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【英語講師必見】教えるときに気をつけたい!長文で狙われる省略・挿入・同格について

高校生

2021/12/17

生徒にいつ教えるべきか

記述の試験のとき、並び替えや英作文の語数合わせなどで役に立つかもしれないこの単元。しかし、センター試験など英語がマーク式の試験も多く存在します。実際、この単元は長文では狙われますが、並び替えなどはあまり出題されず、まして英作文でこの技法を使ってもそこまで評価されることはないでしょう。将来海外に行ったときに役立つ!という理由付けをしても生徒からしたら「受験に役に立たないのかよ」と軽視される恐れがあります。そこで私が考えるのは

「長文で出てきた時に必要に応じてその都度解説する」

という方法です。一度にまとめて取り上げても生徒の学習意欲が上がるとは思えません。実際、不定詞・動名詞・関係代名詞を習熟させることが優先順位の高い項目です。問題を解くうえで省略を見抜く必要がある場合には「省略というのは~」と説明してあげたほうが生徒の力につながるでしょう。一方で、生徒に「省略ってどんなときに起こるの?」と聞かれたときに体系的に説明できるように、先生として身につけておくべき単元です。

それではまずは「なぜ?」というところから解説していきます。

基本的な文構造が決まっている英語でなぜ変形した文があるのか? 

日本語における語順に対する制約は英語に比べて自由度が高いといわれています。たとえば、

わたしはテニスを彼と一緒にしました。

わたしは彼と一緒にテニスをしました。

という2つの文はどちらも日本語として問題ない文です。一方で、英語では基本的な文構造はきちんときまっています。先ほどと同じように2つ英文を並べてみましょう。

I played tennis with him.

I with him played tennnis.

どちらが正しいかは一目瞭然ですね。上の文が先ほどの2つの日本語の英訳として正しい文です。下の文は

S V O の第三文型と形が異なるので英語の文としてはおかしいとみなされます。英語には5つの文型があり、この5つに合っていないものは英文としてみなされません。

さて、ここからが本題です。英語を使う時、誰もが語順のルール従いながらも、・「言わなくてもすぐわかるから省略する場合」・「自分の個人的な補足を入れたい場合」・「より具体的に説明したい場合」などといった変形を加えたい時があります。それぞれ、省略・挿入・同格と呼ばれています。このときにも一定のルールに則って語順に変形を加える必要があります。それでは1つ1つ細かく見ていきましょう。

 

省略

冒頭でも日本語でよくやる例として挙げた省略です。文を簡潔にするために一度出た語句の繰り返しを避けることがよくあります。実はすでに中1のときから英語でも省略を使っていたことを分かっていますか?

例えば、 Do you know him?  と聞かれてYesで答える時、 -Yes, I do. と I know him を I do と省略していますよね。これも省略の1つです。このような短い文であれば迷うことはありませんが、少し長くなった時、どのようになるか見てみましょう。

1.The girls were brave, but the boys were not.

2.You may go wherever you want to.

(女の子たちは勇敢だったが、男の子たちはそうではなかった。)

(どこでも好きなところに行っていいよ。)

1.ではthe boys were not の後に、braveが省略されています。このように、補語になる語句がすでに出ており、言わなくてもわかる場合に省略されます。

次の文のように、補語ではなく動詞が省略されることもあります。

Kate ate a French fries, and Mary a hamburger.

動詞が省略されるとなるとかなり迷う人も多いはずです。後半部分を「メアリーがハンバーガーになった」と誤訳する可能性があります。この文は(ケイトはフライドポテトを食べ、メアリーはハンバーガーを食べた)という日本語訳になります。このような場合、but やandの前後の文構造が同じであることがポイントです。文構造が同じであれば、共通する要素を省略しても相手に伝わります。

ここまで動詞、補語が省略されてきましたが、同様に主語になる名詞が省略されることもあります。

The boy went upstairs and knocked at the door.

(その男の子は2階へ上がって行って、ドアをノックした。)

2.ではtoの後に動詞のgoが省略されています。動詞の原形が文脈上明らかな場合、toだけを残して動詞の原形を省略します。このときのtoを代不定詞と呼びます。

省略の中でも分詞と絡んで頻出の単元があります。それは「分詞構文」です。例文を見てみましょう。

He broke his left leg skiing in Canada.

分詞構文は日本語訳も慣れないとなかなかすぐには思いつきません。この文も「スキーしながら左足を折った」と勘違いするかもしれませんが、省略されている語句は"while he was"です。省略しない場合、

He broke his left leg while he was skiing in Canada.

となり、日本語訳は(彼はカナダでスキーをしているときに左足を折った。)となります。分詞構文の他にも関係代名詞では目的格の省略などがあります。

省略の基本原則は1つです。「言わなくてもすぐわかるから省略する」です。本当に、すぐわかるんです。日本語の詩や俳句などでは書かないことで想像力を働かせて読む場合がありますが、英語では不要です。むしろ、自分勝手に省略されているところを補うと、勘違いしてしまいます。基本は「直前の繰り返しを省略」です。

 

挿入

挿入とは語や句や節を文の中にはさみこむことです。「話者の判断や気持ち」、「より細かい情報」などを補足的に示すことができます。例文を見てみましょう。

1.He had many things to do.He, after all,played tennis with his friends. 

2.His daughter,fortunately,was rescued from the burning hospital.

3.The clothes in this store,in his opinion, are too expensive.

(彼にはやることがたくさんあったが、結局、友人とテニスをした。)

(彼の娘は、幸運にも、炎上する病院から救出された。)

(この店の服は、彼の意見では値段が高すぎるといわれている。)

このように、挿入される部分はコンマ(,)ではさみこまれることがよくあります。挿入される副詞句として

after all(結局) , fortunately(幸運にも), in ~'s opinion(~の意見では) の他に

however(しかしながら) , in fact(実際は) , for sure(確かに) , in the end(最後に、結局)

などがよく出題されます。

ここまで語句の挿入をみてきましたが、節の挿入もあります。例文を見てみましょう。

Running in this road, as far as I know, is prohibited.

Too much exercise, I think, is not always good for your health.

(この道で走ることは、私の知る限り、禁止されています。)

(運動のしすぎは、私は思うのですが、健康にいいとは限らないです。)

節の挿入例として他には

I am afraid(残念ながら) , it seems(どうやら) , I hope(願わくば)

などが挙げられます。

 

同格

文中の一般にはあまりなじみのない語句の意味を補ったり、言い換えたりするために文法的に同じ働きをする語句を付け加えることがあります。長文などで多くの受験者が知らないような単語をこの同格を用いて説明することがあるので、分からない単語が出てきても同格が用いられていないかどうか探してみましょう。このとき、両者の関係を「同格」の関係と呼びます。同格には3つのパターンがあります。

①名詞を並列する

Her best friend Mary is a teacher. (彼女の親友のメアリーは先生だ。)

挿入とは異なり、1対1で結びつく場合、コンマを使わずに表現します。他方、

Hideki Yukawa ,a theoretical physicist from Japan, won the Nobel Prize in 1949.

(日本出身の理論物理学者、湯川秀樹はノーベル賞を1949年に受賞した。)

のように、主語の「湯川秀樹」に補足説明をする場合はコンマを使います。

②ofを使って同格を表す

He was born and raised in the city of Kyoto.(彼は京都市で生まれ育った。)

the city of Kyoto は「京都という都市」→「京都市」となっています。cityの他にも

the name of Jim (ジムという名)のように、名前を表す時に多く用いられます。また、「名詞+of+名詞」

だけでなく、「名詞+of+動名詞」というパターンもあります。

His idea of making a fortune within a year is interesting.

(1年以内に大儲けするという彼の考えは興味深い)

③that節で同格を表す

I heard a rumor that he's married in London now.(彼が今ロンドンで結婚しているうわさを私は聞いた。)

a rumor(うわさ)の内容をそれに続くthatから始まる名詞節が説明して、同格の関係になる場合があります。

ただし、どんな名詞に対してもthatが使えるわけではありません。思考・認識・要求・欲求・伝達を表す名詞や、chance(見込み),proof(証拠)などが挙げられます。

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