小中学校で文章の書き方を学ぶ際、多くの場合重要だと教えられるのが「起承転結」という形です。しかし、実際に受験や社会に出て文章を書く場合、この「起承転結」型はあまり転用できません。小論文を専門に教えている講師にとっては当たり前のことかも知れませんが、現代文の長文記述などを指導する際には曖昧になっているシーンを見かけます。今回は、受験における文章の型について考えてみようと思います。
「起承転結」は説明に向かない
もともと「起承転結」という形は「絶句」という四行で書かれる漢詩の形式です。その中でも「転」はクライマックス、予想外の展開に息を呑む、読み手を驚かせる部分です。文学的文章では「転」が入ることによって、ダイナミックな展開となり、より読者を引き込むことができます。エンターテイメントであればそれで良いのですが、受験における文章は楽しませることではなく説明することが目的のため、この形式とは相性が良くありません。
まず簡潔に結論を述べてからその根拠を示し、改めてしっかりと結論を述べることで説得力のある文章の形になります。何について話すのか、テーマと主張を最初に述べることで読者に説明を聞く準備をして貰うんですね。
引っかかる文章ではなくスムーズな文章を
誰にでも分かりやすく説明するためには「論理性」が必要です。論理的な文章というのは、前提や展開が当たり前だからこそ説得力がある文章です。予想外の展開は読み手を混乱させるだけです。奇をてらった文章を書きたがる生徒もいますが、受験においては目新しいアイデアを出せるかを問われているのではなく、いかに自然で説得力のある文章が書けるかを問われているのですから、逆効果になりかねません。
また、文章をスムーズにするためには、論理性だけでなく段落の区切り方も重要です。小論文など長めの文章を書く際には、一つの段落では言いたいアイデアを一つに絞る。そうすることで、わかりやすさは格段に増します。焦点が絞られたアイデア(段落)をシンプルに繋いでいくように心がけると良いと思います。
主述関係と接続詞をしっかりすること
短い文章の場合、不足を文脈で補うことが難しいため、一つ一つの文にしっかりと主述関係があるかどうかが重要です。また接続詞を正確に使うことによって、前の文との関係を明確にすることもポイントです。接続詞は間違って使うくらいならば書かない方が良い、という指導法もあるようですが、やはり接続詞がないと論理の捉えにくい文章になってしまいます。特に「つまり」や「例えば」など、主張の根拠になる文が明確になるように心がける必要があります。
以上基本的なことばかりを挙げましたが、なかなか成績が伸びない生徒の中には、その部分で引っかかっている生徒が多いです。文章の読み書きは全教科に関わるスキルですので、「センス」に逃げずにきっちり指導したいところです。