相加相乗平均の使い方について
ここでは二次の場合の相加相乗平均について書いていこうと思います。
皆さん知っている通り
である。気を付けるべきことは4点あります。
- 共に正の数であることを確認すること
- 等号成立条件を確認すること
- 求まるのはあくまでも取りうる最小値であり、それより大きな値をとることを保障してはいない
- ルートの中に変数を残してはいけない
共に正の数であることを確認すること
反例を見つければすぐにわかるでしょう。例えば、x=-1、y=-2の時などです。
等号成立条件を確認すること
これを確認することで数値として取りえないx、yの値を消去することができる点で大変大事です。例えばx+1/x(x>=3)について最小値を求めよと言われたら、相加相乗平均を用いると2以上となるが、実際に等号成立が成り立つのはx=1の時であり、条件からこれは取りえない。だから、この場合は
y=x+1/xと置きxの関数としてグラフを描きx>=3以上での最小値を求めなければなりません。
このように、実際に最少値を求めただけで安心せずにちゃんと条件をすべて満たして成立し得るかを考えるのが大変大事です。
求まるのはあくまでも取りうる最小値であって、それよりも大きい値を取ることは保障されていない
これは自分が昔やってしまったミスですが、問題文で範囲を求めなさいと言われている時に、気を付けなければいけないことです。そもそも相加相乗平均は関係式であるので実際に評価したい式が最小値以上の値を取るかは保障してくれません。
例えばx+1/x(x>0)の取りうる範囲を求めなさい、と言われた時を考えましょう。相加相乗平均を用いるとこの数式は2以上となり等号も成立してくれていますが、これでは本当に2より大きい値を取るかはわからず不適切です。ですから。xの関数として微分しグラフを描くことが手っ取り早いでしょう。
ルートの中に変数を残してはいけない
ルートの中に変数を残してはいけない理由は、等号成立条件が確認できないからです。また、上記と同様の理由ですが十分性の確認は大事です。
実際に相加相乗平均が使える例
x/y+y/x,x+1/xx,xy+1/xy
など色々考えられます。
1つ目、3つ目はわかると思いますが、2つ目はどうでしょうか?
2つ目は三次の場合の相加相乗平均を用いれば解決できます。
ということです。この場合もちゃんと上記の条件を満たしてくれているので最少値をもとめるだけならこれでできます。
以上2次、3次の場合の相加相乗平均について述べてきましたが、n次の場合でも同様の議論ができます。
不等式は便利なものだけにちゃんと使わないといけないことが分かったのではないでしょうか?