古文をきちんと読んで解釈するためには、基本的な古典文法をしっかりと頭に入れて、さらにそれを自由に使いこなせる必要があります。古文は覚えなければならないことも多くてどうも苦手だな……という高校生も多くいると思います。ですが、古文も日本語であり、書いた人々は大昔の人とは言え我々と同じ日本人なのです。まずはこの認識が古文を好きになって得意になる第一歩なのではないかと思います。
さて、今回は識別が必要な言葉の中でも特に頻出である「なむ」を取り上げます。これをしっかりとマスターさせてあげてください。
「なむ」は3種類ある!(終助詞、係助詞、助動詞「ぬ」+助動詞「む」)
まず、「なむ」には3種類あります。そして3種類とも全く違う言葉です。
①「願望」の終助詞
②「強調」の係助詞
③「完了、強意」の助動詞「ぬ」の未然形「な」+「意志、推量」の助動詞「む」終止形
さて、例文を見てみましょう。
1、外山のかすみたたずもあらなむ
2、その人、かたちよりは心なんまさりたりける
3、船にのりなむとす
1~3は全て「なむ(なん)」が含まれていますが、全て意味や使われ方が違います。ひとつひとつ詳しく見てみましょう。
①「願望」の終助詞「なむ」
この終助詞は未然形に接続します。意味は「あつらえの願望」で、「~してほしい」と訳します。例文1を見てみましょう。「あら」はラ行変格活用動詞「あり」の未然形です。よってこれに接続している「なむ」は願望の終助詞で、「あらなむ」で「あってほしい」と訳せます。例文1全体を訳すとこうなります。
1、近くの山の霞がたたないでいてほしい
②「強調」の係助詞「なむ」
文末に注目しましょう。係助詞は文中で使われると係り結びの法則により文末が終止形ではなくなります。(こちらの記事も参考にしてみてください。【古典文法の必須事項!係り結びの法則まとめ!】)「なむ」が文中で使われると文末は連体形になります。例文2を見てみましょう。文末の「ける」はラ行変格活用の過去の助動詞「けり」の連体形です。よって係り結びの法則が成立しているので、この「なむ」は強調の係助詞です。強調は特に訳出する必要はないので、例文2はこのように訳せます。
2、その人は容貌よりも心が優れていたのだった
③「完了、強意」の助動詞+「推量、意志」の助動詞
この場合の「なむ」は一語ではなく、「な」と「む」に分解できます。完了の助動詞「ぬ」は連用形に接続します。例文3を見てみましょう。「なむ」が接続している「のり」はラ行四段活用動詞「乗り」の連用形です(四段活用では連用形と終止形は形の上で判別がつかないのですが、文が終わっていないので終止形ではありません)。よってこの場合の「なむ」は「完了」+「推測」です。時には「強意」や「意志」で訳す場合もあるので臨機応変に対応しましょう。例文3を訳すとこのようになります(この場合「意志」です)。
3、船に乗ってしまおうとする
まとめると、以下のようになります。
・未然形に接続→「願望」の終助詞(~してほしい)
・連用形に接続→「完了、強意」+「推量、意志」(~だっただろう、~てしまおう、きっと~だろうetc)
・係り結びの法則が成立→「強調」の係助詞(訳に反映させる必要なし)
「なむ」の訳出次第で文意は大きく変わってしまいます。このような文法知識をしっかりと押さえた上で、文脈から判断して適切に訳せるようになることが肝要です。ぜひ文法の基礎をしっかりと固めた上で様々な古文を読み、古文を得意になってほしいと思います。
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