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プロ講師のリアルな1週間 〜プロ講師:黒磯の場合〜【キャリアコラム#12】

プロ講師のリアルな1週間 〜プロ講師:黒磯の場合〜

こんにちは。ライターの黒磯直行です。

多くの学校では、期末試験の時期になりますね。試験前は、生徒たちも準備が大変なのですが、先生たちも非常にバタバタする時期にもなります。実際、私もここ一週間ほどは、比較的慌ただしい日々を過ごしていました(まだ採点が残っています・・・)。

特に定期試験の作成に関しては、学校によりますが、当然「作っておしまい」とはなりません。出題のミスやタイピングミスのチェック、また、ほかの先生との進度の確認や調整、上長のチェックなどなど、、まあこなすべきことは多い時期です。

同業の皆様、乗り切って素敵な年を迎えましょう!


黒磯 直行 くろいそ なおゆき

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。


目次
過去と今、どう変わった?
経理事務スキルは超重要
最後に

 

過去と今、どう変わった??

さて、前回こちらのキャリアコラム#8では、週休2日に至るまでの紆余曲折についてお話ししました。

では、実際、どのような1週間を送っているのかを具体的に紹介していきます。

今回は、前回の記事に則って、独立当初のスケジュールと今のものを比較しながらお話していきます。

 

独立当初のスケジュール

中林先生の記事でも触れられていらっしゃいますし、また、私の前回の記事でもお話しした通り、とにかく軌道に乗るまでの何年かは「いただいたお仕事をそのままとにかくこなす」というのが、仕事を続けていく(もっと言うと「生きていく」)術でした。

一方で、そうしてしまうと、いかんせんスケジューリングに苦労することになります

 

以下が、私が独立して3年目である2014年当時のスケジュールです。

  •  学校A→週14コマ
  •  学校B(放課後補習)→週2時間(週2回)※派遣
  •  学校C(放課後補習)→週1.5時間(週1回)※派遣
  •  塾A→週10時間(週4回)
  •  塾B→週3時間(週2回)※派遣
  •  専門学校→週3時間(週2回)※派遣  
  •  大学院講義→週1.5時間(週1回)


メインである学校Aと塾A、それに加えて学校BとCでの放課後授業対応、専門学校での指導(TOEIC講義)、そして、週1回大学院での講義を受け持っていたという感じです。

まとめると、学校3校、塾3社、その他2社ということになります。

自分のことながら、まあ、よくもこんなに詰め込んだなと。笑

単価はそう高いものではありませんでしたので、とにかく数をこなすことでカバーしました

駆け出しだったこと、塾Bが郊外だったこと(やはり都心の方が単価は高く出ることが多いです)学校BC塾Bおよび専門学校は派遣としての業務だったことなどが多忙を(意図せずとも)極めてしまった理由だと自分では考えています。

また、見ての通り、とにかく移動が多い

注目は火曜日の学校Aです。1限と5限の2コマです。これは、専任の先生が事情で出勤できなくなった後釜として採用され、コマがそのまま受け継がれたことが原因なのですが、当然、その空きの時間に対する賃金の支払いはありません。それは、日曜日の塾Aも同じことでした。

まだ駆け出しでしたから、要望なんてできません。しかも、これに加えて、授業準備、教材の研究、さらには自営ですので事務処理など、合間を見て作業をする必要もありました。もちろん、終わらなければ、それらの作業は深夜に及ぶことになります。

そんな移動時間や待機時間を考慮すると、時間あたりの平均単価は1,000円超えてなかったんじゃないかな。それでも、お仕事を頂けるだけ、非常にありがたかったです。

このような状態が何年かは続いたのですが、愚直に依頼をこなしていったことで、次の仕事へとつながったり、コネクションが広がっていったりするのです。こうして記事を寄稿することにもつながっています。

 

現在のスケジュール

では、最新の黒磯の一週間です。前回の記事でもお話したとおり、完全週休2日を実現しています。 

 

  • 塾(Z会)→週20時間(週5回)
  • 学校→週13時間(週3回)

 

なんてすっきりとしたスケジュールでしょう!!だいぶ予定に余裕ができました。

塾の時間と学校の間をなるべく接近させるべく、できる限り学校の時間を後ろになるようにお願いしています。

また、程よく空きを作ってもらい、その時間にプリント類の準備や教材研究の時間に充てるようになっています。学校と塾を1つずつに絞れたことで、移動時間も飛躍的に減少しました。

塾の方も、前回お話しした通り、ある程度固定された時間で勤務することができています。また、時間に余裕ができたため、教材研究にも時間を割くことができ、より魅力的な授業を展開することができるようになり、さらには、子供たちをより細かく気にすることにもつながりました。

それによって、生徒の評判や保護者の満足度にもつながっています。それはすなわち、企業や学校側の私への評価も向上させることになるのです。

また、それ以外にも、仕事に関連することに限らず、広い視野から物事を見ることができるようになってきました。

これにより、他の講師との差別化も可能となり(つまり、自分の強みを作ることができたのです)、企業や学校が自分をより必要としてくれる要素にもなっていると自負しています。

業務を絞ることができたのは、前回の記事でも触れたとおり、単価の上昇が最たる原因です。信用と実績を構築しながら、次を見据えた行動を心がけていくことで、様々なことがプラスに転じていくのを身をもって感じています。

 

経理事務スキルは超重要

独立するなら、「お金と法律の知識」は必要

また、独立するにあたって無視できないのが経理事務の負担です。

給与として報酬を得る場合には、年末調整などは各企業(学校法人)にやってもらえますし、経費の計算が必要ないので、特に問題になることはありませんが、それでも、複数社以上から給与を得ている場合には、年明けには確定申告をする必要があります

申告自体はそう難しい作業ではないのですが、自分で何を控除できるのか(医療費の10万円を超えた分/住宅ローンなど)といった知識をしっかりつけておかないと、支払う必要のない税金を納めてしまうことになりかねません。

(もっとも、申請の誤りに気づいた場合には、5年以内の申請であれば、再度修正して提出することができます。差額があった場合には返納ということになりますが、手続きが煩雑なうえ、返納も非常に時間がかかります。)

一方、私のように委託として塾などから報酬を得る場合には、毎日の経費計算(帳簿作成)が必要です。

この場合、上記の確定申告のみをすればよい給与所得よりも、はるかに多くのことを知識として持っておく必要があります。

白色申告であれば、簡易的な帳簿で問題ないのですが、それだと特別な控除が受けられずに結果として納税額および国民健康保険税が高額になってしまいます。せっかく個人事業主として働くわけですから、ここは青色申告を目指したいところです。白色申告と青色申告では、納める税額に大きな差が出てきます。

専門的なお話になりますが、講師職の場合、在庫や仕入れがないので比較的帳簿は簡素なものになります。それでも、1週間に1度は、実際の業務から得られた報酬計算と、レシートの管理、また、経費(主に交通費)の計算が必要です。

私は、これを日曜日の午前中にするようにルーティーン化しています。本来は毎日付ける必要があるのですが、毎日の記録は簡素なメモ程度にしておき、それをこの日曜日にまとめている、という感じです。

もちろん、これを税理士や会計士の方に委託することも可能ですが、私は個人で処理をしています。このために簿記を勉強し、37歳にして簿記検定2級を取得し、活かしています(資格試験を受けに行った時には周りが大学生くらいの若い人ばかりで緊張しました笑)。

独立の際には、この簿記に限らず、労働法などの関連法は一度目を通しておくことをお勧めします

法律は知っている者の味方をしてくれます。自分の身を自分で守る必要が出てくるのが独立ということです。子供たちに勉強することを進める立場にある我々ですから、当然、自分も勉強を続けるべきだと思います。 

最後に

今回は、私が独立してから最も忙しかった(そして最も効率の悪かった)時期と、最も充実している現在の実際の1週間をご覧いただきました。プロ講師として独立を考えている方が、将来をイメージするのに役立てて頂ければ嬉しい限りです。

独立(起業)するということは、「自由と責任」という、通常であれば相反する事象を同時に1人で背負っていくということになります。

どちらもコントロールするのは自分です。厳しい半面、今私は、その状況を楽しんでいます。プロ講師になってよかったですか、と聞かれたなら、「よかった!」と食い気味で答えるでしょうね(笑)。それくらい、時間的にも金銭的にも、現在は非常に充実した毎日を過ごしています。

引き続き、質問やコメントをお待ちしています。また、次の記事でお会いしましょう。

 

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黒磯 直行

記事執筆者:黒磯 直行

新卒で早稲田アカデミーに入社。営業部門長などを歴任し、その後スクールIEにて個別指導塾の運営マネージャー。退任後は、Z会進学教室およびZ会東大進学教室にて講師として小中高に渡り幅広く指導を続ける傍ら、私立学校教員としても活躍。講師としてのキャリアは当然のことながら、運営サイドでの実務経験も豊富。20年以上塾業界に身を置いている超ベテラン講師。「社会人としての講師育成が業界には必要だ」との思いのもと、後進育成にも積極的な姿勢で取り組んでいる。

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