現代社会と政治経済の科目はなにが違う?
高校によって違う?
まずはじめに、政治経済は人によって履修時期または状況が異なります。たとえば、
1年次に現代社会を履修後、2(もしくは3)年次に政治経済を選択した。
1年次のはじめにいきなり政治経済を履修した。
いま、現代社会と政治経済を平行して履修している。
このような声を、実際に生徒さんから聞きました。そう、高校やその生徒さんによってバラバラなのです!また単位制の高校では、政治と経済を別の科目として扱っていることもあるそうです。ですから、その生徒さんの履修状況をきちんと把握した上で、定期テスト対策を講じる必要があります。
とにかく難しい!?
高校生にとって政治経済は決して簡単なものではありません。いくら日常の中で何気なく耳にしている言葉でも、きちんとした理論や使い方はあまり知らないはずです。とはいえ、生徒さんたちは授業の中で一通り中身の説明を受け、定期テスト前には復習をするでしょう。この作業が苦になっている人は大勢いるはずです。
ズバリ現代社会との違いは?
最初にもあるように、現代社会との違いは何なのか?気になりますよね。結論をいえば、ほとんど同じです!内容が被っているといったほうが正しいかもしれません。
ただ、現代社会は範囲が広く倫理分野もカバーしているので、入試の際はすべての範囲の対策をする必要があります。それが現代社会の受験者が少ない理由かも知れませんね。
問題の傾向と対策
政治分野の場合
高校のシラバスや先生によっても多少の違いはありますが、一般的に教科書や参考書は政治分野から始まります。政治分野は、さまざまな法律、制度、そして国際関係と、幅広い分野になっています。中でも日本国憲法の暗記や裁判員制度の理解、国際政治の動向は定期テストによく出ると思います。
なぜならニュースになりやすいからです。先生たちも、なるべく政治(経済)に興味を持ってもらおうと、よく新聞やニュースにあがるトピックスを持ってくるのです!ですから講師のみなさんはぜひ、新聞やニュースによく目を通してくださいね!同様に、生徒さんにもすすめてみてください。他にわたしがよく言っていたことがあります。
資料集を使え!
これは本当におすすめです。なぜなら、資料集には憲法はもちろん、国会、内閣、裁判所のしくみ、さまざまな事件や年表がカラーの図や写真で紹介されているからです。人間が何かを学習するときは、目や耳で取り入れた情報が一番役に立ちます!授業では生徒さんに資料集を持ってきてもらい、それを見ながらこちらが補足していくスタイルでやってみてはいかがでしょうか?
指導例
授業で【基本的人権の保障】を 扱う場合です。中でも【信教の自由】に関しては、数多くの事例が存在します。例えば、津地鎮祭訴訟、愛媛玉串料訴訟、そして靖国神社参拝問題などが有名です。このとき、まず最初に自由権の意義や種類(信教の自由、表現の自由、学問の自由……)を確認します。生徒さんに配るプリントを用意する場合は、わかりやすく種類分けすることをお勧めします。わたしは以下のようにまとめて教えていました。
基本的人権の保障
①自由権
自由権の意義……人の活動に対する国や公権力の干渉や制約を排除する権利
(1)精神的自由
a. 信教の自由(20条)……内心における信仰の自由及び布教や宗教上の儀式・行為などを行なう権利
事例: 津地鎮祭訴訟、愛媛玉串料訴訟、靖国神社参拝問題など
b. 思想・良心の自由
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(2)経済的自由
a. 居住・移転・職業選択の自由(22条)
事例: 薬事法違憲訴訟
次にプリントと併せて資料集で事例を確認しましょう。授業では必ず資料集を開く習慣をつけましょう。また「靖国神社参拝問題」は最近でもニュースになっており、日々内容が更新されています。政治経済はめまぐるしく動いているので、知識もリニューアルするように心がけていきましょう。余裕があれば、このセクションに対応した問題集やセンター試験の過去問を解き、定着させましょう。
経済分野の場合
「この分野はちょっと・・・。」
「説明が面倒だな…。」
そう思っている講師の方もいらっしゃると思います。特にインフレとデフレの説明や、円高と円安の説明はゆっくりじっくりでないと生徒さんも頭がこんがらがってしまいます。
また、最近では情報化社会や少子高齢社会、環境・エネルギー問題といった現代社会特有の問題も教科書に載っており、講師たちの勉強も必要になってきています。今まで実際にわたしが見てきたテスト問題に多かったのは、金融・財政のしくみ、労働問題、そして環境・エネルギー問題です。出題形式としては、4択問題、語句を答える問題、語句説明がほとんどです。高校によっては、センター試験の過去問題をそのまま出題していたケースもありました・・・。
おすすめの参考書ってあるの?
よく使われている参考書と、その参考書を実際に使った生徒さんたちから集めた声をまとめました。
政治・経済用語集(山川出版社・清水書院)
これが1冊あると大変助かります。講師であってもわからない語句は多々あります。また、自分が学生のときに存在していなかった新出語句もあります。最新版を用意すると良いでしょう。
使い方としては、語句を調べるときはもちろん、生徒さんに口頭試問を課すこともできます。語句を言って内容を答えさせたり、逆に内容を言って語句を答えさせたりしても楽しみながら学習できると思います。
生徒さんの声:清水書院の用語集はマイナーな用語も載っていて安心だった。
資料集(高校・塾によって異なります。)
上記にもある通り、豊富な絵や図、写真が学習理解をいっそう深めます。特に経済分野に多いグラフや表はカラーで見やすいです。使い倒しましょう!
新聞
高校によっては定期テストで新聞記事がそのまま出題されることがあります。1〜2年生は宿題で新聞記事のスクラップが課題になることもしばしば。気になる記事はチェックしておきましょう。
赤本
これは3年生向けです。先ほども書きましたが、センター試験の問題がそのまま出題されることがあるならば、赤本の問題も可能性があるわけです。上位校の生徒さんはある程度学習し、自信がついたようでしたら赤本の問題に手を伸ばしてみるのも効率的かもしれませんね。
解決!センター政治・経済(Z会)
センター試験対策にはもってこいの参考書です。ポイントが絞られており、問題を解きながら基本事項の確認ができます。また、その事項に関する内容も同時に確認でき、非常に効率的な学習ができます。
生徒さんの声:国公立大学志望だったので、時間も限られていたためこの参考書にとても助けられました!
マーク式基礎問題集政治・経済(河合塾)
この問題集はわたしも使っていましたが、すべての章がほとんどの教科書に沿っていて、使いやすいと受験生から支持されています。解説の量も豊富で詳しいのでおすすめです。
実力をつける政治・経済80題(Z会)
私立大学もしくは国公立2次受験用です。実際に私立大学の入試で出題された問題をベースに構成された問題集です。センター試験対策には必要ないかもしれません。
生徒さんの声:GMARCH以上を受験するなら解いておくべきだと思った。記述式の問題も数多く載っていて、練習できて良かった。
センターへの道(山川出版社)
ぜひ、1〜2年生のうちに使ってほしい問題集です。基礎的な問題が多く、山川出版社の教科書を使っている生徒さんには特におすすめします。定期テストにぴったりです。
塾でやるべきこと
進捗確認
必ずしてほしいことは、生徒さんの学校の授業の進捗です。上記にあるように学校によって、先生によって授業の進み具合や扱うテキストが異なります。
また、定期テストの結果も見せてもらうようにしましょう。限られた時間で対策ができるよう、前回のテスト結果をもとに傾向を掴み、アドバイスできるように準備しましょう。これは、保護者さまに進捗をお知らせするときにとても役立ちますよ。
スケジュール管理
次に塾のカルテやカリキュラムに、上記の情報を基本情報として記入し、指導する際の材料にしましょう。そして、次の定期テストまでに何をどれだけこなせば良いか、予定を組みましょう。スケジュール管理が大切だと思います。
補講
政治経済の授業を受講していない場合は、定期テスト前や、塾の授業がない日に補講を組むなどして効率よく指導しましょう。講師のみなさんの負担も増えてしまうかもしれませんが、政治経済を教えられる人はそう多くないと思いますので、ぜひ生徒さんの力になってほしいと思います。
体験談
わたしの生徒さんは政治経済の赤点が原因で、進級が怪しくなってきてしまったのです。さすがに焦って土日も欠かさず塾に来るようになり、わたしも一緒に対策を立てました。
まず今までの定期テストの結果を集計し、取りこぼしの多い分野をチェックしました。その生徒さんは復習を全くしていなかったため、毎回同じ分野でのミスが見られました。このとき復習の重要性を知ったようです。また資料集や用語集を使っていなかったので、語句の意味を正しく捉えていなかったようです。知らない語句が出てきたらすぐに調べる習慣をつけました。これで自習のときも困らなくなったようです。
しかし単純な説明だけでは飽きてしまいます。資料集や新聞記事を開いて面白い話をしてみるとか、なるほど!と思うようなトリビアを教えて授業を楽しくする工夫もしてみました。そのほうが記憶に残ってテストでも役に立つことが意外とあるのです。補講が楽しく思えるなんて、素敵ですね。
この生徒さんは無事に進級し、今では勉強も部活動もしっかり両立できているようです。ときどき塾で眠たそうにしていますが、これからもがんばってほしいです。
最後に
政治経済は塾で受講される生徒さんはあまりいないかもしれません。定期テスト対策だけちょっと教えてほしい…ということがほとんどだと思います。
しかし、政治経済の内容は定期テストがすべてではなく、将来的に必要な知識になります。ですからぜひ、政治経済の大切さを講師のみなさんから生徒さんに伝えてほしいと思います。一番大切なのは、私たち講師の学ぶ姿勢なのかも知れませんね。