はじめに
高校現代文という科目をみなさんはどのように考えていますか?
「小学校でも中学校でも国語って勉強してきたし、その延長だよね・・・?だからそんなに難しい科目でも、気負う科目でもないんじゃないの?」
そのように捉えて、あまり高校現代文というものを重視しない生徒さんを私は多く見てきました。実際私が高校生の時も、ほかの数学や化学、生物、英語、世界史などの科目はどんどん覚えるものが出てきて、新しい知識のオンパレードでした。だから、新しい知識を勉強することばかりに頭が向かって、現代文は二の次、という人ばかりだったように思います。
しかし、本当に成績をよく残す人、ぶれない人、頭一つ抜き出ている人というのは、その実、現代文の能力がずば抜けているという共通点があるんです。
本記事を読んでいただければ納得していただけると思いますが、「現代文の能力が良い=地頭が良い」のだと私は思っています。地頭が良い人は、吸収力も理解力もあるので、まさに1を勉強して10を知るような効率性を見せることもできるのです。私は、以下の方法を家庭教師先で実行した結果、現代文の成績が学年5番以内にまで上がり、ほかの科目も逐次的に学年で5番以内をとるようになった生徒が何人もいます。
そんな現代文について、
- 学習の効果と目的
- どのように勉強していけばよいか
という2点について、少しですがガイドラインを示してみたいと思います。
まずは、現代文を勉強することの効果・目的についてです!
なぜ現代文を深く学習すべきか
⑴問題文を正確に把握し、正確に答える能力を養う
現代文の能力が直に発揮される場といえば、まさしくこういうところでしょう。勉強する中で問題を解いていきますが、特に記述式の場合、
- 問題が意図していることはなにか
- その問題が答えさせたいことはなにか
を把握し、
- このように記述すれば採点基準を満たすだろう
と判断して、やっと自分の答えを記述することができるのです。
この過程に関して、みなさんは日本人だしなんとなく問題文を読んだとしても、なんとなく把握できてしまうので、結局然程苦労することもなく、それなりの答えがかけてしまいます。この「なんとなく」が盲点です。それなりの答えは、みんなが書けてしまいませんか?そうすれば、どこにその点差が生まれるのでしょうか?みんなが書けるような平凡な答えでは、受験戦争は勝てません。
更には、旧国語、つまり高校からの現代文は、なんとなくで答えられないような設問ばかりになっています。実際に入試問題が手元にある人は、見てみてください。もちろん大学にもよりますが、設問の意図をわざと読み取りにくくして、受験生の能力を試していることは非常に多いです。
つまり、問題文に忠実に答えること、この基本をなすのが現代文であり、問題文に忠実に答えることは、全ての科目で要求されます。特に、世界史や日本史の論述問題や数学の記述問題はそうでしょう。いくら長く書いても、忠実に答えていなければ点数はきません。
⑵勉強内容の理解力、そして吸収力を飛躍的に高める
中学から高校に上がると、中学までの勉強とは打って変わって、情報量が増えた、つまり勉強する内容が圧倒的に増えたと感じる生徒さんが非常に多いようです。超難関の中高一貫であれば、高校で学ぶ内容を中学のうちに少し先取りして教え、高校での負担を少なくする学校もあるようですが、大抵の学校の場合、文部科学省が高校の履修内容を定めている範囲を高校から新たに教え始めます。
すると、中学までは覚えることが少なく、応用力で競うような形態であったのに対し、まるで記憶力勝負であるかのような膨大な量を暗記してからでないと解けないような形態に感じられます。ですから高校生の間では、
「まずそもそもおぼえられなーい。」
「覚えてもすぐ忘れちゃう・・・。」
という声が非常に多いのです。私が受け持った生徒ももれなくそのように嘆いていました。
確かに、暗記をなんなくこなせる人は有利です。世の中には、もともと暗記を得意とする人もいます。しかし、割とまれであるように感じます。それどころか、一見記憶が良く出来ている人は、蓋を開ければ、実は暗記が得意じゃないという人も多くいます。
じゃあなんでそんなに覚えてるの?
その答えが、現代文の能力、にあるのです。現代文の能力があれば、同じ参考書や教科書を読んでいても、そこから読み取る情報が効率の良いものであるのです。
たとえば、他教科を勉強する際、長ったらしく書いてある説明も、重要な文を一瞬で見抜き、この辺りを覚えれば、周辺の説明は重点的に覚える必要がない、などと判断します。この判断力は、現代文で養った能力にほかなりません。参考書に書いてある文章の本質を見抜けるから、暗記量も少なくすむのです。
更には、その文章の本質を見抜き、該当箇所を理解する能力が高いために、さほど、暗記だと思わずに覚えられてしまう、という面もあります。人の脳は、理解できないことは覚えられない、あるいは、たとえ一時的に覚えられたとしても、すぐ忘れてしまう、といわれています。逆に、深い理解を得られたことは、そのこと自体が強い印象を持つために、脳内で鮮明にその記憶が保持されるのです。まさにこのことを応用した勉強方法だと言えるでしょう。現代文の能力があるだけで、勝手に効率のよい勉強方法をとっていることになるのです。
どのように現代文を勉強するか
現代文で培われる能力が、いかに偉大であるかがわかってもらえたと思います。それでは、どのように勉強したらその能力が養われるのか、次はこの点について触れていきたいと思います。
⑴平易な問題文を解いて、その思考回路を自覚する
ますは、中学レベルから高校レベル程度の、自分がスラスラ解ける問題文を用意します。自分が、平易だと感じる問題であることが非常に大事です。そして、そのスラスラ解ける問題を自分は今までどのように解いてきたのか、ということを自覚しながら解きます。平易な問題は、対して考えなくても、無意識にスラスラ解いてしまっているので、よくよく考えると自分がどのように解いているかということは、強く意識しないとわかりません。
しかし、ここでの自分の思考回路を強く自覚することで、難しい問題でもその思考回路をそっくりそのまま応用することができます。難しい問題だと思考が停止しやすい人は、自分がいつもスラスラ解けていた平易な問題に関してはどのように解いていたかを思い出し、同様に適用してみることでうまく解けることが多くあります。
⑵平易な問題文の、解説を熟読する
平易な問題を解いたそのあとは、しっかり解説を熟読します。そして、その解説の説明と、自分の思考回路との間の差をなくします。正答が書けていたとしても、思考回路が異なっている場合は多くあります。もちろん政党へのアプローチは種々あるので、ここでは信頼できる問題集を選ぶことが重要になります。おすすめなのは、
『システム現代文』出口汪 水王舎
です。王道かつわかりやすいアプローチで解説が成り立っているため、これを使えば間違いはないでしょう。そこに書いてある解説を熟読し、自分のあやふやだった思考回路、間違っていた思考回路、を訂正します。この訂正は、瞬時に出てくるまでやりこんでください。そのやり込みが、後に、無意識の正しい思考回路へと繋がります。
⑶少しずつ問題をレベルアップしていき、実践を重ねる
⑵の段階の目処がついたあら、問題の難易度を少しずつあげていきます。急に難易度を上げることは絶対にしないでください。正しい思考回路の定着がおざなりになり、付け焼刃のような能力になってしまうからです。着実に少しずつ。これが一番手っ取り早いのです。急がば回れです。おすすめなのは
- 『現代文解法の新技術』柴田敬司 桐原書店
- 『読解 現代文問題集』梅沢眞由起 旺文社
です。
『現代文解法の新技術』は、並び替え問題、空欄問題、要約問題…と多岐にわたる、あらゆる設問の種類を網羅しており、色々なパターンで自分の思考回路を実践することができます。
『読解 現代文問題集』は、非常に問題文の質が良く、奇問も無いため、順当に自分の能力を測る事ができるでしょう。
以上、現代文の必要性とその応用性・その現代文の勉強法について説明してきました。受験の根幹を為すのは現代文ですよ!心して生徒さんに取り組ませてあげてください。
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