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塾講師に研修はある?その内容や習得できるスキルについて

塾講師として採用されると、一定期間の研修を受けて講師としてのスキルを習得します。具体的にどのような研修を行うのか、詳しく解説します。また、研修の山場といわれる模擬授業とはどのようなものなのか、研修でチェックされるポイントは何かについても見ていきましょう。

 

目次
塾講師に採用後、研修はある?
塾講師の研修の目的
塾講師の研修の種類
模擬授業の準備でやるべきこと
模擬授業の本番でやるべきこと
模擬授業後にやるべきこと
塾講師の研修で身につくこと
塾講師の研修期間中に意識しておきたいこと
塾講師の研修にまつわるQ&A
社会人に必要なスキルを塾講師の研修を通して身につけよう

 

塾講師に採用後、研修はある?

学習塾で塾講師として採用された後、すぐに生徒に対して授業を行うケースはあまりありません。ほとんどの学習塾では研修を実施しており、研修を通して講師に求められる能力やスキルを身につけていきます。研修の期間は数時間~3カ月であることが多いです。気になる場合は求人情報を確認しましょう。

 

進学実績を重視している学習塾では、研修の合格基準を厳しく設定していることも多いです。大手の進学塾では、研修期間を仮採用とし、研修成績で本採用にするのかどうかを判断するところもあります。

 

 

塾講師の研修の目的


塾講師としての採用時に研修を実施する目的は、講師のスキルを伸ばすことと講師の力量を的確に判断して適所に配置することの2つです。それぞれについて詳しく解説します。

 

生徒の継続率を伸ばす講師を育成するため

少子化により、学習塾の競争率は激化しています。講師には「お客様」である生徒を逃さないことが求められています。


塾講師の言葉遣いや態度に問題があると、生徒や保護者からのクレームがつくだけでなく、退塾のきっかけになることがあります。研修を通して正しい言葉遣いや態度を習得し、生徒との関係性にはけじめをつけることを学び、生徒と保護者に満足してもらうことが重要です。

 

講師の力量を試し、授業配置に生かすため

研修は多くの場合、複数回開催されます。塾講師たちに対して、教え方や生徒・保護者への接し方、トラブルなどがあったときの対応の仕方などを段階的に教えていきます。

 

研修を通して講師たちの評価を行い、担当する学年や教科の適正を見極めます。また、講師側の希望も聞きながら、適した授業に配置します。


塾講師の研修の種類

 

塾講師の研修には、知識伝達型、ワークショップ型など、いくつかの種類があります。それぞれの具体的な方法とチェックされるポイント、講師たちが持つべき心構えについて解説します。


知識伝達型研修

知識伝達型研修とは、「講師が入社時に必要な最低限の知識を身につけること」を目的として実施される研修のことです。対面型と映像型があり、講師たちは授業を受けるスタイルで話を聞き、知識を会得します。短時間で多くの内容を学ぶので、資料をしっかり読み、メモを取りましょう。

 

ワークショップ型研修

ワークショップ型研修は、「講師同士の交流を促進しながら、学びを深めること」を目的に実施される研修です。与えられたお題に対して意見を出し合い、気付きを得ます。この研修を通して講師たちは、知ったかぶりをしていないか、話し相手を尊敬しているか、他の人の意見を真摯に聞けるかなどをチェックされます。

 

教室会議

教室会議は、「全体で知っておくべき事項を共有する」ことを目的に実施されます。厳密には研修ではないですが、新しい講師が入ったときに開催されることが多いです。教室会議を通して新しい講師は学習塾のルールを知り、それ以外の講師はルールを再確認します。知識伝達型研修と同じように資料をしっかり読み、メモを取りましょう。

 

OJT

OJTは、「先輩講師が後輩講師をマンツーマンで教え、後輩講師の授業力を高めること」を目的とした研修です。OJTとは「On-the-job Training」の略で、先輩講師がマンツーマンで指導してくれるスタイルが一般的です。集団の中では質問しづらいと感じる講師も、マンツーマンあれば質問しやすくなるので、不明点を丁寧に一つずつなくしていきましょう。

 

模擬授業

模擬授業は、「講師としての力量を実践的にチェックすること」を目的とする研修です。集団授業を行う学習塾でよく実施されています。板書の仕方・説明の上手さ・声の大きさ・メリハリなどの授業スキルから、立ち居振る舞い・マナー・言葉遣い・惹きつける力などもチェックされます。学習塾が出した選択肢から一つ問題を選び、10分程度の授業を行うことが一般的です。


模擬授業の準備でやるべきこと


研修の中でも、一人ひとりが教壇に立って授業を行う模擬授業は山場とされています。模擬授業のためにやるべき準備についてポイントを交えながら解説します。

 

教案を作成する

教案とは、教える内容を自分の授業スタイルに合わせてまとめた書類を指します。通常の授業と同じ時間感覚で授業を構成すると導入だけで終わってしまうこともあるので、テンポよく授業を進めていくためにも、予め教案を作成しておきます。


生徒役とやりとりする時間を考慮する必要がありますが、反対に質問がなくスムーズに進んだ場合も想定しておきます。いずれの場合にも授業時間を無駄なく使い切るように構成しましょう。また、黒板/ホワイトボードにすべての説明を書きこむと読みづらいので、口頭で説明する部分を考えたり、必要に応じてプリントを作成したりすることも必要です。

 

ポイント

通常の授業を短縮したバージョンでつくる

予定時間の8割をイメージしてつくる

板書案と説明案を別につくる

 

練習をする

作成した教案通りに練習してみましょう。一方的に話すだけでなく、生徒をあてたり、発言を取り入れたりすることも必要です。

 

また、授業を客観的に評価するためにも、ビデオに撮って立ち居振る舞いを確認します。予定通りの時間で終わらないときや思ったように進まない場合は、教案を修正し、より良い授業を作り上げていきます。


ポイント

動きを取り入れる

動作確認を行う

教案を適宜修正する


黒板/ホワイトボード対策を行う

黒板やホワイトボードに慣れていないと、うまく字を書けないものです。手首を安定させ、きれいで大きな字を書く練習をしておきましょう。ポイント部分に色を使うとさらに分かりやすくなります。

 

字だけでなく図も描くと、生徒たちの理解度を高められます。ま字の拙さもカバーできるので、図を描く練習もしておきましょう。


ポイント

手を板面に押し付けて書く

図を取り入れる

3色以上の色を使う


模擬授業の本番でやるべきこと


模擬授業の本番を迎えるにあたって、意識すべき3点についてそれぞれ解説します。

 

自分の講義前でも他の講師の授業をよく聞く

模擬授業はたいてい他の講師と同日に開催されます。他の講師の授業を聞く態度も評価対象になるので、集中して真剣に聞きましょう。また、他の講師の授業から、自分の授業の見直し点を見つけることもできます。

 

自分の講義中には集中し、誠意を伝える

注意すべきポイントすべてに注力することは実質的に不可能です。一番気を付けたい点だけを意識しながら講義していきましょう。また、模擬授業であっても、「生徒の成績をあげたいんだ!」という誠意を伝えることが大切です。

 

講義後のフィードバックを真摯に受けとめる

模擬授業が終わるとベテラン講師などからフィードバックを受けます。たとえ納得できなくても、その場で反論してはいけません。新たな気付きを得られたことに感謝して、気持ちよく終えるようにしましょう。


模擬授業後にやるべきこと

  • 指摘された点を「わかりやすく」改善する
  • 生徒とのやりとりから学ぶ
  • OJTや研修担当だった先輩講師に感謝を伝える

 

模擬授業で受けたフィードバックを基に、「自分は成長しているんだ!」というメッセージを伝えるためにも、改善した部分をわかりやすく表現しましょう。また、生徒とのやりとりについては、模擬授業からは学べないので研修後に授業の実践を通して学びます。

 

塾講師の研修で身につくこと


さまざまなスタイルの研修を通して、講師として必要なスキルや責任感を身につけることができます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

生徒への対応スキル

研修を受けることで、生徒に適切な指導や教育を行えるようになります。また、コミュニケーションスキルも身に付き、生徒のモチベーションを維持・管理する方法も知ることができます。

 

授業のスキル

知識を分かりやすく伝達できるようになります。情報を集約して伝える方法を学ぶことで、プレゼンテーションスキルやタイムマネジメント力も習得できます。

 

保護者への対応スキル

保護者への対応スキルとして、社会人としてのビジネスマナーも学べます。質問を受けたときの対応法なども、研修から習得できます。

 

講師としての責任感

研修を通して、質の高い授業を提供し、講師として求められている役割を果たして結果を出すという姿勢も身につきます。責任感のある講師は、生徒や保護者からも信用されます。


塾講師の研修期間中に意識しておきたいこと


研修は講師として最も重要かつ貴重な学びの期間でもあります。「優れた講師になりたい」という高い意識を持って過ごすようにしましょう。


また、アドバイスを素直に受け入れて実践・改善することも必要です。指摘されるだけでなく、予め確認事項や質問を用意するなど事前準備をしっかり行うようにしましょう。

 

塾講師の研修にまつわるQ&A

Q. 研修成績が悪いと採用取消になりますか?

A. 場合によっては取り消されます。

大手進学塾では、仮採用中である研修期間に講師としての適性を示せない場合、本採用されないところも見受けられます。特に進学実績を重視する学習塾では、講師の力量によって結果が大きく左右されるため、研修成績次第では本採用にすすめません。

事前準備をしっかり行い、研修のフィードバックをしっかり講義に反映させましょう。また、研修を受けることで、講師として自信を持って授業を行えるようになります。

 

 

Q.研修期間中は給料をもらえますか?

A.もらえます。

研修期間中であっても、働いた分だけ給料はもらえます。しかし、研修期間中は終了後より時給が低い場合もあるので注意が必要です。気になる方は求人情報を見て確認しましょう。


Q. 研修評価は自分の成長で変えられますか?  

A. 変えることは可能です。 

経験を積み重ねることで、講師としてレベルアップできます。また、授業内容はもちろん、生徒や保護者への対応によっても評価は変わります。クレームの回数が多いと評価は下がりますが、対応に注意しクレームが少なければ評価を高めることも可能です。

 

ただし、経験だけではすべての評価は変えられない点にも注意しましょう。例えば、話し方や雰囲気などの人間性につながる評価は一日で変わるものではありません。しかし、時間をかけて取り組めば良い方向へ変えていくことはできるので、研修評価を参考に努力をしていきましょう。

 

Q. 教える科目により研修は変わりますか?  

A. 基本的には同じです。 

研修は、一般的にどの教科も一律で実施されます。教科別研修を実施している学習塾はあまりなく、教科ごとの教え方については講師自身が工夫する必要があります。多くの学習塾では一人の講師が複数の科目を担当します。そのため、すべての教科について研修を行う時間がないケースが多いです。

 

Q. 教案・板書案の作り方はありますか? 

A. 決まった作り方はありません。迷ったときは次の手順を参考にしてください。 
  1. テキストから重要な用語とポイントを抜き出す
  2. テキストを読んで理解が難しいと思われる点をインターネットなどで調べておく
  3. 板書案をつくり、模擬講義を行う
  4. 模擬講義の時間がかかり過ぎる・余り過ぎるときは、補足・雑談を入れていく
  5. 最終確認もかねて再度講義練習をする

 

一度教案・板書案を作成すると、次回以降の準備時間を短縮できます。時間はかかりますが、頑張りましょう。


Q. 敬語が不得意です。対策法はありますか?

A. 勉強しましょう。

敬語の使い方について記された実践的な書籍を購入がおすすめです。敬語は社会人としても不可欠なスキルですので、この機会に学びましょう。

相手を不快にさせないことを意識するのも、言葉遣いを学ぶうえで重要なポイントです。例えばミスをしたときは、正しい敬語も重要ですが、真摯な態度で相手に謝ることが誠意を伝えることにつながります。敬語と合わせてご自身の態度も見直してみましょう。

 

Q. 優秀な講師になる方法を教えてください!

A. 成長したいという気持ちを持つことです。

わかりやすく教えたい、自分自身の人間力を磨きたいなど、成長したいという意欲を持つことで、良い講師になれるでしょう。単に割の良いアルバイトとして塾講師を捉えている人は、良い講師になることは難しいかもしれません。

そのためには、普段の努力が必要です。生徒や保護者に誠実に向き合うためにも、丁寧に授業を準備し、言葉遣いや対応に注意をします。


Q. 講師を目指す人にメッセージはありますか?

A. 講師は、教えるという行為を通して自分自身が学べる仕事です。

生徒の学力が伸び、笑顔で楽しく勉強する様子を見ることは、講師にとって大きな喜びとなります。その笑顔を引き出すためにも、一人ひとりに丁寧に接しましょう。

また、生徒や保護者との触れ合いを通して、人間力を身につけることもできます。生徒を成長させたい、そして、自分自身が成長したいという熱い思いを持つ人は、塾講師にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

社会人に必要なスキルを塾講師の研修を通して身につけよう

塾講師は研修を通して、授業の進め方だけでなく、言葉遣いや応対方法、好感を持たれる態度などを習得できます。社会人として必要な幅広いスキルを身につける機会にもなるでしょう。

 

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