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なんとなくでは終わらせない!!小論指導にも活かせる環境問題の原因と被害を復習①

高校生

2021/12/17

高校地理で学ぶ重要テーマに「環境問題」があります。有名なところでは、地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯林の減少、砂漠化の進行などが考えられます。しかし、これら問題の原因について改めて生徒さんから質問されるとなかなかうまく回答できない方もいるのではないでしょうか?今回の記事では環境問題の原因、被害、対策を分かりやすくまとめて解説したいと思います。「そういえばこんな因果関係だった!」と思い返す方が多いのではないかと思います。この記事では地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、砂漠化の進行について取り上げます。

  1. 地球温暖化・酸性雨・オゾン層の破壊
  2. 熱帯雨林の減少・砂漠化の進行

環境問題とは? -1.地球温暖化・酸性雨・オゾン層破壊の原因-

そもそもここでいう「環境問題」とは何でしょうか?かっちりとして定義があるわけではありませんが、ここでは「被害、影響が一国内にとどまらず、地球規模にまで広がるような環境問題」とします。なんだかトートロジーになっていますが、具体例を考えた方が分かりやすいでしょう。
例えばごみ問題を考えてみると、局地的には問題ですが国境を越えて影響があるような問題ではありません。ですのでごみ問題はここでいう「環境問題」には該当しません。一方、酸性雨や地球温暖化などのようなものは地球規模であることは当然ですね。酸性雨は、場合によっては他国で排出された物質が原因となって被害が自国に生じることもあります。地球温暖化も、他国で排出された物質が原因となって温暖化が進行し、結果危なくなるのは海抜高度が低い地域ですから、影響が国境を越えていると言えそうです。ですので酸性雨や地球温暖化などはここでいう「環境問題」に含まれます。

今回の記事では前半部分で紹介する酸性雨、地球温暖化、オゾン層の破壊という3つの環境問題の原因については、実は同じなのでまずここで解説したいと思います。
原因は一言でいうと工業化の進行です。工業化の進行によって化石燃料(例えば石炭や石油)の大量消費が進み、それらによって排出された有害物質がそれぞれ違う被害、現象となって3つの問題となって表出します。それではそれぞれの問題の被害、対策について説明していきます。 

 酸性雨の被害、対策について

前述の通り、原因は化石燃料の大量消費です。これによって排出される硫黄酸化物、窒素酸化物が酸性雨を引き起こします。被害としては

枯れた森

 
・湖沼、河川、土壌の酸性化
・森林の枯死
・石造建築物の溶解
 
などが挙げられます。右の写真のように森林が枯れたり、銅像が溶けたりします。よく教科書で掲載されているのは「考える人の銅像の一部が溶けている写真」でしょうか?
対策としては一応1979年に長距離越境大気汚染防止条約が結ばれました。これは加盟国に対して、酸性雨等の越境大気汚染の防止対策を義務づけるとともに、酸性雨等の被害影響の状況の監視・評価、原因物質の排出削減対策、国際協力の実施、モニタリングの実施、情報交換の推進などを定めたものになります。 

 地球温暖化の被害、対策について

これも原因は化石燃料の大量消費です。これによって生じる二酸化炭素やメタンなどが地球温暖化の原因です。これらの物質が、地球から熱が逃げていくのを妨げてしまうためにこのような問題が発生してしまいます。生じる被害としては

南国の海岸風景

 
・海面の上昇(国の存亡が危なくなりうる。Ex.ツバル
・気候の変動
 
です。左の写真はツバルの写真ですが、島国で海抜高度も低いので海水面が上昇していくと水没してしまう可能性が出てきてしまいます。地球温暖化の対策としては近いものでは1997年の京都議定書が挙げられます。例えば第3条では、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも 5%削減することを目的と定めています。その他にも排出量取引共同実施という制度があります。詳しくは調べてみてください。 
 

 オゾン層破壊の被害、対策について

オゾン層の破壊の原因は同様に化石燃料の大量消費ですが、原因物質はフロンガスというものです。オゾン層には紫外線を防ぐ機能がありますが、これが破壊されることによって以下のような被害が発生します。
 
・皮膚ガン
・農産物の減収
 
です。対策としては1985年のウィーン条約や1987年の「オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書」の採択です。ちなみにオゾン層の破壊が比較的進行しているのは南半球です。 

これで地球温暖化、酸性雨、オゾン層破壊の原因と被害、対策を説明しました。

環境問題とは? -2.熱帯林の減少、砂漠化の進行の原因と対策-

ここで次に紹介する、熱帯林の減少、砂漠化の進行については「植生崩壊」が問題となり、植生破壊ひいては光合成量の低下→二酸化炭素量の増加→地球温暖化促進とつながります。前半部分では「化石燃料の大量消費」を地球温暖化の原因としてあげましたが、このような形での環境破壊も地球温暖化につながっているのです。それでは熱帯林の減少、砂漠化の進行をそれぞれ見ていこうと思います。 

 熱帯林の減少の原因・被害・対策について

まず熱帯林減少の原因は何でしょうか?主な原因は下の3つくらいかと考えます。
 
焼畑農業の拡大
・開発に伴う伐採
・薪炭材としての過伐
 
これらの背景には人口爆発や経済開発の進行があるでしょう。
焼畑農業について少し復習してみましょう。焼畑農業は熱帯から温帯にかけて伝統的に行われている農業です。簡単に言うと、森林を焼き払うとその焼き払われた土地の土壌はしばらくの間豊富な養分を含んでいるので、その土地を利用して農業を行うものです。しばらく同じ土地を使うと土地が疲弊してくるので、そうしたら次の森林を焼き払って農業を行っていきます。この方法ですと一度使った土地を十分休ませる期間が取れれば問題はありませんが、食糧需要が増えてくるとそれでは追いつかなくなり結果的に森林の消失が加速します。対策に関しては、1994年に締結された国際熱帯木材協定というものがあります。これは2006年にそれを継承する形で再締結され、2011年に発効しました。(細かい内容はこちら→http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty166_12.pdf
 

 砂漠化の進行の原因・被害・対策について

砂漠化の原因については何が挙げられるでしょうか?以下の2点になります。
 
・気候の変動
・過剰な耕作、過剰な放牧など
 
この2点です。被害としては農産物の減収、また熱帯林の減少と同様に地球温暖化への寄与があります。対策としては砂漠化対処条約というものがあります。1994年に採択されたものです。条文は下のようになります(外務省ホームページより)参考程度で問題ありません。


この条約は,砂漠化の影響を受ける地域における持続可能な開発の達成に寄与するため,深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することを目的とする。(第2条1)

砂漠化の影響を受ける締約国は,砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに対して十分な資源を配分するとともに,その対処及び緩和のための努力において住民の参加を促進する。また,このような締約国は,この義務の履行に当たって行動計画を作成し,公表し及び実施する。(第5条及び第9条1)

先進締約国は,開発途上締約国による砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力を積極的に支援し,相当の資金等を提供するとともに,「地球環境ファシリティー」(Global Environment Facility【GEF】)からの資金供与等を促進する。先進締約国は,また,援助の提供に当たって開発途上締約国の行動計画に対する支援を優先させる。(第6条,第9条2及び第20条)

既存の資金供与の仕組みの効果及び効率性を高めることを目的として,資金調達を促進するための「地球機構」(Global Mechanism)をこの条約により設立する。(第21条)

砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する科学技術的及び技術的事項に関する情報及び助言を締約国会議に提供する締約国会議の補助機関として,科学技術委員会をこの条約により設置する。同委員会は,締約国会議の通常会合の際に開催され,学際的な性格を有し,及びすべての締約国による参加のために開放される。(第24条)

 
これで熱帯林の減少、砂漠化の進行についての原因・被害・対策を解説しました。ぜひ生徒さんに整理して教えてあげてください!

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