高校英語で和訳などの際に難しいのが否定の概念です。特にそれは部分否定と完全否定で表面化します。日本語でも「全員テストの点が80点に満たない」と「全員はテストの点が80点に満たない」という風に紛らわしい表現になります。ニュアンス的に前者は完全否定、後者は部分否定でしょう。こうした意味合いを英語で表現するとどうなるのか?について今回整理しておきましたのでぜひ確認してください。
完全否定と部分否定それぞれの表現
それでは完全否定と部分否定の文で使われる表現をそれぞれ以下で確認していきます。
完全否定で使用される表現
まず完全否定の場合は以下のようなパターンがあります。
①No,Noneが使用されている
②Not + any の組み合わせが用いられている
③Not + either,neitherが用いられている
例えば最初の①のパターンでは以下のような例文が完全否定の文章になります。
・No one stopped chatting. 「誰もおしゃべりをやめなかった」
・None of the members attended the conference. 「メンバーは誰も会議に出席しなかった」
「誰も」と書いてあるように、これらの文は全否定を表します。
次に②のパターンです。②のパターンはこのような例文になります。
・I couldn't have any dinner yesterday. 「私は昨日全く夕食を食べることができなかった」
・I don't have anything to drink now. 「私は今飲むものを全く持っていない」
「全く」という箇所に表れているように全否定の文章です。
そして③のパターンです。例文は下のようになります。
・I don't need either of them. 「私はそれらのどちらも必要としていない」
・I can't trust either Sneech and Big G. 「私はスネ夫もジャイアンもどっちも信用できない」
(※アメリカ版ドラえもんではスネ夫 = Sneech , ジャイアン = Big G と言います)
「どちらも」となるように全否定の意味になります。二つ目の例文で例えばeitherの代わりにbothなどを使ってしまうと「スネ夫とジャイアンの両方は信用していない(どちらかは信用している)」という意味になってしまいます。
部分否定で使用される表現
部分否定の意味になる場合というのは基本的に「全体性とか完全性を表す表現 + 否定語句」のパターンです。この「全体性とか完全性を表す表現」というのは例えば下のような語になります。
all,always,completely,totally,quite,every,necessarily,altogether,entirely,both,…
となります。完全否定の箇所でeitherとbothを用いた場合の差異を簡単に説明しましたが、bothはこちら側に入ります。
・You are not always right. 「あなたがいつも正しいわけではない」
・I can't understand this textbook entirely. 「私はこの教科書を完全に理解できるわけではない」
いずれも部分否定なのが分かりますね。一つ目の例文であれば「(大体の場合あなたは正しいけど)あなたがいつも正しいわけではない」という意味が含まれています。
このように部分否定と全否定には大きな意味の差があります。難しいですが、たくさん練習問題を解かせてあげれば生徒さんも慣れてくると思います。