①2つの奇数の和は偶数である。
当たり前すぎて公式とも思わず、常識と思っている方も多いことでしょう。まずは手元の紙で一度証明を書いてみることをオススメします。
証明できましたか?それではまずは誤答を見てみましょう。
誤答
(証) 自然数nに対し、2つの奇数は2n + 1 , 2n – 1 と表せるので
(2n + 1) + (2n -1) = 4n = 2(2n) 2nは自然数なので4nは偶数である。
以上より2つの奇数の和は偶数であることが証明された。(終)
どこがダメか分かりましたか?
この問題で注意してほしいことは「余計な条件を自分で勝手につけない」ということです。上の解答を見てみましょう。2つの奇数を2n-1 , 2n+1 と表しましたが、(2n+1)-(2n-1) = 2 です。 つまり、この表し方は「連続する2つの奇数」と条件が厳しくなっているのです。では正しい解答を見てみましょう。
正しい解答
(証) 2つの自然数m, nに対し、2つの奇数は2m-1, 2n-1 と表せるので
(2m -1) + (2n -1) = 2(m + n -1) , m-n+1 は自然数なので2(m+n-1)は偶数である。
以上より2つの奇数の和は偶数であることが証明された。(終)
いかがでしたか?任意の2つの奇数の和を計算することが今回のポイントでした。最初のうちは無意識のうちに余計な情報をつけてしまうことはよくあることです。客観的な視点で説明ができるようになりましょう!
なぜ公式の証明問題が出題されるのか?
次の問題に行く前に少し休憩しましょう。証明問題について少し考察してみます。
公式の証明問題を作問者が出す意図は何か考えたことありますか?
実は、証明問題は「公式の意味をきちんと理解しているか」を試しています!きちんとした理解を見るので、説明するときに用いる文字の定義、式の変形は論理的に進める必要があります。
次は数Ⅱの指数、対数に関する公式です。
②次の公式を示せ。
先ほどとは異なり、この式の証明は見慣れない人が多いかもしれません。指数、対数を習ったばかりの人には難しく感じるかもしれません。では少し考えてみましょう。時間は5分で十分です。
解けましたか?やれることは限られているのでやっていけばすぐ示せるはずですが・・
まずは誤答です。
誤答
与えられた式の両辺に底がaの対数をとると となる。
この左辺は と変形できるのでこれは右辺と等しい。
以上より題意は示せた。(終)
実は両辺に底がaの対数をとるだけで証明できる簡単な問題でした。しかしこのやり方では×になります。なぜだか分かりますか? では今回はまず正しい解答を見てみましょう。
正しい解答
与えられた式の辺々について底がaの対数をとると
= ,
となり同じ式が得られる。以上より(左辺) = (右辺)が示せた。
これで分かりましたか?最初の誤答の証明は等式のまま変形を加えているところが誤答の原因です。正しいといわれている式のままlogをつけても式は当然成り立つわけです。一方、正しい証明では一旦、左辺と右辺に分けて、同じ変形を施した結果、同じということが示せたので、分けた左辺と右辺は同じである と論理的に議論を進めることができています。
まとめ
今回学んだことをまとめると
・客観的に説明すること(思い込みの条件を付け加えない!)
・証明すべきことを使って証明をしないこと
の2点です。まとめてみると大したことではないと思うかもしれませんが、これが意外と難しいことです。証明問題は慣れてしまえば得点源です。頑張りましょう!!