたいですね。
これまでに出会った先生で、どんな先生が印象に残っていますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
どんな先生が理想なのかを聞くために聞いていました。自分もそのようになりたいと思うか、という質問もしていました。どんな先生像を持っているのかを知りたいという意図です。
<このような回答があると高評価>
小学5年生の担任の生成が印象に残っています。子供達との距離が近く、とても話を聞いてくれる先生でした。
(前に職歴があれば)その仕事で得たものは何ですか。それはどのように塾講師に活かせそうですか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
特に、既卒の方に聞いていました。他の職員にもよい影響があればという期待からです。また、その言葉から、仕事に対する意識を見ることができるという意図です。
<このような回答があると高評価>
前職はファミレスでしたが、様々なお客様と接することでコミュニケーション力は身についたと思います。この力は、塾講師としても活かせると思います。
勉強でも勉強以外でも、何かこなすのが大変だと思ったものを克服した経験はなにかありますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
塾は勉強をなんとかしたい(出来ないを出来るに、または出来るをもっとできるに)と思って通塾します。自身にも同じような経験があれば、指導に役立てることができると期待して聞いていました。また、忍耐力や人生観も垣間見える質問だと思っています。
<このような回答があると高評価>
高校の時に○○部で△△という大変なことがあった。□□という工夫をしながら克服できたことは今でも印象に残っています。
「苦手を引き上げる指導」と「得意をもっと突き詰める指導」と自分にはどちらが向いていると思いますか?
黒磯先生:
<なぜこの質問をしていたか>
今後の配置(担当クラスや担当生徒)を決める材料として聞いていました。特に個別指導では、特定の生徒を思い浮かべながら、「この子に合うかも」などと想定しながら話をしていました。
<このような回答があると高評価>
「日々の勉強をどう工夫して効果的にこなすかを考えて受験勉強をしてきたので、難関校を目指す指導が、自分の経験が活かせると思っています。」
「自分は数学が苦手で、何とかこなしてきた経験を持っているので苦手の克服のお手伝いができればと思っています。」
面接時にマイナスイメージを持たれる人の特徴
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
実際に面接をしていて、こんな特徴がある人はマイナスイメージの印象を持ちました。
①服装や髪型がだらしない
②履歴書が雑
③(過去の例ですが)面接で自分の知識をひけらかす/独りよがりの発言になっている
黒磯先生が実際に面接をしていた際に出会った人の中で、このような傾向がある人にはマイナスイメージを持っていたそうです。自分がこれらの傾向に陥っていないかを確認し、同じ失敗をしないように注意しましょう。
服装や髪型がだらしない
黒磯先生:ハーフパンツにサンダルなど極端で無い限り、これだけで一発アウトと言うことはありませんが、やはり気をつけた方がいいです。何度も不採用が続いているようなら、周りに聞いてみるといいと思います。
履歴書が雑
黒磯先生:履歴書に沿った質問にしっかり答えられるか。/履歴書の文字にて述べた通りです。
(過去の例ですが)面接で自分の知識をひけらかす/独りよがりの発言になっている
黒磯先生:自分が帰国子女だとアピールしたかったのか、わざわざ英語で言わなくていいところを英語で言ったり、「自分は早稲田なので~」「政治家の知り合いがいまして~」など聞いてもいないのに枕詞のように発言していた方はいらっしゃいましたね。
面接に受からない…どうしたらいいの?
アドバイザー(監修)/プロ講師
黒磯 直行 くろいそ なおゆき
相手を知ること。各塾には特徴や売りがありますし、HPなどでは、それを大々的に謳っています。教育理念やキャッチフレーズ、また、会社紹介のHPに行けば、社長の挨拶なども載っていることでしょう。「それのここに共感した」「その理念に私はこういう形で貢献できる」など、自分があなたのことを知っているよ、あなたに合わせられる人間ですよ、というメッセージを伝えることが出来ますし、それは大きなプラスになるはずです。それがなく、「自分が・自分は」となってしまうと、独りよがりになりやすいです。
黒磯先生によると、受からない場合に意識すべきなのは「相手を知ること」 としています。面接官にとって合否を分ける重要なポイントは「自分の塾で貢献できるか」ということです。したがって、情報収集を行い、貢献できることをアピールしましょう。また、「情報収集を行う」という努力そのものがプラスに評価される場合もあるので、事前準備はとても大切です。
なお、黒磯先生が挙げている項目の他、生徒向けページでどのようなカリキュラム・指導方針を採っているかを調べるのもおすすめです。
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面接官や受ける塾をよく知って対策をしましょう
この記事では、大手塾で面接官経験のある黒磯先生に、実際に塾講師バイトの面接をしていた頃のエピソードを解説しました。質問の意図やどのような回答であれば評価されるかを考え、対策する必要があります。
また、黒磯先生が最後に仰っていたように、今から面接を受ける塾のことをよく知っておくことも大切です。
この記事を参考に、万全の対策をして面接に臨みましょう。