今回紹介する分野は
- 水の状態図
- 蒸気圧降下
- 沸騰
です。
水の状態図
状態図:ある温度・圧力で、物質がどのような状態で存在するかを表した図
この図には融解曲線、蒸気圧曲線が描かれます。さて、水の状態図の特徴としては
水を加圧すると液体方向に状態変化がおこる
が挙げられます。簡単に言うと、圧力が大きいと氷が液体になるということです。
ここで取り上げるべきエピソードはずばりこれです!
スケートリンクは多くの人が滑っているのに削れた分の水や氷を追加しなくていいのか?
浅田真央さんなど有名なスケーターの名前を挙げるとより生徒の関心が集まるでしょう。
○解説
スケート上で滑る原理は本当のところは分かっていませんが、有力な説の一つをご紹介したいと思います。スケートで滑ろうとする方向へ体重をかけると、細い刃先(エッジ)に強い圧力がかかり、氷が部分的に融け、液体の水が生じて、これが減摩剤となって滑ることができる。そして圧力がなくなると、水は直ちにもとの氷に戻る。(このことを復氷と呼ぶ)したがって、0度以下ならばいくらたくさんの人が滑ってもスケートリンクが融けることはない。
要するに、滑るときは水になり、滑り終われば氷となるので、気温さえ低くしておけば元の氷の状態になるということです。多少、水が飛び散るかもしれませんが、ほぼ平坦な氷であることに変わりません。
蒸気圧降下
蒸気圧降下:純粋な液体に対して不揮発性物質(スクロース(ショ糖)など)を溶かして溶液にすると、もとの順溶媒に比べて蒸気圧が低くなる現象のこと。
ここで取り上げるエピソードは
水道水でぬれた衣服と海水でぬれた衣服はどちらが乾きやすいか?生徒は最初「どっちが速いなんてあるの?」と疑問に思うはずです。塩という不揮発性物質の例を挙げることでより興味をもたせることができます。
○解説
海水では塩が含まれているので、蒸気圧降下により水の蒸気圧が小さくなり、蒸発しにくい。従って、水道水でぬれた衣服のほうが乾きやすい。
蒸気圧降下の他にも、水に塩を加えると0℃を下回っても凍らない、などの現象も紹介してあげるのもどうでしょうか??
沸騰
沸騰なんて水だと100度になることじゃないの?と思っている生徒も多いはず。できる限り定義通りに説明したいところです。
沸騰:沸点(水の場合、100℃)に達し、液体の表面からだけでなく、内部からも気化が起こり、気泡がのぼりはじめる現象
沸騰にはいくつかネタがあるので紹介していきます。
沸騰と蒸発の違いは??水は100℃で蒸発しているの??この質問をすることで、沸騰の定義である「内部からの気化」を強調付けることができます。
解答としては、水は100℃では蒸発している。なぜならば、液体の表面で気化しているから。また、液体の内部で気化(泡が出ている)が起きているから沸騰している
と説明できます。
さらに、沸騰といえば、沸騰石を入れると突沸を防ぐことができる話もできますね。
沸騰石を入れるとなぜ突沸を防ぐことができるのか?
厳密にいえば、蒸気発生のための核がなければ沸騰が始まらず...となるわけですが、今回は沸騰石の性質について簡単に説明するやり方を挙げておきます。
○解説
沸騰石は液体に入れておくと少しずつ空気の小泡を放出し、その泡が沸騰がおこるのを助ける役割を果たす。
沸騰の話は中学理科でも小学理科でも使える話かもしれません。授業を行う時には生徒のレベルに合わせた解説が必要です。今回は、水の状態・蒸気圧降下・沸騰に関して分かりやすい解説を紹介しました。小ネタを使って、生徒が興味を持てるような授業にしていきましょう。