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理科の最強指導法4 ―地学編C― 「フェーン現象の計算対策と気象総合」

小学生

2021/12/17

最強指導法、第4回!

講師の皆様こんにちは!

さっそく、前回の記事、

理科の最強指導法3 -地学編B- フェーン現象の教え方

に引き続き、フェーン現象を扱っていきます。


また、それに絡めて「気象単元のポイント」についても考察を深めていきましょう。

 

 

フェーン現象における計算問題の教え方

フェーン現象の原則を理解させたら、いよいよ計算問題を解かせていきます。

最初に以下のような簡単な図を書かせてから、問題を出すとスムーズに授業が進みます。

例題を2問、用意したので参考にしてみてください。
(解答・解説は記事の最後にあります。皆様もまずは自力で解いてみましょう!)

【条件】
この山の高さは2000m
水滴がない空気なら100mで1℃、水滴がある空気なら100mで0.5℃の温度変化とする。

(1)
今、A地点の温度は15℃で、雲ができ始めるC地点が800mとする。
B地点・D地点の温度はそれぞれ何度か?

(2)
A地点の温度が20℃、B地点の温度が23℃であるとき、C地点は標高何mか?

 

 

 

このように、複数の問い方をしてあげることで、理解度の確認と学習の定着を図っていきます。

もし、生徒がすらすら解けない場合は、数値を少しいじって何回も演習させてあげましょう。


湿度計算は、繰り返しが肝心です。

 

新しい問題を出すのではなく、似た問題をたくさん解かせることを意識しましょう。


湿度・フェーン現象の次にやるべきことは?

では、無事にフェーン現象が理解してくれたとします。


ですが残念ながら、フェーン現象ができるようになるだけでは、

ピンポイント過ぎてなかなか得点に結びつくことはありません。

(もちろん、解けるようになることは重要ですが、出題頻度はあまり高くありません)

 


そのときに得点が取れやすいように、何を伝えるのがよいでしょうか?

少し考えてみましょう。




 

 

 

 

 

 

 


はい、思いついたでしょうか。

これは担当生徒の学力による部分が大きいので一概に正しい答えは言えません。

ただ、得点を取らせる、ということを考えたとき、

以下の4点は押さえさせたいテーマです。

 

  1. 乾湿球湿度計の意味と読み方(全レベル対象)
  2. 天気記号・風向き・雲の名称の確認(全レベル対象)
  3. 日本海側で雪が降る理由(ハイレベル対象)
  4. 気温・地温の測定法(ローレベル対象)

 

では、順番に見ていきましょう。

 

1、乾湿球湿度計の意味と読み方(全レベル対象)


乾湿球湿度計、というものを見たことがない講師の方もいらっしゃるかもしれません。

その仕組みはシンプルです。

2本の温度計を用意し、片方の温度計には湿らせたガーゼをあてておきます。

すると、湿らせたガーゼが当ててある温度計のほうが、温度は低くなります。

 

これは気化熱により、温度が下がるためです。


そして、この温度変化が大きいということは、気化している水蒸気の量が大きいということを示します。

 

すなわち、相対的に湿度が低い、ということがわかります。

例として室温20℃の場合、温度差が0℃→湿度100%、0.5℃→湿度95%、1.0℃→湿度91%…と続いていきます。
この数値は、湿度表と呼ばれる表を見ることで、温度差と室温から湿度を求めることができます。
入試ではあらかじめ湿度表が与えられるので、覚えることは何もありません。

なお、この乾湿球湿度計は通信販売にて2000円前後で販売されています。
見たことがない講師の方は、ぜひ実際に購入してみて、授業に持っていくことをおすすめします。

 

2、天気記号・風向き・雲の名称の確認(全レベル対象)


天気記号は、一目で見て天気がわかるように工夫された記号です。


まず、この中で覚えなければならないのが、

 

「快晴」「晴れ」「曇り」「雨」「雪」になります。


このとき、淡々とやるとつまらない単元になりますから、

「どうして曇りが二重丸なんだろうねぇ?きっと作った人は曇りが好きだったのかな?」

と話してあげると盛り上がるでしょう。


(実際、二重丸を晴れと勘違いする生徒は多いです。あえて印象付けてあげると間違いが減ります)




また、風のむきは「吹いてくる方角」に線が引かれることに注意が必要です。

 

例えば、北風という記載があれば、北から南に向かって吹く風をさします。

生徒はよくこんがらがって「どっち向きから来るか」というのを間違えがちです。

 

講師が伝えるときに気を付けなければならないのは、「旗がはためく向きの逆」と教えてはいけません。

○○の逆、という表現は、「逆」という単語を忘れると即誤答に繋がってしまいます。

 

 

ですので、私は「風が顔にあたる向きが、風向きだよ!」と伝えるようにしています。

 

 

 

また、雲の名前は出題頻度も低いことから、ほとんどの生徒が覚えていません。

実際に講師の方でも、10種雲形を覚えている人は少ないと思います。

 

ですので、ハイレベルなクラスにだけ、伝えればよいでしょう。

その際ですが、漢字の意味をきちんと理解させることがポイントです。

 

 

【高さ】
巻:高いところにできる雲

高:巻ほどではないが、中くらいの高さにできる雲

なにもつかない:低い雲

 

【形状】
層:広がっている(層状)

積:かたまりになっている

なにもつかない:巻雲(すじ状)

 

【特徴】
乱:雨を降らせる雲、乱層雲と積乱雲。

乱層雲:縦長で高さがある

 

 

と教えれば、選択肢の問題はすぐに解けるようになります。

 

3、日本海側で雪が降る理由(ハイレベル対象)

ハイレベルな生徒には、日本海側で雪が降る理由を考えさせます。

難関校対策では「考える」学習が大事ですから、

あまり教え込まずに生徒が自ら、知識をつなげられるように授業を組み立てることが重要です。


以下の問題を解かせ、その解説を行う形式がよいかと思います。

(3)
冬になると窓に水滴がついているのが見られる。これを結露と呼ぶが、なぜ結露は起こるのか?
その理由を「飽和水蒸気量」という言葉を用いて説明せよ。

(4)
日本海側では、冬になると雪が降ることが多い。
その理由を「西高東低」「季節風」という言葉を使って説明せよ。

 

4、気温・地温の測定法(ローレベル対象)

基礎知識ですが、点数が取れない生徒には気温の測定法を確認してあげましょう。

気温を測定する条件は3つです


1、風通しの良いところ、建物から離れたところで行う
 (温度にむらが出ないようにするため)


2、温度計の球部の高さは、地面から1.2~1.5mで行う
 (だいたい小学生の身長程度であると伝えるとイメージしやすいです)


3、温度計に直射日光を当てない

 

 

また、正確な温度を測るために百葉箱という装置があります。
(最近の小学校では設置していないところもあるようです…)


この装置の特徴も併せて押さえましょう。

 

1、芝生の上に設置する(地面からの照り返しを防ぐため)

2、木でできている(熱の伝導を抑えるため)

3、全体を白く塗っている(日航の放射熱を吸収しにくくするため)

4、とびらが北向きについている(扉を開けた時に日航が入らないようにするため)

5、よろい戸(小幅の横板を、傾斜をもたせて並べた鎧板を取り付けてある戸)でできている
 (日光や雨が入るのを防ぎ、風通しを良くしている)

 

 

まとめ

フェーン現象の計算問題は、似た問題を繰りかえし解き直させることが大事になる

湿度計算以外では、クラスに応じて1~4つの関連分野を併せて教え、得点源を増やしてあげる

 

さて、ここまで4回にわたり、飽和水蒸気量を起点に「湿度」を扱いました。

 

次回からは「地層・地震」について、お話していきたいと思います。 

 

 

(1)
解答
B地点:21℃ D地点:1℃
解説
A地点から800m地点までは100mごとに1℃温度が下がっていくことになる。
温度変化は800÷100×1=8℃
よって、C地点の温度は15-8=7℃となる。
次に、C地点では雲ができはじめるので、温度変化がゆるやかになる。
D地点とC地点の差は1200mになるので、温度変化は1200÷100×0.5=6℃
よって、D地点の温度は7-6=1℃となる。
最後に、B地点まではずっと水滴がない空気の状態が続くため
2000÷100×20=20℃温度が上昇することになる。
よって、D地点は1+20=21℃となる

(2)
解答
1200m
解説
温度の差が3℃であることに注目する。
雲ができるかできないか(=水滴がある空気か、ない空気か)による温度変化の差は、100mごとに0.5℃であることが問題より読み取れる。
つまり、CD間が100mあるごとに、0.5℃の温度変化が生じるということである。
今回の問題では、3℃の温度変化であるため、CD間が100÷0.5×3=600mであることがわかる。
よって、C地点の標高は2000-600=1200mとなる。

(3)
解答
室内の温度と室外の温度に差が生じ、飽和水蒸気量に大きな差が生じる。
そのため、室内と室外の境目(窓ガラスなど)では室内の水蒸気が冷やされ、飽和するため、水滴が内側につく。
解説
結露は飽和水蒸気量の分野になりますが、フェーン現象まで扱った後に解説をすると、なお理解がすすむようです。(復習にもなります)
夏であれば「グラスの周りに水滴がつく理由は?」という問いに変えて、掘り下げてあげてもよいでしょう。

(4)
解答
冬になると西高東低の気圧配置になる為、北西の季節風が吹く。そのとき、海上から水蒸気を蓄えた状態で、日本海側に雲となって向かってくることになる。そして、雲が奥羽山脈・越後山脈などにぶつかることにより、強制的に空気が上昇する。その結果、飽和水蒸気量に達し、降雪が起こる。
解説
ここで押さえておかなければならないのは、「高気圧から低気圧に向かって風が吹く」ことと、「海上で水蒸気が補給される」ということです。あとは、フェーン現象をきちんと理解すれば解ける問題となっています。
なお、降雨ではなく降雪になる理由は、地上の温度が低いためです。その点も記載されているとなおよいでしょう。

 

 

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