えりありどるえん(襟 蟻 ドル 円)
いきなりの呪文のような言葉に面食らった人もいるでしょう。しかし、イオン分析はこの“えりありどるえん”ですべての手順を網羅することが出来ます。まずは、この呪文を10回声にだして唱えてみましょう!覚えられるはずです。
さて、イオン分析には大まかな手順が決まっていて、種々のイオンが入った溶液に
①塩化物イオン(普通は塩酸)をいれる
②硫化物イオン(普通は硫化水素)をいれる
③強アルカリ性、またはアンモニア溶液をいれる
④硫化物イオン(普通は硫化水素)をいれる
⑤アルカリ土類金属(と鉛)の除去
⑥炎色反応
の順番で操作を行います。
問題によっては④や⑥など行われない操作がありますが、これ以上の操作は行われません。
これらの操作をすることで順々に金属イオンを化合物として沈殿させ、分離することが出来るのです。
冒頭の”えりありどるえん”は、え(えん化物イオン)り(りゅう化物イオン)あ(アルカリ性、アンモニア)り(りゅう化物イオン)どる(アルカリどるい金属)えん(えん色反応)の意味だったのです!
さて、まず操作の順番を覚えてもらったところで、次にそれぞれの操作をしたらなにが沈殿するかをゴロで覚えていきましょう。
①ぎんなまに苦労しろ!
塩化物イオン(Cl-)は銀、水銀、鉛イオン(Ag+、Hg2+、Pb2+)と白色沈殿を生じますが、これは
ぎん(銀、水銀)なま(鉛)に苦労(Cl)しろ!(白)
と覚えましょう。
補足ですが、塩化鉛(PbCl2)だけは熱湯に溶けることも覚えておきましょう。
②ぎんなまはどうすんの?
酸性溶液中において硫化物イオン(S2-)は銀、水銀、銅、スズイオン(Ag+、Hg2+、Cu2+、Sn2+)と黒色沈殿(SnSのみ褐色沈殿)を生じますがこれは
ぎん(銀、水銀)なま(鉛)はどう(銅)すん(Sn)の?
と覚えましょう。
③アルカリ金属、アルカリ土類金属以外沈殿する
アルカリ性の溶液(OH-、NH3)はアルカリ金属、アルカリ土類金属以外と沈殿します。(基本白色沈殿ですが例外も多々あるのでこれは各自覚えましょう…。)
ここで厄介なのはOH-を多量に入れると一度沈殿したAl(OH)3、Zn(OH)2、Sn(OH)2、Pb(OH)2は溶けてなくなってしまうという事です。これは錯体を作ることによって生じるのですが、ここでは
あ(アルミニウム)あ(亜鉛)すん(Sn)なり(鉛)と溶けていく
と覚えましょう。
さらにNH3を多量に入れると一度沈殿したZn(OH)2、Cu(OH)2、Ag2Oが錯体を作り溶けてなくなってしまいます。ほかにも錯体をつくる金属はありますが、大学受験ではこれくらいで十分です。これは
あん(亜鉛)どう(銅)のぎん(銀)
と覚えましょう。
④煮ても黒だが、あえると白くなる 【硫化物イオンの沈澱】
塩基性溶液中において硫化物イオン(S2-)はニッケル、鉄イオン(Ni2+、Fe2+)と黒色沈殿、亜鉛イオン(Zn2+)と白色沈殿を生じますが、これは料理をイメージして
に(Ni)て(鉄)も黒(黒)だが、あえる(亜鉛)と白く(白)なる
と覚えましょう。
硫化物イオンの沈殿は基本的にこれらを覚えれば良いのですが、難関大学を目指している人は
CdS(黄色沈殿、酸性・中性・塩基性溶液中で沈殿)、MnS(桃色沈殿、塩基性溶液中で沈殿)も一緒に覚えておきましょう。
酸性溶液中から沈澱し始めるのは、銀Agイオン、鉛Pbイオン、水銀Hgイオン、銅Cuイオン、カドミウムCdイオン、スズSnイオンがあり、Cdイオン以外は黒色の沈澱をとります。
⑤生卵流の白いアイドル 【炭酸イオン、硫酸イオンの沈澱】
炭酸イオン(CO32-)または硫酸イオン(SO42-)はアルカリ土類金属と鉛イオン(Pb2+)と白色沈殿を生じますが、これは
なま(鉛)た(炭酸)まごりゅう(硫酸)の白い(白)アイドル(アルカリ土類金属)
と覚えましょう。
詳しいことを言うと、炭酸イオンは基本的にアルカリ金属以外と沈殿を生じますが受験に出てくるのがアルカリ土類金属と鉛との沈殿だけなので大丈夫です。
⑥リアカー無きK村動力借りとうするもくれない馬力 【炎色反応の色】
炎色反応のゴロ合わせは有名ですね。
リ(Li)アカー(赤)な(Na)き(黄)K(K)むら(紫)どう(Cu)りょく(青緑)かり(Ca)とう(橙)する(Sr)もくれない(紅)ば(Ba)りょく(黄緑)
と覚えましょう。
さて、二回にわたってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。すこしでも楽しんで暗記できるようにゴロを作ってみましたが、一番の暗記方法は自分でゴロを作ってみることだと思うので、何か暗記できないことが目の前に現れたら自分で試行錯誤してゴロを作ってみて下さい。“えりありどるえん”を是非呪文のように唱えて金属のイオン分析をマスターしてみてください。
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