以前このサイトで「村落」について解説する記事を紹介しました
今回は、「都市」についてその立地や分類、空間構造について一挙紹介します。
都市の立地と分類
基本的な都市の分類方法について紹介します。
ですが、その前に都市がどのような場所に立地するかを説明します。
都市は基本的に
交通の要地、異なる地域の境界、後背地の広さ
という条件が良好な場合、立地しやすくなります。(後背地とは、港湾の背後にある陸地のことです。)
それでは都市の分類方法を紹介します。種々の分類がありますが、今回は階層的分類について紹介したいと思います。
階層的分類
都市の階層的分類とは、何を基準としているのでしょうか?答えは都市の中心地機能です。中心地機能とは都市内部や周辺地域に対するサービスの供給機能です。以下のように分類されます。
- 国家的中心都市…東京、大阪、名古屋
- 広域中心都市…福岡、広島、仙台、札幌
- 準広域中心都市…新潟、金沢、高松
- 地域中心都市…横浜、さいたま、千葉
中心地機能というのがイメージしづらいと思うので、2の広域中心都市を使って説明します。
例えば、広域中心都市には中央官庁の出先機関や、銀行の地方統括中枢の支店が置かれているというような例です。ただし、4の地域中心都市に横浜、さいたま、千葉と並ぶように、
人口規模が大 = 階層上 というわけではないので注意してください。
(日本の都市人口ランキングはこちらを参照:http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm)
先進国と発展途上国の比較に見る都市と人口の関係
今度は先進国と発展途上国を比較して、都市人口率を眺めてみましょう。
一般的に、先進国は2,3次産業が中心なため都市人口率は高いです。
一方、発展途上国は、1次産業中心のため都市人口率は低いです。
しかし、近年では発展途上国で「工業化を伴わない都市人口率の上昇」が見られています。ここでは先進国と発展途上国の都市人口率の上昇の因果関係の差異に注目していきましょう。
先進国の都市人口率上昇の背景
こちらに関してはイメージしやすいかと思います。
産業が都市内部で発展すると、周辺の人口(例えば若者など)を吸引してしまうからですね。日本でもこの現象が発生しており、それが地方の過疎化につながっています。
(日本の過疎化については以前の記事を参照→日本の人口問題をまとめて分かりやすく解説!)
途上国の都市人口率上昇の背景
一方、途上国では都市人口率の上昇の理由が全く先進国と異なります。要因は2つで
- 人口爆発(子供の労働力としての意義)
- 農業の近代化・効率化→余剰労働力の発生
となります。つまり先進国と違うのは、人口が農村から都市へ「押し出された」点です。
都市の同心円モデル
最後に都市の同心円モデルを使って、都市の空間構造を説明したいと思います。
下図のようなモデルになります。このモデルの前提として以下の2つが挙げられます。
- 地価…都市中心部から遠心的に逓減していく
- 交通網…都市中心部から放射状に発達している
下図のうち一番内側の黄色の部分を「都心」、ピンク・赤・青色の部分を「都心周辺部」、緑・一番外側の黄色の部分を「都心外縁部」と呼んで解説することにします。
(図) 同心円モデル
都心
いわゆる中心業務地区(CBD)と言われるエリアです。
官庁街やオフィス街のことを指します。また百貨店や専門店などが立地する大商業地区でもあります。
例えば三越とか都心にあるのをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
特徴としては昼間人口が多く、夜間人口が少ないことです。居住する人は少なく働きに来る人ばかりであるからこのような特徴が生まれます。
都心周辺部
一方このエリアの機能は商工業地区、住宅地区です。
特徴として人口密度が高いことがあげられます。
このエリアが都市インフラの老朽化が最も早く進行し、スラム化が発生しやすい地域になります。
また過密状態であるので人口が流出するドーナツ化現象の原因となります。
都心外縁部
この地域は緑地や住宅地区となります。特徴としては人口増加率が高い点にあります。
地方から流入する場合も、都心周辺部は過密であるためこのエリアに流入することが多くなります。
この地域で発生する問題に「スプロール現象」というものがあります。
行政による都市開発よりも民間会社による都市の開発が先行するため、無秩序な開発が行われることです。